表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/87

第六十四話 神の雫


「もう、引き上げるか……」


 僕はヌルヌルの棍棒を振ってスライム汁を落とす。けど、もう洗わないとダメだな。持ち手もヌルヌルで降ると落としそうだ。


「そうね、お腹減ったし」


 ミコはそう言うが、さっきカレーパンをアイテムボックスから出して食ってたよな。大食いキャラかよ。  


「うちもそろそろ塾に行かないと」


 まじかエマ塾に行ってるのか。その割りには成績あんまり良くないような。


 僕らは着替えて迷宮に潜り、スライムを狩って狩って狩りまくった。けど、出てきたのはノーマルのみだ。カウントしてて今ので20匹で、だいたい15分前後で1匹リポップするみたいだ。1時間で4匹、10時間で40匹。排出確率0.2%ってエマが言ってたから、五百匹倒したら1匹出る計算か。よく考えたら無理ゲーだ。一匹目がさっくりと出たから二匹目のどじょうと思ったけど、難しそうだな。明日は次の層のゴブリン狩りした方が効率良さそうだな。ちなみにスライムの魔石はしこたま集まったが、こっちではただの石らしいので、ミコとエマが折半している。まあ僕にはアイテムボックスとか無いから持ってても邪魔なだけだもんな。

 僕らは迷宮を引き上げ、風呂にまた入る。なんでサクラがわざわざ風呂を影世界に持ち込んだのかが良く分かった。多分彼女たちは迷宮でドロドロになりながらレベルアップしてたのだろう。けど、一つ問題が。まだ体が女の子のままだ。着てきた制服に着替えて家に帰ろうと思うんだけど、このままではまずいな。


「エマ、いつになったら戻るんだ?」


「……知らない」


 分かり易いやつだな。あんなにフランクになったのに、出会った時みたいにボソボソだ。僕の中ではこの美少女も今日1日でただのゲスになりさがった。ゲスにはゲスだ。


「僕はあんまり泣かない子供だった」


「なに言ってるのたっちゃん?」


「まあ、聞け。そんな僕がギャン泣きした事がある。一時期男の子の間で流行った最悪のイタズラ。カンチョーだ。多分、エマも今でも泣くぞ」


「なに言ってるのよ。学校で習わなかったの? それはセクハラってものよ」


「お前は今までさんざん僕にそのセクハラしてきただろ。何より今の状態が最大級のハラスメントだ。お前知ってるんだろ。この薬の継続時間。今の僕はまだ穏やかだ。けど、あんまりシラを切るようなら、誰彼構わずカンチョーするマシーンになるかもしれないな」


 ミコが嬉しそうに近づいてくる。


「なにそれ、面白そうね。あたしも見てみたいわ。女の子がカンチョーされるの。あたしはダメよ。やられたらやり返すわよ」


「止めて止めて、わかったわよ。言えばいいんでしょ。効果は4日よ」


「えっ、まじか。なんでそんなに長いんだよ」


「次の転移まで、うちと毎日会うでしょ。男の子とは話したく無いからサリナにお願いしたの。サリナ凄いでしょ。けどここまで凄い薬を作れるのは1回だけ。城の宝物庫から借りた『神の雫』って言うアーティファクトを使ったそうよ」


 ミコが血相変えてエマの両肩を掴んで揺さぶる。


「ちょっと、アンタたち何してるのよ。それ王国の秘宝よね。それってあたしたちへの報酬よね」


「大丈夫よ。シノブが入ってた瓶には絵の具を混ぜた水を入れて戻したから」


「大丈夫じゃないわ。あれって、飲んだら願いが叶うものよね。あー、あたしが盗もう、貰おうと思ってたのに」


 今、ミコ、盗もうって言ってたな。なんか凄いものだったっぽいけど、エマたちのオモチャになるかミコのオモチャになるかどっちにしても失われてただろう。クズ共が。


「しかもね。秘宝を使ったからけ完全には戻らないわ。なんとそれ以降はお湯を浴びたら女の子になってお水を浴びたら男の子になるように成れるのよ。楽しそうでしょ」


 ん、なんだそりゃ。そういう昔の漫画があったな。モロパクじゃん。しかもシチュエーションが逆だし。あの漫画じゃお湯を被ると戻れるのはせめてもの救いだと思ってた。だって日常生活じゃそうそう水なんか浴びないからな。プールくらいか。けど、僕の場合はまずい。毎日風呂に入ったあとに水浴びないとならんのか? 冬地獄だろ。それにずっと女の子とお風呂でイチャつけない体になってしまったのか? 気がついたら僕はエマの首を掴んでいた。


「楽しそうでしょじゃねーだろ。どうしてくれるんだ。それならお前らで楽しめよ!!」


「苦しい苦しいって」


 僕の手がエマの首から離れる。これは指取り。エマは僕の小指を捻っている。相撲の禁じ手だ。痛ぇ、えげつないな。


「うわ、いいなー。楽しそうね。良かったじゃん。これでタッキ、レベリング終わってもエマちゃんと話せるじゃん」


 良かねーよ。けど、魔法とかなら魔法で何とかなるんじゃ?


「おい、ミコ、どうやったら治せる?」


「多分、同じ『神の雫』ってやつを手に入れたらいいんじゃない?」


「それはどこに有るんだ?」


「さぁ?」


「王国でも貰い物らしいわ」


 エマが答えてくれる。ああ、またあっちで何とかしないといけない事が増えた。けど、水に入ったら女の子になるんじゃなくて良かった。そうだったらあっちに行った途端変身だった。


 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ