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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第一章 下界降り
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第2話 オレの名はライブラ

 山賊どもを撃退したオレは、子供たちの方を振り返った。


 剣は≪ポケット≫にしまう。消えた剣におどろく子供たち。


 小さい子のほうは立ち上がって笑みをうかべ喜んでいる。

 年長の子は、ペタンと座りこんでボーッと呆けている。


 ……下、股隠せ。


 はよ、パンツはけ。

 おけけも秘所も丸見えや。秘所はなんか濡れて――


 ! いかん。いかんですよっ!!

 立ててません。反応してませんっ! 

 

 オレはロリじゃありませんっ!!

 反応してないったらしてませんっ!


 ロリじゃない。犯罪者違う。

 

 なんか小学生にしては発達してたって思ってません。

 ……そりゃあ……生前はロリっ娘みて、萌え~ってしてたけど


 かわいいから、鑑賞として好きだったのですっ!

 劣情ではありませんっ!


 だんじて違いますっ!!



 ――――だから――パンツ穿いてください。



 あ、パンツないのか。


 振りむいたオレがおまたに注目(してないっ!してないんだ……)

 それを見たのか、赤い顔した彼女は慌てて立ち上がって、

 ボスの横にあったバスタオルみたいな麻布を腰に巻いた。

 それから腰紐で固定した。


 ……腰布?

 やっぱり弥生時代?



 そのあと彼女は小さな子と並んで、オレの前で二人で平伏。

 へへぇーーって感じ。



 はあ? ……えええぇぇ~? ちょ、ちょい待ち。

 いくら助けたからってそりゃ、やり過ぎ。感謝しすぎ。



『ま、……まて。 顔を上げてくれ。そこまでする必要ない』



 顔をあげた彼女は何か言おうと――

 その前に声をかける。



『む。すまんが言葉がわからんから、一言づつ口に出した後、頭でその言葉をリフレイン――

 思い浮かべて続けてくれ』



 彼女は、目を丸くして――

 口に出す。


「$%#」『ありがとうございます』


 ほう。これだけで、言われてすぐできるとは……結構、念話のセンスあるね。

 彼女が念話しているわけではなく、オレが読み取れるだけだが――

 念話練習の初歩なんだよねコレ。

 

 そのまま続ける。



『■■■、どうか、わたしたちの村に、来てください。歓迎します』



 ふむ。一部伝わらなかった部分があるな。

 この方法だとお互いのイメージが合わないものは伝わらないんだ。

 例えば――

 パンツというのを知らない相手では伝わらないし、

 逆に同じようなものであってもお互いのイメージが食い違っていればやっぱり伝わらない。


 だから、ちゃんとコミュニケーションをとるためには、

 どうやっても言葉を覚える必要があるわけだ。

 ――まぁ、一発で言語習得できる術もあるらしいが――あいにくオレは使えない。

 そんなの覚える必要が今までなかったからな。


 まぁ、術書は≪ポケット≫にあるから、必要ならおいおい覚えていくとしよう。



『うむ。では君たちの村に呼ばれようか…………とその前に

 君たち、ちょっとそこに立ってくれ。

 ――ああ、それでいい。

 ……ちょっと驚くかもしれんが、痛くもないし害もないからじっとしててくれ』



 緊張した彼女たちに『浄火』の術をかける。

 ? なんか術が使いにくい。術の行使に抵抗感がある――受肉の影響か?


 けど、発動後は術の威力が上がってる。

 先に年長の子、次に年下の子って一人づつやろうとしたのに――


 火種もなく、一瞬にして彼女たち二人を青い炎が包み込む。

 悲鳴を上げる年長の子。


「きゃあぁぁぁぁぁぁあああ!!??」


 あーーやっぱ驚くよな。

 うん? おや? 小さい子は目を大きく開いているだけで悲鳴をあげてない。

 根性あるのか……それとも感情が薄いのか……心地よさそうに火に身を委ねてる。大物だ。


 炎はすぐ消え、彼女たちのけがれは完全に消え去った。

 

 ……ほお……!!

 汚れをとれば、さぞかしかわいいだろうなって思ってたけど――これは予想以上に……



『へえ。綺麗にしたら、二人とも結構かわいいじゃん。うんうん。女の子は身綺麗にしてないとね』



 ぱっちりおめめを見開いた年長の子は意思の強そうな目が特徴的な端正な顔立ちをしていた。

 黒髪はつややかで、短いショートボブ。

 鼻が少し小さいけどそれがまたアニメ絵のように見え……

 ? どっかでみたことがあるような……


 ――! ああっ!! 『GS●神』のル●オラ! 触覚はないけどっ!

 オレのもろ好み! ル●オラの小さい版。

 胸も――いやBくらいはあるか? この娘なら、これからこれから。


 年少の子もそっくりだ。

 っていうか――この娘ら――姉妹?



『うん。良く似た綺麗な顔立ちをしてるね。姉妹かな?』



 炎が消え、自分たちのよごれが消えたの確認した彼女らは驚き、オレの言葉に顔を赤らめた。

 小さい子の方がうなづいた。



『うん。おねえちゃんとりむは姉妹だよ』


 こっちの子――りむ……リムちゃんも念話のセンスあるねぇ。第一人称が名前の子か。

 

『あ、ありがとうございますっ。わたしっ、姉のリーアって言いますっ。

 あの綺麗って、ありがとうございます』


 年長の子――リーアちゃん。あわあわ言いながら照れている。

 ――も、萌え~。


 た、たまらん。――ちがうっ! ロリじゃない、違うぞ……



 ……なんか、性格かわってないか? オレ?

 いや、生前はこんなだったけどさ。司書してる時はもっとクールというか淡泊だったと思うが。


 受肉したから知らず知らずに舞い上がってるのかね?




『あ、あの■■■、お名前はなんと……なんとお呼びしたらいいでしょうか?』



 考え、萌えつきてるオレに照れながら聞く、リーアちゃん。


 名前? 本名――だと、たぶんなんか目立ちそうだな……


 彼女らの名前からして日本人ぽい外見だけど西洋っぽい名前だしな――

 ふーーむ。本名は天界人に見つからないようにするため名乗らない方がいいだろうな……



『オレの名前は……ライブラ……ライブラだ。そう呼んでくれ』



 思いつかなかったので、司書の英単語。そっから取った。

 どーかな? 彼女らの感性では……どういうふうに聞こえるかな?

 ……目立つ? オレの感性ではびみょーーだ。 まぁいいか。



『ハイ。ライブラ様ですね。よろしくお願いします』


『らいぶらさま。 お願いします』

 

 

 さま付けかよ……まぁ彼女らにとっては恩人だから……そうなるか……

 名前は特に問題ないっぽい。

 さま付けは、引っかかるが――これから先、この世界で生きていくために――

 恩人としての立ち位置はおいしいかもな。


 自分のちょっと汚い策にしかめながら――


 彼女らの頭に手を置いて――


 

『うん。二人ともよろしく。それから――『錬成』――』



 汚れは取れたけど傷だらけだったので、錬成術で皮膚をくっ付けた。

 浄火で消毒できてるしコレでいいだろ。――やはり微妙に術が使いにくい。


 まあいい。治癒術とは違うケド……簡単な擦り傷ならこれで問題ないだろうし。



『わ。ライブラ様、すごい。怪我が治っちゃった……ありがとうございます』

『らいぶらさまーありがとーございます』



 ふふ。かわいいなぁ。

 二人に笑いかけ、村に案内してもらうようおねがいした。



『はーい。らいぶらさま~こっちだよーー』


 

 リムちゃんに手をつながれて森の方へ歩いていく。








 草ばっかりのケモノ道を、≪ポケット≫から取り出した剣――さっきまで持ってたのと違う

 さっきのより短めの天界人の剣で草を刈りながら二人の案内で道を進む。



『うわぁああ、ライブラ様、すごいすごいです』



 剣から出る衝撃波で――

 霊力の通りがよすぎる剣だったため力を込めて振るだけで衝撃波が出るようだ。

 衝撃波で草を刈り、枝を薙ぎ切り――ううっ命奪ってる――

 でも彼女たちにいいとこ見せたいから――

 どんどん刈って道を広げ――案内のリムに導かれずんずん前へ進む。




 

 3,4時間後、おおきなケモノ道に出た。


『あ、ここから先はもう広い道ですよ、ライブラ様』



 リーアちゃんが笑顔で声をかけるが――



「はぁ、はぁ……はぁ……くっ」



 息を荒げて大きい岩に腰を降し、ばててるオレの姿があった。



『らいぶらさま……だいじょーぶ?』


『あ、ああ、ごめんね。…………ちょっと力使いすぎたみたいだ』


『ライブラ様……』



 彼女らはオレの言葉に剣を振って衝撃波をだしていたことを思い、納得したようだ。


 嘘だ。

 そんなのたいしたことがない。霊力は全然平気だ――いや平気すぎ?

 ごくわずかな減少しか感じ取れない? おかしいな。


 それにしても――っくっ! 基礎体力が違いすぎるっ! いや、受肉した肉体を舐めてた。

 72年ぶりの肉体疲労だ。こ、こんな……リムちゃんだって少し疲れている程度っぽいのに!


 現代人と弥生時代人たぶんの体力差がっ!!

 くぅっ。リムちゃんもリーアちゃんも見た目からは全く想像もつかないほど体力があるみたいだ。


 コレは早急になんとかしないと……村の人間になめられたらまずい。

 たしか初級地術に身体能力増強術があったハズ。

 死人のときはまったく意味のないものだったから無視してたが――第一優先だな。




 

『……ふう。ごめん、ごめん。ちょっと回復した。さぁ行こうか』


『はい。こちらです』



 広くあけたケモノ道をゆっくり進む。

 リーアちゃんはオレの顔色をうかがったりして心配そうだ。ヤバイな。

 リムちゃんは笑顔だ。なんとも心配してないみたい。



 ふたりが目をそらしたすきに、『浄火』術で汗を飛ばし、たぶん余裕の顔で――

 ……できてると思うが――


 ゆっくり村に進んだ。




















『ここがわたしたちの村、ルルウです』

『ルルウの村だよ』



 彼女たちの村――ルルウ村は――

 なんていうか、まんま弥生時代だった。

 

 村の周囲はちょっと高くしてあって、ケモノ道からの入り口は小さく――入口以外は

 丸太がささって壁になっていた。

 ささった丸太は大きさがまちまちで――

 おおきな隙間はないが蛇や、猫くらいならすり抜けれそうだった。

 丸太どうしは上と下をひもで結ばれ、それなりのケモノは防げそうだが――

 紐を切ってしまえば、人間相手には全く効果がなさそう。おおきな熊とかも心配だ。


 村の中は――

 弥生式の家――昔ながらの日本住宅の屋根だけみたいな――

 三角の家だ。たしか竪穴住居だったか。

 あれじゃ大きさ的にも、家の中は囲炉裏が真ん中の部屋一つって感じだろう。

 プライベートなんて遠く雲の彼方……だ。


 5人寝るのが精いっぱいってとこか。それが沢山ならんでいる。

 その中で高台にある一際大きい家の横に物見だろう……4つの高い木を使い、

 上に床……丸太らしきものを引いて屋根がある。ちゃんとした板がねえのか?

 使ってる木は不規則だ。太さもバラバラで曲がってる木も使ってる。

 

 そして水田。

 稲作のようだ。ちょうどいま稲が刈り取ったばかりのころのようで、

 刈り取った稲が田んぼの横にたて天日干しされている。――が、湿田?

 あとトウモロコシ畑がある。こちらも収穫が終わってるようで、

 畑にはできの悪いトウモロコシが転がっている。

 ――え? トウモロコシ? 日本の弥生時代とはちと違うみたいだな



 村の真中に池――いや小さいながらも湖?

 か? があり、おそらく水はここから汲んでつかってるのだろう。


 村の外れにはおそらくは貯蓄用の高床の建物がある。




 …………




 む、無理。


 こ、こんな、こんな弥生文明で暮らせ……と?

 生前36年、21世紀で、死後72年も文化的生活にどっぷりハマってたオレが?



 魔導具をフル活用すれば――

  いや、あまり使いすぎると魔導具の波動が濃くなって天界人にばれかねん。


 なら、文明を早めに進めて――

  いや、この世界で突出しすぎると、やはり目立つ。


 最善は、この世界にあるいちばん文明が進んでる場所に合わせて――

 すくなくとも見た目だけでも文化が流れてきたって思わせつつ、ゆっくり改革していくべきか……

 つーことは――オレはものしり賢者って立ち位置がよさそうだな……


 最初は魔導具を使ってでもちょっと無理して進め……

 住民たちの信頼と彼らの知識レベルとか知恵が追い付いたらだんだん上げていく方向……

 ――かな……




『あの……ライブラ様……すみません。みすぼらしくて……貴方様をお迎えするには……』


『あ、いや。大丈夫だ……うん。すまんリーアちゃん。馬鹿にするつもりはない』



 茫然としてしまったオレにリーアちゃんが申し訳なさそうになにか言ったが、

 オレもなんか返した。


 茫然としすぎたので何て言ったか覚えてない。




『あの、ライブラ様、おばあさまに――村長に報告してきますので、

 しばらく村をごらんになっててくださいますか?

 ――リム! ライブラ様に村をご案内していただいて』


『わかった。おねえちゃん』



 むらおさ?

 ってことはリーアちゃんとリムちゃんはこの村ではそれなりの地位にいるってことかな?

 

 村の入り口で立ち止まっていると、リムちゃんと同じような格好をした……

 ただし二人のようにこの実ネックレスは付けているものがいない――村人たちが集まってくる。


 !?

 リムちゃんと同じ?


 おいおい、リーアちゃんくらいの娘から背が低いけどどーみても大人の女性まで

 ――貫頭衣だけ。

 腰布がねえ。立てば見えねえけど、ふかく屈んだり、激しい運動したらきっと丸見えですよ?

 おっぱーのすばらしい娘もちぃっぱい娘も、みんなみんな丸見えや。

 あ、いやちょっと年配の方の中には腰布を巻いてる人もいるみたいだ。2人いる。


 

 老人は……いない。


 あ、男もそんなカッコ。山賊のようなカッコした奴もいる。ま、コッチはどーでもいいわ。


 それにしても……おやぁ? なんか多い。

 弥生時代ってひとつの集落50人くらいだったハズだが……

 どうみても200人は超えてる。子供が多いが。

 とっさの集まりでこうなら……全体で――最低400人くらいかな?



「$&#%#$#%#)$#$"#($'"$$%#!

  "#$"$$#"$##"!!!#"#$#$$#!!!」



 興奮した口調のリムちゃんが村人たちに大きな声でしゃべる。

 ざわざわと村人たちがざわめき、一斉にオレのほうを向く。そして驚きの声を挙げ――大歓声。


 なんか小さい――いや身長が低い人たちばっかりだな。一番高い人で男性170cmくらい。

 女性はリーアちゃんと同じくらい?


 その中から一人のけが人らしき女の子がリムちゃんの前に出てきた。

 リーアちゃんと同じくらいの身長で――でも顔はなんか老けてる。30代?

 ――怪我をしたばっかりのようで腕から血を流している。

 その子はオレの前で平伏してる。

 慌てるオレにリムちゃんからお願いごとされる。



『らいぶらさま。お願いします。怪我したミミさんを治してください。お願いします』


 

 …………ちょ、ちょとまて。オレは治癒術師じゃねえぞ?

 なんか誤解されてるよーな。まずいかも。



『ちょっとまて。リムちゃん。オレは治癒術師じゃないぞ?

 この娘くらいの怪我なら確かに治せるが――――』


 首をかしげるリムちゃん。


『えっと……おねがいします』


 ……伝わったのか? いまいちわからんが――


『…………了解。その子に暴れないよう言ってもらえるか?』


 リムちゃんはミミさんとやらになんか言ってる。

 リムちゃんがオレにうなづいたようなので術を行使。


 まず――『浄火』――

 たち上がる青い炎。悲鳴をあげ、下がる村人たち。だが、リムちゃんが何か言うとおさまった。


 炎が消え――ミミさんとやらの頭に手を載せて――『錬成』

 腕の怪我がゆっくり治っていく。――――くぅきっつい。細胞一つ一つをくっつける。


 治癒じゃなくて錬成。形を望むままに整える術だ。

 本来、錬成は作りだす術。

 オレの力量では破損した道具を直したり、補修物質で補強したりできる程度だ。

 人体の錬成なんて高度すぎてできるわけない。皮膚をくっつける程度が精いっぱいだ。


 なんとか治った。

 またまたどよめきが上がる村人たち。そしてみんな揃って平伏。

 リムちゃん以外全員、へへーーって……ええいそれはいいっちゅうに!



『そのようなことをしないでくれ。オレは君たちにない力を持つが、基本的に同じ人間だ。

 だから顔を上げてくれ。オレのことは多くの知識をもつものって認識でかまわない』



 村人たちは、頭に響く声にまたどよめきを挙げ、

 オレの言葉をうけ、なにやらリムちゃんに聞いている。

 リムちゃんはちょっとなにか考えたようだが――なにかを村人に告げた。


 村人たちはその言葉に、なにか納得し、またオーって大歓声。


 …………気になる。ちょ、リムちゃん……君なにを言ったの?



 なんか誤解が深まった気がする……


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