第4話 真正ロリ&神の虚偽 やばい
やっちまった。
掛け布団替わりであろう乾燥藁が裸の肌にちくちく痛むのを感じながらため息をついた。
ちゅんちゅんと雀らしき鳴き声が聞こえる。この世界にも雀がいるんだなあと感心した。
いや、リーアちゃんだ。
隣にいるのは裸のリーアちゃん。
ひどく疲れ――でもこころなしか喜んでいる――であればいいな……
――はぁ。やっちまった。また思い直す。
大興奮してヤッタ。もう一晩で彼女の知らないところがないってくらい。
よくもまあ体力が持ったもんだ。リーアちゃんよりハッスルしてたぞ?
前も後も上もお胸も……ヤリまくった。
はぁ、オレってロリだったのか……。
萌え~とか……は生前しょっちゅう言ってたけど。
"YESロリータNOタッチ"ってちゃんと紳士な人のハズだったのに。
なんてことだ。
生前死後合わせて、100年近く……こんな性癖知らなかった。
――性癖?
うん、おや? アレ?
欲情? これ……まさか受肉の影響?
考えてみれば――死後、オレ、漫画とか、萌とか……まったく興味なかったよな?
で、この世界きて受肉して、『GS美神』とか…萌~とか、生前の感覚になってる……
っていうか72年もたってるのにちゃんと覚えていた自分にびっくりだ。少しへこんだ。
ってことは――逆に考えると――オレの考えてた幼女、萌~とか漫画とかの興味は――
欲情から端を発してるってコト?
欲情がないのに、死後も漫画とアニメとかで、幼女、萌え~とか言ってる死人のことを考え――
お、オレは――彼ら紳士の方とは違う、【真正のロリ】。
幼い娘に欲情する変態だったってこと――なのかっ?!
……いやいや。きっと72年ぶりの欲情だから。酒を飲んでたから……
――隣で寝ているリーアちゃんを見る。
裸、ハダカだ。乾燥藁からチラリとみえるピンク色のお胸の先端がまぶしい。
ドキンっと心臓が高鳴った。高鳴ってしまった。
ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁあぁぁぁあああ!!!
だめだぁあああっ!!! オレ、やっぱ、真正ロリやああああ?!!
ああ、なんてことや……魔軍が図書館に攻めてきたときよりも激しい絶望に囚われた。
お、オレは……
さいてーだ、オレって
ううっせめて、もうしないように。
……いや、もう責任ができてしまった、リーアちゃん以外はなしで。
うん。決してロリ容認ではない。断じて違う。
そうそう、だからリーアちゃんを幸せにしないと……
こんな健気な娘にここまで滅茶苦茶犯っちまったし。だからリーアちゃんはオレの嫁。
うん? そーいえば、初めてなのにちゃんと解かってったよな、彼女。
ロリといえば知らない娘にしこむのが定番……
いや、フェ●とかク●ニとか、ア●ス責めは知らんかったみたいやけど基本的なことは……
耳年増だったのか……あ、ちがうか。考えればわかることだ。
ここ、弥生時代(仮)みたいなもんだ。家にプライベートなんかないわ。
多分リーアちゃん、他のヤツが犯ってるとこなんざしょっちゅうみたことがあるんだろうな……
アレ? その状況で今まで処女だった?
ここでは大人――成人の儀がすんでるのに?
たしか弥生時代とか古代では全員婚。乱交当たり前。夜這いありありじゃなかったっけ?
あと兄妹婚とかも普通だったような気がする。リーアちゃん、男の兄弟いないみたいだけど。
間違えて覚えてるかもしれんけど――たしかそんな感じだったよーな気がする。
その状況で――彼女ほどの器量よしなら――男がいても――おかしくないよな?
あ、いや全員婚なら夫婦とか恋人とかそういう概念すらないか……
そーなると変だな?
単に弥生時代とは違って、ここの婚姻制度自体が違うのか……
はたまた、村長の血筋のみは別扱いで
父系制ゆえに誰が父親かわからなくなるようなことをしないとか?
……あるいは……彼女の純潔は重要なこと……か?
ふーむ。そうなると村人たちのオレの歓迎も別の意味をもってくるな。
単純に恩人が来た。恩人はいろいろ知ってる、ゆえに歓迎。ではなくもっと別の。
うーーむ。
ちょい腹が減ったから≪ポケット≫からクリームパンを取り出して食いながら考える。
「……おはようございます。 ライブラ様ぁ」
パンに齧りついてると、リーアちゃんが目を覚ました。
裸で――そのまま甘えるように……
隣であぐらをかいて座ってるオレのはだけた胸に横からすがり付いた。
すっげえ幸せそう。
……なんかクゥーンとか言って、しっぽをふりふりしているような幻覚をみた。
こりゃ、この娘、幸せにせにゃならんだろ。
彼女、処女じゃなくなっちまったけど、他の男に抱かれるなんてゆるせんな。
……ずっとオレのもんや。嫁や。
彼女の頭に手を置いて撫でる。……ナデポ。……いやもう、ポ。しとるな。
「ライブラ様ぁ……うふふっ……ごろごろ。だあいすきぃです。
……? あらあ?……ライブラ様なにをお食べになっているのですか?」
? なんのこと? ――あ、クリームパンか。
このクリームパン、オレの好物の一つで小腹がすいた時――
いや死人のときは腹が減らんから、霊力を使ったあととかに休憩時などにおやつとして食ってた。
興味深げだったので食べていたパンを二つに割って
リーアちゃんに「クリームパンだよ」って渡した。
「? はあ……くりいむパンですか……えっと、なんだか柔らかいですね……
――いただきます…………?……!!……!!!!」
リーアちゃんはクリームパンをくわえたままびっくりして硬直してしまった。
……あ、いや、硬直が解除されて、無言でぱくぱくとパンを食べてしまった。
「……はぁぇ~~」 陶酔している。
ええっと……
「リーアちゃん? 美味かった?」
「! は、ハイ!! すごいです! 口の中、ぱわーんて、お腹いっぱいになった感じで……
あ、でも、でも、おなかいっぱいじゃないですっ! もっとあると嬉しいです!!
すごい、すごいです。ライブラ様っ!! こんなの食べたことないですっ!!
美味しいですっ!! 幸せのパンですっ!!」
大満足っぽい。
――そりゃ、味気なかった昨日の飯がごちそうなら…… カルチャーショックだろうなぁ。
「すごいです。美味しいですっ!!! 中に入ってるどろっとしたのが幸せの素ですぅ!
でも周りの柔らかいのも美味しいですっ!! ふわふわして雲をたべてるみたいですっ!!
あれ、パン? パンですか!?
あんなに柔らかなパン知らなかったです! 神様の国のパンですか?
ハっ! もしかしてこれは……お話のなかにある、不老不死のパン?
まぁあどうしましょ……わたし一人で食べてしまいました!
リムも欲しいだろうに……
ああ、ごめんなさいリム!! おねえちゃん一人で幸せになってしまいましたっ!!!!」
大暴走。…………え? あれ? ちょっと聞き捨てならないことが混じってったよーな?
! もしかして…………やばっ!! まさかっ?!
「ちょ、ちょい待て……」 なんか昨日からコレばっかり言ってる気がするな……
「神様の国って……確かにオレは神が住む天界ってとこから来たが、オレは神様じゃないぞ?
昨日も村人の前で、ちゃんと人間だと告げたハズだぞ? 間違えてないよな?」
「え、え? 確かにそんな感じに聞いておりますが……もともと同じ我が部族の人間で、
今は、私たちにない力をもった神様とのことでは?
リムがかみさまーって呼んだからライブラ様が顕われましたし……」
……やべぇかも。
「いや、違うってっ!!
今、人間!! 怪我もすれば死ぬこともある、君らと同じ人間だってば!!
ただ、力と知識をもってるだけっ!
あと、呼ばれたわけじゃなくって天界から事故で落ちてしまっただけ!
オレは神様じゃないよっ!!
本物の神様知ってるし、会ったことあるケドあんな出鱈目な存在じゃないよ?!」
「え…………そ、そんな…………それじゃ……わた、わたし……巫女じゃ……
――繁栄を約束してくれるって……言ったじゃないですか……」
リーアちゃんは蒼白の顔で――泣きそうな声でふるふる体を震わせた。
ぐっ……ツライ。彼女を悲しませるのはキツイ。
――嘘、実は神様なんだって。嘘つきたくなる――
けど、神の虚偽は大犯罪だし。
天界人向けだが、資格なしに下界で神を名乗るのって、たしかSSS級犯罪。
ようするにトップ犯罪。永遠の責苦に蝕まれるとか……じょ、冗談じゃねえ。
いくら現在、犯罪者でもそうなりたくはねえ。
そ、それに神なんて名乗って下手に希望を持たせるのはマズイ。
万能とか思われてなんでも頼りにされたり――昨日の治癒の延長とか……ね。
それでできなくて……騙された! って怒られたくねえ。
それよりは、賢者とか……
万能には程遠いけど変わった力をもつ同朋とかって思われた方が良さそうだ。
だが……泣いてるリーアちゃん。……ううぅ、泣いて蒼白で悲しんでる。
「リーアちゃん。騙してたわけじゃないと思うケド、ごめんね。
……けど、オレのもつわずかな力とそれなりの知識を使えば、
この村を発展、繁栄させることはできるから……」
「……いえ、申し訳ありません。
ライブラ様、ちゃんと最初に神様じゃないって――
おっしゃてたのに変な解釈をしてしまったのはコチラですから……
それに、村が繁栄できるなら…………」
リーアちゃん……結構、理知的?
変に癇癪を起されなくて助かった。
――けど、この際、ちゃんと聞いておくか……
「リーアちゃん。ってことは……リーアちゃんがオレに抱かれたのってそれに関係ある?」
戸惑っていたようだが、しぶしぶ、コクンってうなづいたリーアちゃん。
…………そーだよな。いきなりオレに惚れるとか…ねーよ。
自堕落司書で生前オタだったオレに。 ……いや、リーアちゃんは知らないだろうけど。
頑張って平然としてつもりだケド……たぶんがっくりしてるのがわかったのか、
リーアちゃんは「神様じゃなくても好き……」って言ってくれた。
ホントなら嬉しいけどね……つーか昨晩の快楽責めでメロメロになったダケじゃね?
「そ、そう。ありがと。でも、先にいろいろ教えてね……」
そういうわけでちゃんとその辺を聞くことにした。
…………ふーーーむ。
リーアちゃんから聞いたのは次の通りだ。
・ヤト族の各村長(男限定)の血筋に生まれた娘は巫女である。
・巫女は一族の繁栄のための生贄で、処女でなくてはならない。
・村長が成人の儀をおわった村娘(純潔)を抱いて一年以内に生まれた子が村長の血筋とされる。
ただし必ずしも、抱かなくてはいけないわけではない。
・成人の儀をおわった村娘はそのため、1年間他の男と寝てはいけない。
・数年、あるは十数年に一度、ビワ湖内の島の上空に赤い光がともったとき、
一族内の一人の巫女が一人、神の生贄として島に捧げられる。
(島から戻ってこないらしいから死んだんだと思うけど、いつか確認したほうがいいな)
・貴人への年貢が足りない時は「村長の娘で」処女(の巫女)を奉げればいいらしい。
(巫女は処女でないといけないとか、村娘の1年貞操とかも、この影響で狂ったんじゃね?)
・巫女の年齢は成人の儀(14歳)から20歳までになる。
・20歳になった巫女は村一番の男に純潔を捧げる。その後は他の村娘と同じ扱いに。
・村長の血筋で男がいない場合のみ巫女の産んだ男子、または純潔を捧げた男が村長になる。
・村長の一族以外は、全員婚。夫婦の概念ない。男衆が主導権を持つ。
女衆は男が望んだら体を開く。スキキライはあるみたいだが、基本的に乱交。
・家は子供が生まれた女ごとに存在。子供は原則、母親の元で暮らす。
ただし女衆がまとめて子供を見ているようなもので、母親以外の女とまとめて暮らす場合が多い。
村人単位でみんな兄弟姉妹みたいな感じ。 まあ種がわからなきゃそうだわな。
男は気に入った女のとこで適当に寝る。
…………らしい。
で、リーアちゃんはオレ(神様)に捧げられた巫女ってことらしい。
そして
・20歳になる前に巫女の純潔を奪った男は死刑。その巫女も死刑。
オレ、リーアちゃん、死刑?
――いやだな。死刑になるならリーアちゃん連れて逃げる。
もう全力で。術と魔導具使いまくりで。
――それにしても村長、貴人ども……どんだけロリなんだよ。しかも、村長、処女権?