表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/87

第四十一話 メビウスの輪

あと、9話で完結しようと思ってたんですが、もう少し長くなりそうです。


「キャーーーーッ!」


 マリンがデカゴブリンに舐められて叫んでる。ウルルを逃がし、ライラを逃がす。


「ウォーターガン!」


 ゴブリンなら一撃のノーマル弾だ。


 バシュッ!


 ゴブリンの顔に当たるが、軽く仰け反っただけだ。


「きゃあ」


 マリンが飛んでくる。その時愕然とする。マリンの胸の先とお股にはピンクのハートマークが!? サクラのスキル、18禁仕様なのか? あいつは即垢バン生物のくせに。

 思考したのは一瞬。僕とマリンはぶつかって鈍い音を立てる。マリンの飛び出した骨が僕に、僕から飛び出した骨がマリンに刺さっている。2人ともぐちゃぐちゃ骨折れまくりだな。痛みで吐きそうだ。いや、吐いてるようだ。そして、デカゴブリンに踏まれる。




「フルパワーハイメガウォーターカノン」


 全力ならどうだ!


「ギャッ!」


 マリンの悲鳴。最悪だ。デカゴブリンはマリンを盾にしてほぼ無傷だ。水風船が破裂するような音と共にマリンが弾けた。デカゴブリンの手には苦痛に歪むマリンの首。それを僕に投げつけてくる。やり直し。


 それから、接近してメガカノンを撃とうとする。近づいたら即踏み殺された。威力を調整してデカゴブリンにガンを撃ってみるが、奴は自分が耐えられるのは受けて、耐えられないレベルになるとマリンを盾にする。ダメだ。どうしてもマリンを助けられない。

 まあ、シミュレーションだからという事で、ウルルとライラを連れて逃げる。すまんマリン。これは最悪だった。逃げる僕らにデカゴブリンはおっかけながら千切ったマリンの手足を投げてきた。マリンは叫びながら絶命し、ライラとウルルもぶつけられて踏まれて絶命し、僕もマリンをぶつけられて踏み殺された。思い出すだけで鳥肌ものの地獄だった。

 そして、ウルルだけ連れて逃げようとしても、ウルルはライラを見捨てられず戻り、マリンとウルルは殺されて、ライラは捕まって、僕もゴブリンに追い着かれて多勢に無勢で殺される。

 そして、唯一助かるのが、始まった瞬間に背中を向けて一目散に逃げる。後はどうなったのか分からないけど、僕だけは助かった。

 助かって僕は考える。


 どうするか? 


 多分あと数回しか試せない。頭からマリン、ライラ、ウルル断末魔の叫びが離れない。なんでこんなに僕は弱いんだ。弱いから逃げるしか無いんじゃないか? 何をやっても無駄だ。どうにかしてデカゴブリンを倒したとしても、裸の女の子3人抱えてゴブリンの軍団と戦う事になる。無理だな。みんな死ぬよりも、せめて僕だけでも生き延びた方がいいんじゃないか。


『ぶん殴るぞ』


 ウルルの顔が頭に浮かぶ。乱暴な奴だけど、なんか優しさを感じるんだよな。


『タッキ』


 マリンの笑顔。なんか裏がありそうだけど、悪い奴じゃないと思う。


『し、汁っ』


 照れてるライラ。可愛かったな。なんかあんなに楽しく飯食べたの初めてだよな。それまでがしんどかったからな。ん、顔が熱い。泣いてるのか? そうだよな。アイツら助けないとな。僕は弱い。けど、恵まれてる。こんな検証するチャンスを貰えて。覚えればいい。デカゴブリンの動きを。何回やられてもやるまでやってやる。シミュレーションで何回やられても実戦でやればいい! デカゴブリンを倒してなんとか避難所まで逃げれば助かるかもしれない。


 じゃ、やり直しだ!


 そして、ウルルを逃がそうとすると、違う言葉が返ってくる。


「何言ってる、私も戦うぞ」


 ん、何が変わったんだ? けどそうだよ。1人で戦う必要は無い


「頼む。僕はマリンを助ける。武器を持ってきてくれ」


 走りながら叫ぶ。何もしないと、デカゴブリンはマリンを千切って投げてくる。そんな地獄は勘弁だ。


「ライラ呆けるな。ウルルから武器を貰え!」


 そうだ。みんなで笑ってまた飯を食うために、僕はなんでも使う。


「はっ、はいっ」


 ライラが下がり、僕はゴブリンに近づく。


「グゥアーーーーーーッ!」


 デカゴブリンも動きが変わっている。マリンを握ってない方の手で剣を抜く。


「タッキ!」


 ウルルの声に振り返ると、棍棒が飛んでくる。それを両手でしっかりキャッチする。戦いで武器を使ったが有利。そんな当たり前の事がなんで分からなかったんだ? 僕の後ろでバシャバシャ音がする。ウルルとライラだな。


「キャッ」


 マリンをデカゴブリンが投げる。それを後ろに勢いを逃がしながら受け止める。マリンは怪我したかもしれないが、僕は軽傷だ。


「回復させるわ」


 ライラの声。僕はマリンを後ろに放る。手荒いけど、今はしょうが無い。


「行くぞ」


 横には裸で剣を手にしたウルル。


「マリンは無事よ」


 ライラの声。


「油断したわ。ファイヤーボール!」


 僕の横をバスケットボールより大きい火の玉が通り過ぎる。そして、ゴブリンの腹に当たり爆発する。チャンス! 僕の前にウルルが走る。僕もそれに続くが、ウルルが消える。いや、無くなったのは上半身だけ。バシャバシャと血を噴き出しながら裸の下半身が23歩進んで倒れる。目の前に急に現れるデカゴブリン。その像が2つに分かれる。体の真ん中が熱い。世界が重なりながら横になる。僕は頭から一刀両断されたみたいだ……



 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。


 とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ