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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第一章 下界降り
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第3話 村の周りと世界情勢


 リムちゃんに話しかけようとしたとき、村人たちが一斉に道をあける。


 リーアちゃん? だ。



 歩いてきたリーアちゃんは、服装が変わっていた。

 さっきの服とは違って……なんとなく平安女性っぽい?

 上は丸い模様がついた上着――そでまでちゃんとある。麻の服だが白く染められている。

 幾重にも重ね着をして、なんだか重そうだ。

 下はこすれそうなほど長い裾のスカート? いや、単純に先ほどよりずっと長い腰布?

 色はさっきのと近いが、こちらはちゃんと染められている。

 頭になんか冠……どっかで見たよーな……ああ、卑弥呼だ!

 鶏のトサカみたいな冠をしてる。

 

 ええぇと……

 村人たちはどよめき、道をあけ通ってくるリーアちゃんにひざまついてこうべを垂れる。

 リーアちゃん……思ったより権力あり?


 それにしてはさっきまでリーアちゃんと村人とあんまりかわらんカッコだったが、

 妹のリムちゃんに対しても村人たちは一目置いてるってくらいだったけど……

 でも権力って感じじゃなかった。


 しずしずとリーアちゃんがゆっくり歩いてくる。


 これは……儀式?


 なんか儀式っぽい。村人の歓迎の儀式かなんかだろうか……

 リーアちゃんの作った顔を見て、それっぽいなぁ……と感じた。



「$#%#$%#$#%$#$)$#$#$(

 #%$ #$#$%#%$()$&$()#$#%#$」

『■■■、ライブラ様。この村へのお越し歓迎したします。

 この御来訪が貴方様と我らのさらなる繁栄につながりますよう。お願い申しあげます』


「「「#%#%###!!!」」」



 リーアちゃんの言葉に後に村人たちがなんか叫んだ。

 それからリーアちゃんはぺこりと頭を下げて、『どうぞこちらへ、付いて来てください』と言った。



『お、おう。なんか大げさな気がするが……歓迎、感謝する……』



 リーアちゃんの後をついていく。オレの後ろには、リムちゃんが。

 その後ろに村人たちがぞろぞろと行列をつくって…………


 村の中でもひときわ大きい――1.5倍くらい? 高台の家に入った。

 ……弥生式だ。家に入ると階段。リムちゃんの背丈ほど、ちょっと降りる。

 壁は地面。床にゴザがひかれている。家の中はひとつの部屋だけ。8本の柱。

 壁近くにはたくさんの壺。 弥生式土器?


 鉄製品は見当たらない。石器だけだ。入口から一番奥に囲炉裏――いや焚火。

 近くに薪がつんである。

 ぱちぱちと音を立てて焚火から煙が天井に流れる。ちゃんと換気はできてるみたい。


 焚火の近くにしわくちゃな婆さんがいる。白髪でくしゃくしゃだ。背丈はリムちゃんくらい。

 見ため80歳くらい――いやわからんが、それくらいの"THE 長老"だ。 

 背は曲がってる。オレをみて平伏してる――勘弁してくれ。



『ルルウ村に、ようこそいらっしゃいました。ライブラ様。

 また孫たちをお救いくださいまして誠にありがとうございますじゃ。

 歓迎の宴会の準備をさせていただきますので、

 それまで当家にてリーアがお相手させていただきます』



 おお。婆さんも念話(の基礎)うまいじゃない。


 そう告げると婆さんは腰をあげ、家から出ようとする。

 あーちょっと……



『ちょっとまってくれ。お婆さん。先にいろいろ聞きたいことがあるんだ。

 リーアちゃんにも聞きたいが、この村のこと。この村の外の世界のこと。聞かせてくれないか?』



 そう返して、家から出ようとする婆さんを止めた。長老なら他より物知りだろ。

 婆さんはきょとんとして、『わかりました』って家の外にいる者に声をかけて家に戻り腰をおろす。



『このおばばが貴方様のお役に立つならなんなりとお申しつけ下され』



 なんかえらく腰が低いが……

 まあいい。



『ああ。聞きたいのは………………






 …………


 いろいろ婆さんとリーアちゃんから聞いた。

 結果わかったのは…………


・リーアちゃんの部族の名前はヤト族っていうらしい。

 はっきりいって、この世界でも弱小部族っぽい。

 みんな黒髪黒目でモンゴロイド肌。……まんま日本人っぽい。

・村の人口は350人ほど。ヤト族全体ではだいたい2000人から3000人くらいだろうってこと。

・ヤト族のくらし風はみんなおんなじ。森に住んでる。

 この村の湖の下流にあるより大きな湖の周りに主に住んでる。

・ルルウの村は他の村から外れていて、

 他の村とは違い、その大きな湖――"ビワ湖"の周りやその下流域じゃない。

・周りの森は"魔物の森"って呼ばれてる。非常に広大で、

 熊などのケモノのほかに稀に、炎を吐いたりと、奇天烈な力をもった魔物・魔獣もいる。

・ヤトの部族の他にも外の世界には、さまざま人種が、部族がいる。黒髪黒目はヤトの特徴。


・ヤトの勢力範囲外には貴人きじんという魔法(?)を使う人種がいて石の町に住んでる。

・貴人たちは世界を支配している(らしい)。ヤトの部族もずっと昔、無理やり支配下にされた。

・年貢を貴人たちに納めないと殺される。部族ごと皆殺しされたところもあるらしい。

・稲作は貴人たちから命令されてやってる。

 最近になって小麦も命じられてる(まだ年貢には含まれない)。

・本来、ヤトの民は森の狩猟民族で、せいぜいトウモロコシの栽培と湖からの漁業程度だった。

・貴人たちや他の部族はヤトの勢力範囲にまず来ようとしない。(蛮族あつかいみたい)

 唯一来る可能性があるのは年貢が納めれなくて殺しに来る時だけだろう、とのこと。

・年貢を納めるときは村から貴人たちの町にこちらから、

 一年に一回、貸与されてるリアカー(そんな感じのもの)でもっていく。

・貴人たちの生活は断片的な話からすると、どうも中世ヨーロッパレベルっぽい。

 当然、金属加工技術も製紙技術ある。

・貴人たちの崇める神がいる。なんとなくキリスト教っぽさを感じる。

・火薬は不明。少なくても婆さんは知らないようだ。



 ビワ湖……魔物……貴人……ね。

 魔法ってのがよくわからんが……火薬か? でも怪我を一瞬でなおすとか……

 ――婆さんからいっしょに聞いてたリーアちゃんも初耳だったのか、驚いていたが……

 うーーん。術なのか、科学なのか……


 その、"魔物"と"貴人"ってのが、この世界では要注意っぽいなぁ……


 ――とりあえず有効なことを聞けた。

 どうやら弥生時代(?)はココだけみたいだ。


 ということは、此処は生前の世界の古代日本とかではないみたいだね。異世界って考えていいだろうな。

 この村は雰囲気が弥生時代っぽいけど。


 ならオレが魔導具を乱用しなければ、開発・改革しまくっても問題なさそうだな。


 よし。それならなんとか生活できそうだ。

 石の街ってのには、惹かれたが、

 このヤトなら同じ黒髪黒眼で目立たないからコッチを繁栄できるならこちらの方がいいわな。


 リーアちゃんのお酌で水――酒でも茶でもなくただの水――を飲みながら決意を固めた。

 


 


 おばばに様々なことを聞き、オレの極楽な生活の為になにをすべきかいろいろ考えていると

 リムちゃんが家に入ってきた。



『歓迎の、のみかい準備できた』



 ――話を打ち切り、促されたオレが立ち上がると、婆さんもリーアちゃんも立ち上がる。


 リムちゃんに引かれ家からでると、いつの間にか夜になってた。


 家の前に大きなかがり火。

 周りを囲むように村人たちが食べ物を前に開始の合図を待っているようだ。

 リーアちゃんに導かれ、周りを見渡せるちょっと高めの位置にオレがすわると



「$"%$#%#%$=)%#$&#$"%

 #$#"$%#"$#$()$#(%#""!#&"#$!!!」



 リーアちゃんが何かを宣言(?)する。

 うおーーとか、きゃーーとか、これだけはどうやら万国共通っぽい大歓声があがる。

 リーアちゃんに『なにか一言お願いします』って言われ、ちょっと考え……



『ルルアの村の衆。歓迎ありがとう。オレの名前はライブラだ。

 みんなの歓迎に感謝して、

 この村がさらに発展、豊かに暮らせるよう尽力することを約束しよう』



 ……ちょっとおおげさ? いや、まあできるか。


 一瞬の静寂。



「「「うっををおをおをおをををおをおおおおおおおおおぉぉぉぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉおおお」」」



 大・興・奮!

 おお! なんかすげえよろこんどる。男も女も幼い子も壮年も大歓声を上げてる。

 感泣のあまり、目頭を押さえている者や、そのまま男泣きする者もいる。

 


「&$#$#$&$&#&$#&!!!!!」


 

 目に涙をため、大興奮したリーアちゃんがオレに抱きついて――おお、結構、お胸あるかも……

 お酒らしきものが入った器を掲げ何か叫ぶ。


「「「&#&$#&!!!!!」」」


 村人も興奮して器を持って叫ぶ。――たぶん、乾杯っ!って言ってるんだろうな。

 まあオレもとりあえずは日本語で「乾杯っ!!」って叫んだ。





 リーアちゃんとリムちゃんを両脇にはべらかして飲む。

 だが、食事は――なんかしょぼい。


 精米途中な感じの堅い米飯を無理やりおかゆにしたようなのと、

 焼いただけのなんかの肉。ちょっち臭みがある。

 食ったことある肉でいえば、羊の肉……マトンに近いっぽい。うまみはあまりないが。

 それと黄色な――たぶんコーンスープか? 

 飲んでみるとコーンだとは思うがなんか味気ない。


 さじで食う。


 これ、ごちそう? うわっ勘弁してくれよ……


 酒は濁り酒っぽくて、それなりな味だが。


 食事のほうは…………コレは…………ちょっと……

 


 だが、とりあえず出されたものは食う。それはオレのジャスティス。

 ……けどおかわりはいらねえぜ。


 まぁ飯はいいや。


 リーアちゃんとリムちゃんにいろいろ話しかける。


 リムちゃんはこのコーンスープらしきものが好きらしい。

 リーアちゃんは米飯が好きみたい。


 …………今にもっといいもん食わせてあげるからな。

 こんなもんがごちそうなんていう二人に、ちょっちホロリと涙。


 肉は"マルウ"っていう獣の肉らしい。

 見た目はたぶん牛に近く角があって4本脚。動きは遅いらしい。

 ふーーむ。この肉、香辛料をちゃんとつけて違う調理にすればもっと美味くなりそうだな。



 ほかにも昼間、婆さんから聞いた話をしてみる。

 リムちゃんも聞いたことない話みたいだ。



 リーアちゃんはオレの酒、器が少なくなるとすかさず注ぎ足す。そしてにっこり笑う。

 ……断れねえ。


 どんどん飲み。




 …………


 でも、さっきの婆さんとの話と、リーアちゃんとリムちゃんの念話混じりの会話で――


 なんだか言語掴めてきたみたい……彼女らの言葉、文法が日本語そっくり。

 これなら、言語習得術はいらねえな。


 日本語そっくりだとわかったとたん、あとは単語だ。そんなに単語の数は多くねえ。

 宴会が終わるころには、とりあえずなんとなく通じるようになってた……




「あああ、ちょっち酔っ払ってしまったみたい。リーアちゃん。肩貸してな」


「ライブラ様……ど、どうぞ、……あ、あの、あの、その。もうお休みになられます?」


「………んーー。そうだねぇ。そうしようか……な」


「ごくっ。 は、ハイ。ど、どうぞコチラデス……」


 ――なんか周りがうるさい。

 ピーピー、口笛? それに何かを期待するような視線。ほかにいろいろなんか言ってる。


 リムちゃんがなんか頬、脹れて「おねえちゃん、ズルイ……」って言ってる。

 ……なんのこっちゃ?





 ――――リーアちゃんの家、まあさっきまでいた一番おおきな家だ。に着いた。

 千鳥足だったので結構時間がかかったみたい。


 家の中は焚火がついているが誰もいない。

 ……婆さんまだ飲んでるんかな?



 オレは布団? がわりっぽい乾燥した藁の上に腰をおろした。



 リーアちゃん、なんか緊張してるっぽい。

 なんだろ?


 するとリーアちゃんは、さっきまで着ていた重ね着の着物を脱ぎはじめたっ!?

 ちょ、ちょおおおお??


 一枚一枚丁寧に脱ぎ……最後の一枚で手を止め……ゴクっ……


 焚火の火に照らされたリーアちゃんは……なんていうか頬を赤く染め――

 どこかうつろで――興奮して――



「ら、ライブラ様、どうかわた、わたしの初めてを――――」



 そこまで云って、恥ずかしくなったのか、オレに抱きついてそのまま唇を重ねた。

 ちゃ、ちょ、ちょいまち、待ち…… なに? この急展開?!


 やぁああばあああ!! オレはロリじゃね。ロリじゃね。紳士。NOタッチ~

 だめ、ロリ犯罪。だめ。ダメえ――



「ま、まて……リーアちゃんおち、落ち着け。き、君、子供。まだちと早いっ……ね?!」


「……子供ではありませんっ! そりゃちょっと子供っぽくみられるけど……

 ライブラ様。もう成人の儀は済んでおります。16歳ですっ」


「……16?」



 こくんとうなづくリーアちゃん。16って高校一年? ここでは成人?

 あーそういえば、ここの村人みんな背が低かったなあ…………


 でも見た目まるっきり子供や……せいぜい中一。

 背丈もそうだけどリーアちゃんの場合、顔が……童顔すぎる。



 【イヤ、これは"合法ロリ"ってやつでは? 高一ならぎりぎりセーフやろ?

  リーアちゃんも望んでる。 このままにしとく方が罪深いやろ?】


 【いや、たとえこの村では成人だとしても、オレの価値観まで変えてはマズイだろう。

  倫理感まではそのままで。それまでなくしたらこれから先、どういう指針でいくつもりだ?】



 頭の中で、二人のオレが戦い合う。――悩む。欲望と自重の大論戦だ。

 やはり、倫理派が強い。うむ、よかった。オレ、ロリじゃねえし。



「ライブラ様ぁ。どうかお情けを……抱いて……ください」



 涙をうっすら浮かべ、頬をそめた彼女はそう言って、ゆっくりと目を閉じた。


 パーン!! ガガガッ!! 倫理派のオレは機関銃で皆殺しにされました。



「……リーアちゃんっ!!!」



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