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 ショートストーリー ひな人形


「灯りをつけましょボンボリーニ♪」


 サクラが歌ってる。寝かせてくれよ。こっちは眠いんだよ。


「お花をあげましょモモの花ー♪」


 綺麗な声だけど、なんか音程外れてるな。オンチなのか? ツッコむと面倒くさい事になりそうだから、ずっと寝たふりしとこ。


 今日はひな祭り。昼は影の住民たちと、夜はミコたちとひな祭りパーティーに呼ばれている。悲しいけど、エマが怖がるから性転換薬を飲んで女の子の格好してる。そこまでして参加したかった訳じゃないけど、なんだかんだで影の住民も女の子。女の子の頼みは断り辛く、押しきられた。影の住民の巣は相変わらず男子便所に畳を敷いてあり、セットしてあるこたつの上にひな人形の三段飾りが鎮座している。世界広しといえど、男子便所にひな人形があるのはここだけじゃないだろうか? きんかくしとひな人形……カオス過ぎる。この世界はモノクロだからひな人形が妖怪みたいだ。やっぱ来なきゃ良かった。忍者シノブと錬金術師サリナは買い出しに行っていて、預言者サクラと召喚術士エマがこたつに入っている。こたつは温かく眠くなったからウトウトしてると、不気味な歌が聞こえてきた。声がも〇のけ姫の歌みたいだ。


「ねぇ、サクラちゃん。ぼんぼりってなんなんだろう」


 エマが問う。


「ぼんぼりじゃなくて、ボンボリーニって言うイタリア人よ。マンマミーアに似てるでしょ」


 サクラが応える。エマは純粋だから変な事言うなよ。信じるだろ。


「サクラちゃん、それ冗談でしょ? うちでもそれくらいわかるわよ」


「冗談よ。ぼんぼりって、中にろうそく入ってる昔の証明のようなものよ。ひな人形って結婚式らしいから、夜の営みを始める前に薄い灯りでムード出そうとしてるのよ」


「夜の営み? けど、それじゃ数がおかしくない? 女の子は四人だけど、男の子は六人いるわよ。お内裏さまとお雛様が番なのはわかるけど、それじゃ男の子があぶれるよね?」


 ひな祭りは乱交パーティーじゃねーよとツッコみそうになるけど、寝たふり寝たふり。なんかガールズトークを盗み聞きしてたようだもんな。


「エマ、それはあれよ。多分、その五人囃子の中に、男装女子か、ゲイの男の子がいるのよ。うん、多分ゲイね。その笛を吹いてる子がそうよ。棒のようなものを口に当ててるから間違いないわ。棒を口に入れるのが好きなのよ」


「ふーん。受けはその子として、攻めは誰なの?」


「多分、その一番でっかい太鼓もってる人じゃない?」


 コイツら、なんて頭悪そうな話してるんだろうか? ひな人形までBLにすなや。


「そうなのね。それならドロドロとした修羅場にはならなさそうね。じゃ、たっちゃんにも笛あげたら喜ぶかなー。うちの小学校のリコーダーもってこよ」


「喜ぶ訳ねーだろ!」


 あ、つい起きてしまった。


「あ、タッキ起きたのね。わたしのリコーダーも欲しい?」


「いらんわ!」


 それからもゆるゆるなシュールな会話がとめどなく続いた。少し楽しかったかも。


 読んでいただきありがとうございます。


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