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第八十一話 善戦


「ウルル、剣をかしてくれ。今からデーモンがくる。爪を伸ばして攻撃してくる。僕にまかせろ。かわす事だけに専念しろ」


 ウルルから剣を受け取り構える。両腕を失ったデカゴブリンからウネウネ腕が生えて立ち上がる。まだだ。川に入ってこっちに向かって来てたゴブリンがバタバタと倒れる。僕は少しクラッとする。多分ここでデーモンは周りの精気を吸い取っている。そして、デーモンは大きく翼を広げる。その瞬間に僕は思いっきりデーモンに斬りつける。頭を狙ったけどかわされて、デーモンの右の肩口に剣が埋まる。もしかしたら今ので右手を封じる事が出来たかも。今までで最高のタイミングだ。力尽くで剣を抜き、距離を取る。


「野蛮な生き物だな。いきなり襲いかかって来るとは」


 返事に僕は全力でデーモンに突きを放つ。かわされた。身を引きながら剣で右をガードする。


 キィーン!


 剣がデーモンの爪を受け止める。良かった。やっぱりあいつは右手が使えない。


「なんだ? なんで分かる? そうか、契約者と同じくスキル持ちか。未来視界、リードマインドとかか厄介だな」


 全く厄介じゃなさげに言う。今のでコイツの契約者が僕らのクラスメートの誰かっていうのが分かった。僕に出来る事は攻撃しまくる事だけだ。全てで奴には劣る。攻めて攻めて攻めまくって勢いで乗り切るしかない!


「うおおおおーーーーっ!」


 僕は剣を振り上げデーモンに駆け寄る。足場の悪さのせいで思ったように素早くは動けない。思いっきり打ち込んだ唐竹割りをデーモンは左手の爪を集めて受け止める。受けなくてもかわせるはずなのにこんな事するのは僕の心を折ろうとしてるのだろう。勝機! ぶっつけ本番だけどやるしかない。つばぜり合いを全力で押し込む。ドーピングしまくった僕の全力。少しだけデーモンを押し込む。そして力を抜き後ろに下がりながら、その反動でガンを振る。


「ウォーターソード」


 ガンから細く圧縮した弾を撃ち出す。コレで最後だもう弾は無い。下から黄色い細いビームが上がってくる。それはデーモンの股間から切り裂いていく。よしっ! 両断してやる。


 ドゴン!


「ぐわっ」


 僕は吹っ飛ばされる。デーモンはの振り上げた足が見える。蹴っ飛ばされたのか。水飛沫を上げ地面に叩きつけられる。剣だけは死んでも離さない。痛いけど、無理矢理たちあがる。息が出来ない。左の肋骨のあたりが痛い。口から血がこぼれる。骨が折れてるかも。


「くそっ! きさま許さんぞ。この吾輩、生まれ落ちて幾星霜。ここまでコケにされたのは初めてだ。なんだ、その尿の剣とは!」


 デーモンはヘソの下くらいまで裂けている。ざまあみろだ。巻いてた腰巻きみたいなのは落ちピンクのハートがブツを隠している。フッ、多分奴のガンは真っ二つだ。アイツは明らかに重症だこれから畳みかけてぶっ倒す! 何も考えずに剣を手に駆け出す。


「ぐはっ!」


 何が起こった? 体が動かない。遅れて痛みがやってくる。デーモンから幾つもの髪の毛みたいなものが僕に向かって伸びている。


 バシャッ!


 僕は剣を落とす。両手両足が針のように細い爪で貫かれている。見えなかった。細くも出来るのか。


「タッキ!」


 ライラの声がする。


「来るなっ!」


 僕を貫いていた爪が引き抜かれる。めっちゃ痛いけど、なんとか動ける。僕は剣を拾い駆け出す。


「ぐわっ!」


 右足を貫かれれる。爪が引き抜かれる。力が入らなくて膝をつく。


「死ね! クソ雑魚がっ!」


 デーモンが右手を上げる。まずいかわさないと。だが体が動かない。


 ドンッ!


 バシャッ。


 僕は突き倒される。身を起こすと、誰かがデーモンの爪で体の中央を貫かれている。大きな胸。ライラ! 爪は引き抜かれ、糸が切れたマリオットのようにライラが崩れ落ちる。

 僕は足をもつれさせながらなんとかライラに駆け寄りその身を起こす。


「なんで、助けた!」


「なんでだろ。助けて貰ったからかな……ごめん」


 ライラは動かなくなる。


 ああ、届かなかった。僕は無力だ。けど、悲しんでる場合じゃない。戦わないと。僕はデーモンに向かって行く。


「自己犠牲。絶望。面白いものを見させて貰った。もっともっと見せて見ろ。ハッハッハッハッ」


 デーモンの哄笑が響き渡る。くそっ許さん!


「キャア!」


「ギャッ!」


 ウルルとマリンの悲痛な声。なんだ? どうした?


「うがっ!」


 僕にも激痛が走る。細い爪。全く見えない。

 デーモンは見えない細い爪で僕らを貫きまくる。すぐに全員川に倒れ込んで動けなくなった。そして、川にはどんどんさっき倒れなかったゴブリンが入ってくる。まずい、なんとかしないと。けど、激痛で体が動かない。少し動かすだけで激しい痛みが。何回も死んで痛みに強くなったはずなのに。


 僕たちは川原に並べられている。デーモンはゴブリンを使役できるみたいで言われた通りに動いていた。僕は痛みで意識が朦朧としている。


「くっくっくっ。いいざまだな。ションベン小僧。今からお前を八つ裂きにするのだが、その前に余興だ。この娘たちはお前の仲間なんだろ。コイツらがゴブリンに犯されて殺されるのを楽しんで貰った後、お前の手足を順番にむしり取って食ってやる」


 くそっ。どうしようも無いのか? 考えろ。どうにかしてコイツをぶっ倒せないのか? 結構アイツもダメージ食らってるはず。ゴブリンは二十匹くらい。もしデーモンを倒せたとしても、1人であれを倒すのは難儀だな。けど、諦め無い。足搔いて足搔いて足搔きまくってなんとか活路を見出してやる。


 読んでいただきありがとうございます。


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