第三話 ボーイミーツガールズ
「くっそー。どうやったら火が点くんだよ」
僕は、木の棒を投げ出す。そして草原に寝転がる。あーしんどい。
今後何か倒して生肉を手に入れた時に、それを焼くために火を熾す事は絶対に必要だ。なんか昔に見た事がある、原始人的な火の点け方、板に棒をこすりつけて火を熾すのをやってみている。弾を補充してる合間に暇つぶしも兼ねて。森の縁で警戒しながら。ボロボロの倒木から木切れを剥ぎ取って、適度な木の枝をむしり取ってきた。木切れに木の枝を回しながら押し当てるけど、火はおろか、煙も出ない。それにすぐに木切れが崩れてしまう。多分、あの火の点け方にはかなりのテクニックが必要なんだろう。
「止めだ、止めだ、止めだ」
僕は木を地面に起き、再び闘いに身を投じる。そして、スライムを狩りまくる。
『ウォーターガンのスキルがレベル2に上がりました』
スライムに止めを刺した時に頭の中に声が響いた。
「ヒャッホー。やったぜ。レベル2だぜーっ! ってなるかアホぅ」
自分で自分にツッコむ。世界の声のツッコみはない。なかなか手強いな。これしきのボケじゃ作動しないのか。何がレベル2だ。なんでもっと有益なスキルのレベルが上がんないんだ。僕はかなりの数のスライムをぶっ叩いたのに。格闘とか格好いいスキルのレベルが上がれよ。
気を取り直して、レベル2ウォーターガンの威力を試す。なんとスライムが一撃で四散する。これは凄い。多分人に向けたらダメなやつだ。その前に僕のガンを人に向ける自体で人として終わってる気がするが。まあ、これは切り札だ。とにかく普通に強くなろう。僕は地道にスライムを狩る。
「うーん、なっげー夢だな」
起きてまずは顔を洗う。ここで寝たのはこれで7日。寝る度に枕の上に小石を置いていったから間違いない。あれからウォーターガンのレベルは3に上がったけど、他に変わりは無い。
だが、問題だが一つある。食料があと3日分、9食しかない。まだ多分、僕は間違いなくこの世界では雑魚だ。スライムすらまだ素手で倒せない。今日は何がなんでも素手でスライムをぶっ潰す!
野原でスライムを見つけて戦う。スライムがどうしても素手で倒せない。しょうが無くガンでスライムにとどめを刺す。
『二ノ宮達樹はレベル2になりました』
うぉ、頭に響く世界の声。それに伴い全身に力が漲る。やった、やっと普通に強くなったんじゃ? いける、これならいける。僕は意気揚々とスライムを探す。
「ブチッ!」
僕の拳が弱ったスライムを突き抜ける。
「やったー! やった! やったぞーーーー!」
僕は膝をつき、両手を天に上げる。ああ、空が綺麗だ。やった。やっと素手でスライムをぶっ倒した。これでもう思い残す事はない。行くぞ、森に。基本的には素手で戦うが、ヤバくなったらガンがある。
しばらく座って息を整え、僕は森に向かう。背をかがめて慎重に慎重に森に近づく。
「きゃあーーーーっ」
森に近づくと、中から悲鳴が。
甲高い声。これは人だ。人であって欲しい。僕は声がする方に何も考えず駆け出す。走る事しばし、ガサガサ木々が揺れる音がする。たまに大きな音。誰か暴れている。戦闘かもしれない。急に視界が開ける。木々がまばらになる。
「ゴブル、ザケーーーッ!」
剣を手にした女の子が叫んでいる。ザケーッて言ってる。何語だ? けど、やった、まじで人だ。木に白い服の女の子が持たれてかかっていて、その前に剣を持った女の子が立ちはだかっている。その前には腰蓑をつけた緑のハゲた小人。小人といっても小柄な女性くらいはある。それが3匹。間違いない。これは有名なシーンだ。緑のはゴブリン。それが少女たちに襲いかかってるのだろう。白い服の女の子は木に寄りかかっている。右足を少し上げているから、多分怪我してるのだろう。
「ウル、メグレ、メグレ」
剣の少女に白い少女が悲痛な声を出す。これは分かる『逃げて』って言ってるのだろう。
このあとの展開はわかる。漫画とかだったら、少女2人はゴブリンにやられて、そのあとエッチなイタズラとかされて、巣に持ち帰られるか殺される。
で、どうするか? 僕にはゴブリンの強さは分からない。戦って勝てるか? ゴブリンは各々棍棒を手にしている。今飛び出して行ったら、3対3。やれない事は無いだろう。だがリスクがある。これはしばらく観察して、剣の少女とゴブリンの戦力を確認するべきだろう。もしかしたら少女はメッチャ強いかもしれない。もしも少女たちが危なくなったら助ける。
剣の少女は牽制で軽く剣を振るが、ゴブリンたちは、その間合いには入ってこない。下卑た笑顔を浮かべながら、棍棒を振って挑発している。二匹が少女の前に立ち、一匹がしゃがむ。拳大の石を拾い、少女に投げる。
「グッ……」
白服の少女がうめき声を上げる。剣の少女がかわした石が、白服の少女に当たった。ゴブリンかなり頭がいいな。今のは剣の少女がかわしたら白服に当たるように狙って投げてた。白服の少女はかなり痛そうだ。当たり所が悪かったら死ぬかもしれない。こりゃいかんな。剣の少女は石を避けれなくなるかもな。
「うがーーーーっ!」
気が付くと僕は両手を広げてゴブリンたちに向かって駆け出していた。女の子を苛めるクソには制裁だっ!
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