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第十九話 口紅


「なーに話してたのー」


 高いねとっとした女の声がする。僕には女の子の知り合いは居ないから、多分どっかのカップルの会話なんだろう。僕は椅子に深く座って考える。


 残りはあと六日。その間になんとか解決策を考えないと。僕はあっちに言ったら、ゴブリンの大軍と対峙している。しかも仲間の女の子は全員裸。マリンなんて、でっかい奴に捕まってベロンとされていた。どうでもいいけど、なんで裸の女の子捕まえたデカい奴系ってベロンとするんだろう? 誰がルーツだ? 検索、検索。


『裸の女の子舐める』


 んー、キャンディ舐める少女が出てきた。これは違う。


『女の子ほっぺた舐めるルーツ』


 んー、「ク〇ニリ〇〇ス」とかヤバめな言葉が出てくる。何、夜の公園でこんなん見てるんだ。ちげーよ。


『ヒロイン舐める』


 今度は、なんか少女漫画で涙を舐めるってのがある。もしかして、デカゴブリンはマリンの涙を舐めてたんじゃないか? ビビって泣いたマリンを見て、『なんか水でてるどんな味だろ』ってゴブリンが思ったのかもしれない。さらに見ると『性癖』とかいかがわしい系の言葉の中に『某漫画の汗を舐める男』って出てくる。なんかルーツに近づいてる気もする。


『この味はウソをついてる味だぜ』


 うわ、男が男のほっぺた舐めてるわ。キッツー。


 ペロン。


 なんだ、ほっぺたにしっとりしたものが。鼻につく化粧品の香り。僕はもんどり打つようにベンチから転がる。


「アンタ、あたしシカトして、何こんな所でエロ検索してるの」


 腰に手を当てて立ってるギャル。ミコだ。


「えっ!」


 声がつい出る。ん、ミコ。ウェイビーな金髪に、制服のボタンを二つ程外して胸元が見える。ライラ程じゃないけどデカい。化粧が濃いから、可愛く見えるけど、落としたらどんなんだろう。女の子ではあるけど、なんか全く興味は湧かない。


 ミコにほっぺた舐められたのか? 当然生まれて初めての経験。ジョ〇ノの気分が分かる。最悪だ。


 それに、エロい言葉を見てたのを見られていた。ヤバい。これが穴があったら入りたいって気分だな。混乱してる僕に何か小さいものをミコが投げる。ついキャッチする。口紅。


「うおっ」


 つい、投げ捨てる。ウ〇コ触ったような気分だ。


「何、あたしのリップ捨ててるのよ」


 ミコはリップを拾う。パンツが見えそうで見えない。


「何見てんのよ。アンタの名前は今からナメオね。舐められるの好きなんでしょ?」


「いつから見てたんだ?」


「ずっとよ。アンタ鈍いわねー」


 ずっとって、何時からだろう。けど、気配はしなかった。カズマも多分気付いてない。そういう素振りはしなかった。

 もしかして、ガンを撃つのも見てた? 手の内がバレるのはヤバい。よーく考えろ。ミコも敵だ。溺れそうな僕の口に口紅投げ込んだサイコパスだ。

 さっき口紅を投げたのは、僕が忘れているっていうのが本当かどうか試したんだろう。なら会話は全部聞かれている。フォースも見られていただろう。けど、ガンを出したのを気付いてたのならまずはそれについてツッコんだはずだ。


「僕のスキル見てたのか?」


「悪く無いわね」


 やっぱ見てたのか。詳細はバレてないな。


「何が目的か?」


「あっちで死んでも死なないそうだから、こっちで死んだらどうなるのかなー」


 何言ってるんだ? 目の前からミコが消える。


「うおっ」


 僕は横に吹っ飛ばされる。脇腹に激痛。


「ガッハー」


 息が止まるのをなんとか吐き出す。


「みんな脇腹って柔らかいのよ。魔物も動物も」


 アブねー事言ってやがる。蹲った僕は見上げる。ミコが笑顔で見下ろしている。パンツは赤だ。そんなのどうでもいいけ。クソッ動けない。


「ぼっ僕を殺す気なのか。こっ、ここは日本だぞ」


 乱れる息の中なんとか言葉を絞り出す。なんとか横に転がり、ミコを射程に入れる。


「んー、さすがに殺したら捕まるから、じゃ半殺しで我慢するわ。殺すのはバレないスキルを手に入れたらにしよ。まー、怪我したまま魔物に囲まれたらあっちじゃすぐ死ぬはずよねー」


 普通に買い物してるような声だ。サイコパスめ。って、おい、半殺しでも日本じゃ捕まるわ。けど、困った。僕は直接戦闘は弱い。スキルは強力だけど、対人では強力過ぎる。ミコにぶっ放したら間違いないスプラッターだ。その前に日本ではガンを出したのを見られるだけで、公衆猥褻で捕まるだろう。さっきチョロっと出したけど。


「ま、まってくれ」


 時間を稼がないと。考える。


「待たない」


 けど、なんで、こんなにミコは強気なんだ? さっきの僕のフォースを見てたのなら警戒するはずなのに。スキルか? 僕のフォースに対抗できるスキルをもってるのか? なんか時間を稼げないか?


「なんで、さっき僕にリップ投げたんだ?」


 ミコは、にぱーっと笑う。興味を引けたか。正解か?


「あたしが男にリップをあげるのはね、女になれよって意味よ。今から二つとも潰してあげるから、リップを大事に使えよ!」


 なんと性転換命令だったのか! 奴の目は本気だ。しょうが無い、戦わないと子孫繁栄出来なくなっちまう!



 読んでいただきありがとうございます。


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