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 ショートストーリー 真のヒロイン


「たっちゃん、たっちゃん、ライラさんの事はどう思ってるの?」


 私は目の前の美少女に問いかける。ここは私の迷宮、召喚者の迷宮。その地下一層のスライムエリアで、レアスライムを求めて戦っていた。

 私たちは今、瀕死のスライムの上に座って休憩している。瀕死になったスライムは動かなくなるとこを利用して、私たちはそれを椅子代わりにしてるけど、そんな事を言い出すたっちゃんの頭の中はどうなってるんだろうか? 私のような小市民とは出来が違うのだけは分かる。良い意味でも悪い意味でも。


 私の名前は長澤絵馬、ラグナフェンという異世界に転移して、『召喚士』というスキルを手に入れた。最初は何も出来ず訳が分かんないスキルだったけど、召喚と送還という魔法を手に入れて、調べていくと、送還の魔法で、さらに異世界の迷宮へと向かって、そこで倒した魔物を召喚出来るという事が分かった。それが分かってから、私たちはその迷宮に隠ってレベルアップして私は4種類の魔物を呼べるようになった。

 レベルアップして、困った事に、元々私の髪の毛は赤っぽかったんだけど、それが今では真っピンクだ。目立ちたくないからいつもは染めてるけど、今はラグナフェンに居るのでそのままにしている。あと、いつもは眼鏡をしてるのだけど、今日はしてない。私は小っちゃい頃からずっと新体操をしていて、自意識過剰じゃなくてそこそこに顔が知れてるから、せめてもの抵抗に少しでも目立たないように心がけている。


 目の前の美少女は「たっちゃん」。元男の子だけど、サリナちゃんの薬で、女の子になってる。私が唯一普通に話せる男子? だ。彼女の周りには私を含めて女の子が沢山居る。誰の事が一番好きなのか気になるので、ストレートに聞いてみた。たっちゃんはなんか眉間にしわを寄せて考え込んでいる。


「ん、ライラ? アイツ見た目なんか清楚でお姫様って感じだろ。けど、あいつ頭ん中は極端な実力主義なんだよ。悪い奴じゃないけど、強い人と弱い人に対してでは態度まったく違うんだよ。そういうのってあんま好きじゃないな」


 そうなのね。そう思ってるんだ。ああ見えて性格に難があるのね。


「ウルルさんや、マリンさんは?」


「あいつらはもっとダメだ。ウルルは暴力ゴリラだし、マリンはライラより陰険だ。けど、別に悪口言ってる訳じゃない。アイツらの事嫌いじゃないから」


 そうなのね。異世界組は全滅ね。


「じゃ、ミコさんやネネさんは?」


「ミコは男友達のようなもんだし、ネネは訓練相手だな」


「サクラや、シノブちゃんやサリナちゃんは?」


「サクラだけ呼び捨てなのか。まあ、その気持ちはわかる。僕もおんなじ感じだ。シノブはそこまであんまり話した事無いし、サリナとは出来るだけ関わりたく無い」


 サクラちゃんは、残念すぎるし、シノブちゃんはストーカーっぽいし、サリナちゃんはたっちゃんのトラウマみたい。という事は? もしかして、たっちゃんの中では私がヒロイン? 私にはたっちゃんしか話が出来る男の子は居ない。それに可愛いし、もうちょっと頑張ったら、男のたっちゃんとも普通に話せそうだ。私は声が震えそうになるのを押さえながら話しかける。


「じゃ、うちは?」


 私は一人称は『うち』だ。わたしとか、あたしだと、1文字多いだけで、言いにくいから。


「ん、エマ?」


 たっちゃんは、手鏡を出して、なんか前髪を整えてる。なんかつまんなさそうに。


「ああ、お前の事も嫌いじゃないよ。可愛いしね」


 言葉が軽い。少しイラッとする。たっちゃんの心は全く私に向いてない。という事は、たっちゃんは誰が一番好きなんだろう。たっちゃんは鈍いからストレートに聞いてみよう。


「ちなみに、たっちゃんは、女の子で誰が一番可愛いと思うの?」


「僕だよ」


 え、即答? もしかして、たっちゃんの中の一番のヒロインは自分自身? まさかそれは無いわよね。けど、それからも彼女は事ある毎に手鏡を出して化粧や髪の毛を整えていた。まだ女子歴1週間経たないくらいなのに、私より女子してるよ。まあ、可愛いからいっか。

 そう言えばなんかで、自分を愛せない人は他人を愛せないって言葉を聞いた事がある。これから私にもチャンスがあるはず。


 読んでいただきありがとうございます。


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