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 第三十六話 預言者


「なんだ、僕しかもってないものって? 勇気か? 正義の心か?」


「仲間置いて逃げた奴がそんなの持ってる訳ないでしょ」


 忍者が即ツッコむ。


「言ってみたかっただけだ。で、なんなんだ?」


「そりゃ決まってるじゃないですか」


 アイマスクが携帯をこっちに向ける。


「おちんちん出してください。出来れば大っきくした状態で」


「出すかボケェ!」


 僕はこたつから立ち上がる。まじで、こたつをひっくり返してやりたい気分だ。


「別にいやらしい意味で言ってる訳じゃないです。ヌードデッサンと一緒です。作画の資料として色んな角度から色んな状態のを撮影したいのです。学術的探究心です」


「うるせー。そんならネットで動画や画像拾いやがれ」


「欲しいアングルのが無いのですよ。やっぱり角度を妥協するとリアリティが」


「リアリティもなにも無修正は犯罪だろ。モザイクで我慢しとけ。帰る。僕は帰る。帰してくれ!」


「冗談ですよ。ここからが本題です。プレコグニションって聞いた事ありますか?」


「知らねーよ。そんなの」


「では、なんで私がアイマスクしてると思いますか?」


「それこそ知らねーよ。SMのグッズか?」


「それもありますけど」


「あるんかい!」


「なんかいいですよね。動けなかったり目が見えないのって。なんかドキドキワクワクしますよね」


「しねーよ」


 つい最近そんな目に会ったばかりだ。アイマスクがそのアイマスクに手をかける。外した目は閉じている。そして、ゆっくりとその目が開く。左目は普通だが、右目は瞳の色が薄い。吸い込まれそうな大きな瞳に一瞬見とれる。彼女はゆっくりと目を瞑る。


「悠久の時の流れの中、起こった事、起きる事はほぼ同時に過ぎない。私の目はその揺らぎを見続ける。簡単に言うと、私は常に少し前のあなたと、今のあなたと、少し後のあなたを見続けてるの。目を閉じてないと、混乱するわ。まだスキルを制御出来てないの」


 確か、忍者の話ではコイツの名前はサクラだったな。ラリってるのか? 何を言ってるのかイミフだ。


「私の職業クラスは預言者。占い師がレベルアップしたものよ。人類の共通無意識の海、私はイドの海ってよんでるわ。イドの海から未来を読むのがプレコグニション。あなたが私たちと敵対しないなら、私たちはあなたに協力するわ」


 んー、なんか訳が分かんないな?


「要は、僕がお前らに危害を加えないのなら占ってくれるって事か?」


「占いじゃないわ。プレコグよ」


「何が違うんだ?」


「的中率。ほぼ外れないわ」


「本当か?」


「本当よ。あなたが疑う事も見えてたわ」


 そう言うと、サクラはこたつの上に二つ封筒を出す。そして一つを僕の前にペンと一緒に押し出す。


「なんでもいいからそこに私に見えないように書いて」


 見えないも何も、さくらは目を閉じている。にも関わらず、全く動きに淀みが無い。見えてるんじゃ?

 なんか学芸会の手品みたいだな。なんて書こうか。そうだ、コイツらのようなザコが知らないような最悪な言葉を書こう。悪魔の言葉を書いて封筒にしまう。


「こちらは私があらかじめ予知して書いたものです。開けてみてください」


 僕は封筒を破って開ける。そこには女性っぽい細い綺麗な文字。


『サクラはトビラ』


 ま、まじか。本物なのか? まず、僕がサクラの名前を知ったのはさっきだ。それからサクラはずっとこたつに座っていた。何かを書く暇なんか無かったはず。もしかしたら、僕が書いた瞬間に時間を止めてサクラが書いた? それくらいしか他の可能性は考えられないが、そんなに強力なスキルを持ってるのなら、こんなとこでこんな事してないだろう。


「どうですか? 当たってたでしょ」


 サクラが口角を上げる。正確には1文字違うが、蒸し返さなくてもいいだろう。


「ああ、凄いな」


 サクラは未来を見れる。それなら、見て欲しい僕がラグナフェンに行ったらどうなるかを。


「それで、私が扉ってどういう意味なんですか? 私を核になにかが開かれるって意味ですか?」


「私にも見せてくれ」


 忍者が僕が書いた封筒を取る。


「あっ、待て。それはもういいだろ。捨てろ」


 立ち上がって忍者から封筒を奪おうとするが、ヒラリとかわされる。


「んー、なに、『サクラはトベラ』? トベラってなんだ?」


 忍者、女の子がトベラトベラ言うな。


「それってトビラと間違えたんでしょ?」


 さすがのサクラでもこの言葉は知らないか。良かった。


「うん、そうだよ。まちがえたんだよ」


「なんだ、今の白々しさは? 調べるか……」


 忍者は携帯を手にする。


「バカッ! 止めとけ」


 忍者の邪魔しようとするが器用にかわされる。こいつ強い。


「トベラは、トベラ科トベラ属の常緑低木。別名でトビラノキともよばれる。訳分かんないな」


 忍者が朗読する。大丈夫そうだ。かなりディープに調べないとたどり着かないだろう。


「んー、『トベラ女』では? んー、さすがAI早いな」


「朗読するなよ。黙読しろ」


「えー、『「トベラ」とはデリケートゾーンや外陰部の臭いのことで、「外陰部臭症」「しもわきが」「すそわきが」とも呼ばれます。ニオイのもととなるエクリン汗腺やアポクリン汗腺が、女性器や陰毛部にも多数存在するために、わきがと同じような刺激臭を発することがあります』。要はんんーが、臭いって事?」


 忍者の言葉で、サクラの顔が徐々に真っ赤になる。あーあ、怒っちゃった……



 読んでいただきありがとうございます。


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