第六十三話 稀少
「ビッチ! 死ねーっ!」
エマがミコに向かってドロップキックを放っている。ミコはブタ人間に二匹に両手をそれぞれ押さえられている。ミコの顔に迫るエマの両足。ミコはビキニ、エマはスク水だ。なにやってんだコイツらは。
ミコは前に出てドロップキックをまともに受けるがそのまま進み、開いたエマの両足の間に頭をこじいれてエマを掴む。ブタ如きの力じゃこの狂犬を止められる訳ないよな。多分エマは攻撃させられた。誘い込まれたんだな。ミコはエマを抱え上げ、そして便所の床に叩き付ける。
ドゴン!
あ、タイル割れてる。大丈夫かエマ。後頭部から叩きつけられたぞ。そしてピクピクしてるエマを置いて、ミコはブタ人間にヘッドバッドを順番に食らわせる。ブタ人間共はキラキラと光りになって消え去る。怖ぇ。これが聖女というものなのか? 本当は職業、グラップラーとかの間違いなんじゃないか。
「ヒール」
ミコがエマに触れると白い神々しい光りがエマに吸い込まれる。多分回復魔法だな。なんかコイツが人を癒しているより、傷付けるのばっか見てるような気がするのは気のせいか?
「お前、なにやってんだよ」
「ああね、これがいきなり襲いかかって来たから帰りうちにした。やっぱこういうのは正面から叩き潰さないとね」
そう言うとミコは多分SNSで流行ってるダンス的なものをしてポーズを決める。勝利のダンスかよ。
「あいたたたたっ」
後頭部を押さえてエマが起き上がる。
「いったーっ。頭蓋骨にヒビはいったかと思ったわ」
「ヒビはいったかと思ったじゃなくて、ヒビはいってたから。治したけど、しばらく大人しくしてないと死ぬよ」
そりゃそうだ。タイルの下はコンクリートだ。そうなるよな。けど、治癒出来るからって容赦なくコンクリートに叩きつけるミコはやっぱりサイコパスだ。常人には出来ない。
「さすが聖女。うちがもっと強くなってもっといい魔物を呼べるようになるまで勝負はお預けです」
お預けもなんもめっちゃやられてなかったか? 死にかけたのに言葉がそれか。こいつ、大人しそうにしてたのにメンタル鋼なのか?
「で、なんでバトってたのか?」
目を放したらすぐこうだ。コイツらは戦わないといけない呪いにでもかかってるのか?
「鑑定の巻物で、さっきのポーション見たら本物だったのよ。だから、たっちゃんが居ないうちに飲もうかなと思って」
まじか。あれ、アビリティポーションだったのか。
「で、飲んだらどうなるんだ?」
「全ての能力が若干強化されるのよ」
まじか、そりゃコイツらが争う訳だ。だいたいゲームではなんらかの能力値一つが上がったりするものだけど、全部上がるのか。
「4百年続く王国の宝物庫にも三つしか無かったんだから」
まじか。日本だと正倉院の宝物のようなものか。じゃ、これ値段がつけられ無いようなものなのか?
「たっちゃん自覚無いみたいだけど、普通シルバースライム倒すのって、騎士団総出でも難しいらしいから。4百年で討伐回数が十回無いらしいから」
えっ、まじか。そうだよな。僕らは形が分かってるダンジョンだから追い込めたけど、フィールドとかだと逃げられて終わりだもんな。
そうか、それなら気持ち悪くても、あっちで生き抜くために、僕があれ飲みたいな。けど、これ以上揉めたら明日からの探索が難しくなるかも。どうすれば。そうだ。
「また、スライム狩りに行くぞ。そして集めるんだ、『アビポ』を」
「アポ」
「アポン」
なんか呼び方に不満があるようだな。知るか。
「それで三つ集めてみんなで仲良く1本づつ飲もう。それならもう揉めないだろ」
「さすがタッキ。そうしましょ」
「いいですけど、サリナをよんでマナ貰わないと、うち魔法使えないよ」
「しょうがないわねー」
ミコがエマに抱き着き首元に吸い付いてる。
「なにしやがる。この痴女ビッチ! あ、来てる、マナが……」
抵抗してたエマが大人しくなる。
「聖女も魔力譲渡つかえるのね。意外にビッチ便利」
ミコが顔を離す。なんが逆に吸い取ってるようにしか見えなかったな。という事は誰かが魔力切れに成る度にこの百合シーンを見ないといかんのか?
「そろそろ、その呼び方止めないと、あんたをガチビッチにするわよ」
「ゴメンゴメン」
なんかミコとエマが仲良くなってきている。まあ、中身はあんまり違わないもんな。気持ちが外向きか内向きなかなだけで、2人とも間違いなく変態だもんな。
「じゃ、その前に一汗流すわよ。タッキ、入って来てもいいからねー。ま、タッキはチキンだから無理か」
ミコがエマを引っ張って風呂の方に行く。
「チキンで結構」
だって体が戻ってない。行っても何も出来ないし、なんか見たい気持ちが起きない。っていつ体戻るんだよ。水着を脱いで体を拭いて着替える。ってここ幾つセーラー服おいてあるんだ? まあ、多分、薄い本を作る時のデッサン用なんだと思うけど、お金かかるよな。サクラ、エマ、サリナの誰かはお金持ちの子なのかもしれないな。多分、サクラっぽい。
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