第七話 お金は大事
主人公の一人称がブレブレだったので、修正しましたm(_ _)m
「まてまて、まずは食べた分の金を払う。僕の国の金だが使えるか?」
僕はゆっくりと後ろのポケットから折りたたみ財布を出す。昔、人混みで財布をすられた事があるから、僕は長財布は使わない。ゆっくりと、万券を出して、ウルルの目の前で振る。なぜ、ゆっくりかと言うと、ウルルがめっちゃ警戒して見てるからだ。ポケットや財布に武器は入って無いって。
「なんだその紙切れ。ふざけてるのか? お前の国では金で尻を拭くのか?」
やっぱり、無駄か? この世界では紙幣の概念が無いのか? 紙イコールトイレットペーパーっていう認識なのか? けど、日本の紙幣は精巧だ。こっちではここまでの技術力は無いはずだ。
「よーく見て。すごいでしょ。この書かれた絵」
ライラが近づいて来て万券をマジマジ見る。
「うん、確かに美術品としての価値がありそうね。ジパングって凄いのねー。ここにあった保存食くらいは簡単に賄えそうね。それより、さっきあなたがそのお金を入れてた入れものを見せて」
「ああ、少しだけなら」
僕は財布を取ってライラに渡す。
んー、あんま見られたくないんだよな。心友にお守りっにって貰ったアレが入ってるんだよな……
ライラは不器用そうに財布の中身をテーブルに出していく。
「これもジパングのお金なのね」
小銭を1つ1つ愛おしそうに見る。
「凄いな。小人が作ったのか? 人間には無理だ」
ウルルが十円玉をガン見している。十円の平等院鳳凰堂は細かいもんな。もしかして、硬貨の中ではここでは一番価値があるのでは?
ライラがカード系を机に出す。特に僕の写真つきの学生証には感嘆してた。2人とも絵だと思ってる。
「この財布とその中身を上手く売ったら結構儲けそうだな」
ウルルは十円玉が気に入ったみたいだ。
「ウルル、それあげるよ」
「まじか? こんな素晴らしいものを貰ってもいいのか?」
「ああ、迷惑かけたからな」
まじで安い女だ。今日日十円じゃアメ玉くらいしか買えんぞ。ウルルはそれをゴソゴソとズボンのポケットに入れる。
「タッキってもしかして、ジパングの王族か貴族なの?」
ライラが上目遣いにこっちを見る。なんか2人の対応が柔らかくなったな。現金なものだ。早めにお金出せば良かった。そしたらあんなにボコボコ殴られないで済んだのに。
「んー、タッキ、これ何?」
ライラがブツを手にしている。なんで、見つけるかなー。内側のポケットに隠してたのに。当然僕はコイツのやっかいになった事はない。
「なんなの、この透明な袋。中に入ってるのブヨブヨしてる。もしかして、食べ物なの?」
ライラがブツをクニュクニュもてあそんでいる。背徳的な絵ずらだ。
「確かに、食べ物のようなものじゃあるね。だが、それは危険だ。元にもどして」
「えーっ、これって危ないものなの?」
「うん、危ない危ない」
「そっか、これってタッキの大事なものな訳ね。これ以上はつっこまないわ」
つっこまないって言うか、つっこみたいものであるが、下手な事言ったらせっかく緩くなった空気が台無しだ。それに、ライラの格好を見るからに聖職者的なものかもしれない。下ネタは御法度の可能性が高い。
「じゃ、僕が食べたものは後でこれで清算したらいいな」
「ああ問題無い」
ウルルが鷹揚と肯く。相変わらず偉そうだな。けど、暴力的から偉そうに変わっただけマシか。
「なあ、お前が言ってたゴブリンの餌って見てもいいか?」
ウルルは僕の返事を待たず、ゴブリン袋を漁る。そして、肉が入ったやつを持ってくる。
「ライラ、これ、なんの肉だと思うか?」
肉をテーブルに広げる。それだけで悪臭がたつ。
「家畜のじゃなさそうね」
ライラが肉をクンクンする。
「ジビエか?」
ウルルは肉のへりを爪でこさいで口に入れる。
「うわ、なんだこれ。メッチャ臭ぇ。もしかして、これゴブリンにやられた奴の肉なんじゃねーか?」
ウルルの言葉に背中がゾワワワワーーッとする。じ、人肉!?
「多分、ここら辺で獲れたものの肉だとは思うわ」
ライラは肉をひっくり返したりして観察している。
「多分、狼ね」
ライラが手にしている肉に毛が付いている。黒っぽい毛。狼なのか? そうか狼か。人じゃなくて良かった。って言うても狼って犬のようなものだよな。なんか複雑な気持ちだ。食いたくねー。ウルルがテーブルの上の肉を並べる。5個と3個。
「八切れか。まあ、4食分と考えよう」
ライラが棚の残った保存食を持ってきてテーブルに並べる。
「棚の保存食は8食分あるわ。合わせて12食。一日2食で4日分ね」
もしかして、コイツら算数苦手なんじゃ? その前にこの量で一日2食はしんどいだろう。腹減って眠れなくなるぞ。
「4日か。ライラ、助けに来ると思うか?」
「私達が3日戻らなかったら次の偵察が出されると思うわ。それで次の偵察の人がゴブリンの集団を見つけて町に帰って冒険者を連れてくるとしても、それには早くて2日、だからどんなに早くても救援がくるのは5日後ね」
「じゃ、ここにギリギリまで籠もって様子見るしか無いか」
ライラとウルルは、まるで僕が居ないかのように話し続ける。
なんか、飯をケチりながら、ここに籠もる気みたいだけど、正直勘弁してほしい。その美味く無い保存食も飽きた。森に出られるようになって、やっとなんか違うものを食べられると思ったのに。
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