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第五十三話 修行


 それから僕は学校を休んで修行に明け暮れる事にした。次のラグナフェンへの移動まで、寝る、飯、風呂以外ずっと戦いまくる。両親にはしばらくミコと勉強会するから学校を休むとは伝えている。

 まあ、勉強は勉強でも戦いの勉強だけど。成績が悪くないのが助かった。すんなりと両親は納得してくれた。けど、母さんが微妙な笑みを浮かべてたのが気になる。間違いなく違う勉強って勘違いされてるな。けど、弁明はしない。やぶ蛇になりそうだから。


 朝起きて制服に着替えて、地下駐車場から忍者に連れられて影世界に入る。モノクロの世界に驚きながらもミコもついてくる。そこでセーラー服に着替えてメイクさせられる。なんの儀式だよ。ミコに『アフターピル』の魔法をかけてもらって、一緒に召喚士に迷宮に送ってもらう。往復できるようになってて魔法陣に入ったらあっちの魔法陣に出て、また魔法陣に入ったら戻ってこれて魔法陣が消える。僕たちがいるのは城の石垣のような石を組み合わせてつくった壁と床に囲まれた小部屋だ。木の扉が一つある。日光もなく、火もないのに辺りは昼間みたいに明るい。どうも床、壁、天井自体が光ってるみたいだ。光る岩なんか地球には無いからここは異世界だと思う。ここがどこに存在するのか気になるが、それは今は重要じゃない。

 これから夕方まで戦って、戦って戦いまくる。

 初日は安全マージンをとって地下一層のスライムを借りまくる。ミコと召喚士のエマがついて来てる。他のみんなは学校だ。ちなみに僕はセーラー服で後の2人はブレザー。学校な制服だ。



 ファーストスライムを殴って殴って殴って防御を取り始めたとこで踏み潰す。そして残った魔石を拾う。これまで数多のスライムを屠ったのは伊達じゃない。僕はドヤって後ろの少女2人を振り返る。

 エマは僕の勇姿を撮影している。


「……やっぱり、トランクスは、無いです。サクラちゃんに相談して……もっと可愛く……」


 さすがサクラ一味。パンチラ撮ってやがったのか。見ろよバトルを。


「ねぇ、タッキ、なんで素手?」


 ミコが問いかけてくる。


「なんでって言われても。ほら、普段、普通の人は武器なんか持ってないって。銃刀法違反って知ってるか? 確か12センチ以上の刃物持ってたら捕まるんだぞ」


「……6センチ」


 エマがボソリと呟く。


「えっ、まじか、そんなに短いのでも捕まるのか?」


 エマがコクコクと頷いている。厳しいんだな日本。


「ほれ」


 ミコが僕に棍棒を差し出す。そうかこいつはアイテムボックス持ちだもんな。


「そもそも僕が素手ばっかりなのは転移先には武器が無かった訳で。決して素手が好きな訳じゃない」


「わかった。わかったからって。これで時間短縮できるよね」


 僕は棍棒を受け取る。ずっしり重い。なんかミコが不機嫌めだ。もしかして退屈なのか?


「うわ、なんかきたねーな。先っちょになんか汁がついた跡あるぞ」


「……使用済みディルド……」


 なんかエマが物騒な事言ってる。


「あんたねー。もっと大きな声出しなさいよ。何言ってるのか聞こえないわよ。それはウサギの返り血よ。洗っても洗っても取れないのよ」


 いや、聞こえなくて良かったと思うぞ。ミコの地雷は沢山あるからな。多分エマはそれが分かってるから、僕にだけ聞こえるように言ってるんだろう。


 気を取り直して進む。


 ここは通路は無く、小部屋と小部屋が一つないし二つの扉で繋がっている。空部屋を二つほど通ると、スライム発見。ちょっとミコが退屈そうだからここは譲るか。


「ミコ、お前、スライムやった事あるか?」


「ないわ。経験値ゴミクズらしいから」


 まじか、僕はそのゴミクズを延々と倒して喜んでたのか? なんか格差を感じるな。


「じゃ、試しに倒してみるか?」


「えっ、いいの?」


 って答える前に駆け出してるし。そして足を振り上げ踏み降ろす。前からはパンツ丸見えだろう。はしたないな。僕はできるだけパンツ見えないように気をつけてるのに、ん、なんでだ?


 バシュッ!


 腹立つ事に一踏みだ。これがレベルの差か。スライムは弾ける。そして汁を激しく撒き散らす。


「うえっ。気持ち悪っ」


 ミコはどろりとした汁まみれだ。ミコじゃなければ少しテンション上がるんだが。ヌルヌルの液まみれのギャル。写真に撮っとけば売れそうだな。 

 よくゲームの序盤とかじゃスライムを狩りまくるものだが、この返り血や、返り汁はどうしてるんだろう。


「多分、弱酸性だからしっかり落としたがいいぞ」


「タオルもってないの?」


 そんなのもってないよ。


「……どうぞ……」


 エマがミコにタオルを差し出す。もしかしてこいつもアイテムボックス持ち? 負けた……


「ありがとう」


 ミコは受け取る。もしかして僕らってダメダメなのか? 迷宮に隠るにはやっぱ準備が必要って事か。ミコは一通りスライム汁を拭き取るが制服は濡れている。


「ねぇ、もう帰らない。気持ち悪い。風呂入りたい」


「おいおい、まだ始まったばかりだろ。じゃ、お前だけ先に帰るか?」


「考えとく。助かったわ」


 ミコはタオルをエマに渡す。エマはそれを大事そうにビニール袋に入れる。


「ん、なんで袋? アイテムボックスに入れるんだろ?」


「……売る。ギャルの生肌ふいたタオル……」


「ちょっと待ちなよ、それは勘弁。あたしの汗がヌルヌルみたいじゃないの」


「……じゃ、買う? 二千円」


「買う」


 ミコは自分の使用済みタオルを買っていた。けど、金額も微妙じゃないか?


 読んでいただきありがとうございます。


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