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第四十四話 戦場へ


「ちょっと待って、3分ちょうだい」


 サリナ、錬金術師か。


 男子トイレにバスタオル巻いただけの少女が4人。違和感ありありだな。

 

「私に任せてメイクするから」


 メイク? 化粧の事か? 


「お前、何いってんだよ。嫌だよ」


「今、その格好で外に出たら女装した可愛い男子よ、目立つわよ。けど、メイクしたら問答無用の女の子に見えるから違和感無いわ」


 確かにそうかも。けど、どんな男でもメイクしたら化け物みたいな顔にしかなんねーよ。なんか騙されてるような気もするが、サリナに言われるまましゃがんで目を閉じる。顔をペタペタされる事数分。


「完成。見て」  


 サリナが出した折りたたみの手鏡には可愛い系の美少女が映っていた。まじかよ、技術力高すぎだろ。これが錬金術師か? おーまいがっ。


「のど渇いたでしょ」


 サリナが蓋を取ってコーヒー牛乳をくれる。開けて一気飲みする。


「お前、気が効くな」


 え、声が高い?


「大成功。高音の薬よ。声が高くなるの。その格好で普通の声だったらおかしいでしょ」


「おい、さらりと薬盛るなよ」

  

 アブねー。サリナは確かに目の前でコーヒー牛乳開けたのに、いつ一服盛りやがったんだ? ここでは金輪際飲み食いしないぞ。まあ、けど、急いだがいいな。

 けど、なんかしらんけど、ラグナフェンに行ってから絡むのは女の子ばっかりだ。ウルル、ライラ、マリンはめっちゃ可愛いかったし、ミコ、ネネとその友達はレベチだった。ここの4人はもさいから普通っぽいが、それでも可愛い。もしかしたらモテ期が来たのかもと思っていたが、ついには僕が見た目美少女になるとは……人生何があるか分かんないもんだな。おっと、考え込んでる場合じゃない。


「シノブ、行くぞ」 


「ちょっと待って着替えてくるから」


 シノブはトイレの個室に入ったと思ったらすぐに出てきた。はえーな着替え。


「じゃ、気をつけるのよ」


「またね」


 スク水のサクラとサリナが手を振ってる。


「じゃ着いてきて」


 忍者服に戻ったシノブと便所を後にする。何故か着ぐるみパジャマを着てるエマがついてくる。何も無い白い悪夢のような空間を走る。


「なんでついてくる?」


「……」


 エマは答えない。どうでもいいけど、生まれて始めてのスカートだ。ヒラヒラして邪魔だし、やたら股間がスースーする。けどメリットはある。ガンをすぐに出せる。焦ってチャックで挟まないかという恐れが無くなる。まだ着ぐるみついてきてるな。


「シノブ、こいつ、なんなんだ?」


「私も分かんないわ」


 シノブが応える。エマは召喚士、さらに魔物を呼ばれたら困るな。


「もう魔物は呼ばないと誓ってくれ。そうじゃないなら置いてく」


「……うん」

  

 格好といい、訳が分かんないが、まずはネネを助けないと。


 しばらく走ると、上に黒い穴が空いてるとこに来た。


「飛び込んで」


 シノブがそれを指差す。


「無理だろ」


 3メートルくらいは高さがある。


「しょうがないわね」


「おい、何してる?」


 シノブは床に寝っ転がり、足を上に向けてる。もうやだ。コイツらの思考回路は訳分かんない。

 

「勘違いしないでよ。誘ってる訳じゃないわ。きれいに私の足の裏に足を合わせてジャンプするのよ。そしたらアレくらい簡単に届くわ」


 そう言えばなんか聞いた事がある。昭和のサッカー漫画で、そうやって高くジャンプしたとか。けど、実際はほとんどのスポーツでは他人の体を利用するだけで反則だそうだ。そうじゃないと、バスケットボールとか肩車してる奴ばっかになるもんね。


「本当かよ」


 とか言いながらも、試してみるか。


「行くぞ」


 ひょいっとシノブの足の裏に足の裏を合わせる。さすが僕。上手くいった。シノブの足が伸びる良い感じだと思ったが、足がずれる。


「はうっ」


 伸びた足の先は僕の股間。なんとか体をずらしてクリーンヒットは免れたが皮一枚くらい挟んだ。やば、クソ痛い。お腹が底から上がってくるみたいだ。いかん、そのままシノブに覆いかぶさる。手が柔らかいものに当たる。


「キャッ」


 シノブが僕を思いっきり押し飛ばす。


「うおっ」


 やべ、力強すぎだろ。大きく僕は飛んで行く。そして穴に吸い込まれ空中に投げ出される。


「おわっと」


 そこまで衝撃なく地面に転がる。コンクリートが冷たい。帰って来た。駐車場に。けど、股間の痛みで息が出来ない。のたうちまわりながら、さすさすする。

 

「あっ、ふひぃ、ふぅ、ふぅ」

 

 痛みで変な声がでる。マジ痛い。誰か助けて。シノブのアホ。普通に僕を投げて放り込めたんじゃないか?


「何よ! あんた! 何こんなとこでオナってるのよ」


 ネネの怒声が響く。


「くっ、くふぅ。ち、違うんだ。さ、さすってるだけ……」


 痛みに堪えてなんとか声を出す。あのシノブの馬鹿力で蹴られたから、擦っただけだけど下手したら半分くらい潰れてるんじゃないか? 体から力が抜けて動けなくなる。


「いっ、いったーーーー」


 口から苦悶の声が漏れる。ヤバい飛びそうだ。


「何、あんたイッてるのよ」


 違う。いったんじゃなくて痛いんだ。けど、荒い息だけで声が出ない。なんか金属音や、鈍い音が聞こえる。アイツらまだ戦ってるのか?



 読んでいただきありがとうございます。


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