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第五十六話 2.5次元


「シルバー!」


 エマが叫ぶ。キャラ忘れて興奮してるな。部屋の扉を開けたら、キラッとしたものがシュパーンと僕の横を通り過ぎてった。まだ隣の部屋にいたエマにはそれが識別出来たようだ。


「困ったわね。3時間。ここでは3時間で魔物が消失して新しいのに変わるの。この前はギリギリで逃げられた」


 そっかー。常に新鮮な魔物がここには居るのか。3時間もあればなんとかなりそうだけどな。


 びちょん。


 びちょん。


 濡れた靴下で歩いてるような音がする。


「なーがーさーわー」


 ん、遠くからミコの声。見るとエマの隣の部屋の扉から何かがズルズルと足を引きずって来てる。ミコだ。通った後には粘液みたいなのが跡を引くいていてナメクジみたいだ。全身なんかドロリとした液体に塗れていて、顔も髪の毛もドロドロだ。ローション相撲をした芸人さんみたいだ。軽く女の子止めてるな。そう言えば最近あんまりテレビで見ないな、ローション相撲。聞いた話によれば怪我人が出て危ないし、女性がしたら放送事故や人権問題になりやすいからだそうだ。けど、なんで近くに居る女性はサクラにしてもミコにしてもその旧時代の産物のヌルヌル相撲が好きなんだろうか? 平成の体当たり芸人かよ。 


「なーがーさーわー、お前のもヌルヌルにしてやるー。ゲホゲホッ。ぺ、ペッ」


 なんかミコがむせて口からドロリとしたものを吐き捨てる。きたねーな、ヤンキーかよ。なんか女の子がつば吐くのを生で初めて見た気がする。ミコの制服はピンクスライムのおかげか所々解けていて下着も見えてるが何も感じない。顔もドロドロだし。ゾンビ系の魔物にしか見えない。


「……きたな……」


 エマがボソリと呟く。まだミコには心許して無いんだな。


「何が汚いだ。オメーの呼んだスライムのおかげだろ。オイ、しかも上位種混ぜてただろ。服がとけちゃったじゃねーか」


 おお、ドスの効いた声。ゾンビヤンキーだ。エマが僕の後ろに隠れる。けど、今は仲間内で争ってる場合じゃない。

 

「ミコ、後にしろ。滅多に出ない、経験値沢山持ってるシルバーのスライムが出たんだ。仕返しは後にして力を貸して欲しい。僕にはミコの力が必要なんだ」


 僕は真摯に頭を下げる。別にこいつじゃなくても大丈夫だけど、僕の作戦には人手があったがいい。


「えっ、何よ急に改まっちゃって。いいけど、出来れば着替えて来たいかなー」


 ミコの声が普通に戻る。多分、人から頼られる事が少ないんだろう。だからお願いされるだけで嬉しそうだ。チョロいなあと一押しだ。


「悪いが時間が無いんだ。気持ち悪いかもしれないが、後にしてくれ。頼む」


 深々と頭を下げる。


「まあ、しょうが無いわね。で、何すればいいの?」


 お、あっさり上手くいった。まあ、ミコは押しに弱いからな。


「相手は素早いから、扉が一つしか無い部屋に押し込めようと思う」


「けど、そのスライム、どこに居るのか分かるの?」


「……魔物の位置……分かる……」


 エマが怖ず怖ずと手を上げる。


「へー、凄いわね。長沢ちゃん。じゃ、そのシルバースライムを倒すまでは勝負はお預けね」


 ミコが笑顔で近づいて来て、エマに手を差し出す。なんか違和感。コイツはそんな爽やかな人種じゃないはず。僕の後ろから警戒しながらエマが出てきて、怖ず怖ずと手を伸ばす。


「ばーかーめ。かかったな」


 ミコの楽しそうな声。エマの頭の上に差し出したミコの手からドロドロとしたピンクの液体が降り注ぐ。


「キャアーーーーッ」


 絹を裂くエマの悲鳴。エマはペタンと座り込む。ミコ、ピンクスライムの汁をアイテムボックスに隠し持ってたのか。


「いやーーーーっ」


 エマを汁が流れ落ちた後は、結構ヤバい感じだ。髪ゴム、眼鏡は落ちて、ブレザーは穴だらけ。スカートも穴だらけでピンクの水溜まりに座っている。水溜まりに座っている? いかん!


「エマ! 立て!」


 僕はエマを無理矢理立たせる。水溜まりに座ってたら、そこだけ余計に溶けるんじゃ?


「うぅ。グスン……」


 エマの顔を流れてるのはスライム汁なのか? 涙なんだろうか?


「大丈夫か?」


「ケケケケケケケケケケ、キャッキャッキャッ」


 ミコがエマの背中を見て、悪魔みたいな笑い声を上げている。何がそんなに面白いんだ?


「長沢、お尻丸出し」


「キャッ」


 エマは両手でお尻を押さえる。あ、床には真っ白いパンツだったものが落ちてる。ほぼ溶けてる。


「これで、おあいこね。あたしも服やられちゃったんだから」


 ミコは満面に笑みだ。溜飲を下げたようだな。


「ううーっ。眼鏡は高い」


 エマはミコを睨んでいる。けど、怖くも何ともない。むしろ可愛い。大っきなパッチリお目々に、ピンク色の髪。そっか髪、染めてて地毛はピンクブロンドなのか。ブレザーで隠れていたお胸は結構大きい。スレンダー系桃髪ロリ巨乳。ヤバい2.5次元の役者さんみたいだ。


「おいおい、もう争うのは止めろ。よく考えてみろ。誰も得してないだろ」


 まあ、僕は役得ってやつだがね。隣にノーパンの2.5次元美少女が泣いてるってだけで、ガンが使用不能になりそうだ。

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