第七十七話 再戦
「じゃ、いくわよ」
サクラに手を引っ張られて浴槽に向かう。僕もサクラもスク水だ。なんのこだわりだよ。モノクロの世界の中、女の子に囲まれてドス黒いお湯に足を入れる。なんか変な儀式みたいだな。二度目だけど不気味だ。浸かるとお湯は適度な暖かさだ。今回はサクラのどんな体液がここに入ってるのか気になるが聞いたらドン引きしそうだから止めとく。目を閉じてここ数日の修行を思い出す。
昨日はサリナから、どんな事をしても勝つ事を学んだ。持ってけるならあの『マイトポーション』もあっちに持って行こう。弱中強を一本づつ持ってるから、強の一択だ。あの場さえ凌げればどれだけお腹が痛くなろうが関係無い。
その前の日はネネから攻撃の力の入れ方を習った。戦いってただ知ってるかどうかだけで変わる事って結構ある。重心移動を攻撃に乗せるだけで威力がかなり増すなんて思いも寄らなかった。ネネは拳聖という強力なスキルを持ってるけど、ただ身体能力が高いだけでは強くはなれないって言ってた。技が無いと力を生かせない。ちなみにミコに聞いたところ、ネネは子供の頃からずっと古武道を学んでたそうだ。
そして、初日はミコとエマと一緒にシルバースライムを狩った。その経験値でどれくらいレベルアップ出来るのか楽しみだ。ちなみにあの時の薬はまだ誰も飲んでない。この後のシミュレーション次第では貰えないかお願いしようと思う。そういえばあの日はなんか学べたか? んー、ヌルヌルしか思い出さん。ヌルヌルは大事という事を学んだという事にしておこう。
「じゃ、いくわよ。ラグナフェンへの次の転移から」
僕はお風呂に溶けてしまったかのような感じになる。
「キャーーーーッ!」
川の中でデカいゴブリンが裸のマリンの右手を吊り上げて持ち上げている。デカいゴブリンはマリンの顔を長い舌で舐めている。なんかもうそれ何度も見てるから、見飽きたよ。またまた戻って来た。あの場所だ。それより、体が男だ。正直嬉しい。元にもどれたのは3日ブリくらいだもんな。
『タッキはレベル13に上がりました。ウォーターガンがレベル10に上がりました』
おっ世界の言葉。って、レベル13!! しかもガンはレベル10!!
これってこのデカゴブリンをやれるんじゃ無いか? ポケットに手を入れると、あったビンが三つ!! サリナのクスリだ。走り出しながらどれがどれか分かんないから、全部開けて飲む。副作用なんか知った事か。ビンを投げ捨て走りながら、あとでぶっ放すためにズボンのチャックを開けておく。
「ウルル、下がれ!」
僕はウルルの横を通り過ぎる。
「何言ってる、私も戦うぞ」
「頼む。僕はマリンを助ける。武器を持ってきてくれ」
全力で走りライラの横を通り過ぎる。
「ライラ、下がってウルルから武器を貰え!」
「はっ、はいっ」
ライラが下がり、僕はゴブリンに近づく。
「グゥアーーーーーーッ!」
デカゴブリンは剣を抜く。
「タッキ!」
振り返るとウルルが棍棒を僕に投げて渡す。
「キャッ」
マリンをデカゴブリンが投げたのを下がりながらキャッチする。身体能力が上がってるからマリンは無傷だ。マリンは柔らかく、もっと触りたいのを我慢して、すぐに地面に下ろす。
「動けるな。下がっとけ」
「うん」
バシャバシャ僕から離れていく。
「行くぞ」
裸で剣を手にしたウルルが視界の隅に入る。今は18禁バージョンで際どい所はピンクのハートで隠れてるけど、本番は丸見えなんだろうな。
「ファイヤーボール!」
ライラの声がして、僕の横をバスケットボールより大きい火の玉が通り過ぎる。良く考えるとライラって凄いよな。攻撃魔法も回復魔法も使えるもんな。火の玉はゴブリンの腹に当たり爆発する。派手だけど、これってほぼノーダメなんだよな。ゴブリンは僕に駆け寄ってきて、横薙ぎ、振り下ろしを棍棒の先端で受ける。綺麗に剣が棍棒に刺さって動かなくなる。良い感じだ。棍棒を捻ったら、簡単にゴブリンは剣を放す。さすがサリナのクスリだ。僕の腕力がはんぱない。ここで一発で決める! 右手でガンを出し狙いを定める。
「フルバースト! ハイメガウォーターカノン!」
残弾を2発分残して全部叩き込んでやった。デカゴブリンはカノンを両手をクロスして耐えようとするが、大きく吹っ飛ばされる。
もしかしてやったんじゃないか?
今まで何回も何回もやられ続けて来たから、めっちゃ胸がすく。
「気持ちいいーーーーっ!」
口から言葉がほとばしる。吹っ飛ばされたゴブリンはまだ動いている。しぶとい奴だな。デカゴブリンは立ち上がろうとするが上手くいかない。見ると両腕を失っている。後続のゴブリンたちが川に入ってこっちに向かって来てる。それをなんとかしたあとにデカゴブリンにはとどめを刺そう。まあとどめ刺さなくても、出血死しそうだな。
今までで一番順調なんじゃ? これってあとはノーマルゴブリンを倒しながら、シェルターに逃げ込めれば、作戦終了だな。誰一人欠ける事なくいけそうだ。
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