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第六十二話 魔法薬


「なんでお前ら、これ欲しがってるんだ?」


 瓶に入った銀色の液体。液体金属にしか見えない。なんかの嫌がらせにしか使えないんじゃないか? その前に生身で触れていいものなのか?


「タッキもしかしてこれしらないの? これは『アポ』よ『アポ』」


 ミコは嬉しそうに瓶を振る。これがレベル差ってやつか。僕は握り締めないと持てなかったのを指二つで持ってやがる。


「お前の事か?」


「それは『アホ』。って誰がアホじゃい」


 うん、ノリがいい上機嫌だな。


「で、『アポ』ってなんだ?」


「嫌よねー。品が無い人達って。『アポ』って呼んでるのはあなた達だけでしょ。私達は『アポン』って呼んでるわ。って返しなさいよ」


 エマがミコから瓶を奪おうとするのをミコがひょいひょいかわす。


「『アポ』でも『アポン』でもどっちでもいいから、なんの略だ?」


「えー、分かんないの? 『アビリティポーション』の略よ」


 エマはこっち見ずに言う。ミコから瓶は奪えず、猫じゃらしにじゃれてる猫みたいだ。アビリティポーションを略して『アポン』か。アビリティポーションって言うくらいだから、飲んだら何らか強くなるんだろうな。んー、なら。


「じゃ、キュアポーションは」


「キュポンよ」


 少し可愛い。


「マジックポーションは?」


「マポンよ」


 なんかフランス人の名前っぽいな。


「ヒーリングポーションは?」


「ヒーポンよ」


 なんか語呂がよろしくないな。


「じゃ、日本の戦後に流行ったヤバい薬は?」


「ヒロポンよ」


 よく知ってたな。闇の世界の一員だけある。なんか女の子で『ひろこ』ちゃんとか『ひろみ』ちゃんとかのあだ名が『ヒロポン』とかだったりするけど、いかがなものかと思う。だってヒロポンはメタンフィタミン、要は麻薬だ。覚せい剤だ、俗に言うシャブだ。『ヒロポン』って呼ばれてるのは『シャブ子ちゃん』って呼ばれてるのあんまり変わらないと思う。


「さすがだな。優等生。物知りだな。で、僕が何を言いたいか分かるか?」


「んー、分かんないよ」


「それはだな、その薬はヒロポン同様、薬というより麻薬や毒なんじゃないかって事だよ」


 なんか上手く繋がったな。


「大丈夫よ」


 ミコが即答する。


「みんなが飲んでの見たから」


 こげなものを飲んでた? 


「っておい、そのみんなが飲んでたって、飲んだやつは勇者だな。そんなキモい液体、普通飲まねーよ」


「えっ、何で知ってるの? 誰かに聞いたの?」


 ん、いつもながらミコとは会話が上手くキャッチボールできないな。エマが瓶を奪おうとするのを止めて話し始める。


「そうなのよ。あのとき秘宝って言われて差し出されたのをみんな直ぐには飲めなかったわ。けど、勇者の西園寺くんが、躊躇いもなく飲み干したのよ」


 おいおい、秘宝とか言われたからって、こんなの普通飲めるか? さすが勇者、メンタルも勇者だな。


「それは分かった。で、その薬とこれが同じものだって証明できるのか? お前らコレを取り合って飲むつもりかもしれないが、薬って保障、無いだろ。たとえば、道端にコーラの瓶に入ってコレが落ちてたらお前ら飲むか?」


「そうよね」


 ミコが僕に小瓶をくれる。ずっしり重い。


「性転換薬って知らないで飲み干したタッキが言うと、とっても説得力あるわ」


「余計なお世話だ」


 んー、いつ薬の効果は切れるんだろう?


「まずはちゃんと鑑定しないとね。エマのチームの錬金術師が出来るでしょ」


「レベルが足りてたら出来ると思うわ。アポンの事はサリナに鑑定してもらってから誰が飲むか決めるって事で、まずは帰りましょ」


 そして、僕らはドロドロビチャビチャなまま、送還の魔方陣に向かい、迷宮を後にした。なんかほとんどスライムはミコが倒したな。けど、一番の大物は僕が倒したからいい経験値になったんじゃないだろうか。あっち行った時のレベルアップが楽しみだ。

 モノクロの世界に戻り、まずは風呂に入る。先に僕が水着になって入って、後から2人が来る。脱衣所で着替えた時に呆然とする。まじで、何もついてないよ。しかも小っこいながら胸も膨らんでいる。錬金術師の薬、恐るべしだ。ていうかまだ戻んないのかよ。ちなみに錬金術師のサリナや、預言者のサクラ、忍者シノブは授業に出てるから、ここには僕たち3人しか居ない。僕らの水着、しかも僕もビキニが用意してあったのはサクラの能力だろう。教えてくれたらいいのに。って教えて貰ってたら、多分、錬金術師のサリナに復讐に行ってたかもしれないな。なんか未来を予知されてるって気分がよろしくないな。どうにかサクラにお仕置きしてやりたいものだ。

 浴槽に浸かりながら考える。今は緊急事態だから休戦してるけど、クラスメイト全員、僕を一度見殺しにした。次の転移までは馴れ合ってるフリをするが、それ以降は全員敵だ。絶対に死なない程度に甚振ってやる。

 ん、あいつら入って来るって行ってたのに遅いな? なんかあったのか? それともまだ喧嘩してるのか?


 ドゴン!


 部屋全体が揺れる。おかしい、何が起きている? 誰かバトってるのか? 僕は浴槽から飛び出す。クソッ。まだ浸かってたかったのに。


 読んでいただきありがとうございます。


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