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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第零章 プロローグ
3/29

ぷろろーぐ③ 図書館崩壊


 ……気づけばオレも周りのヒトたちと同じように考え込んで呻いていた。


 

 どれほど時間がたったのか、額から血を流し服があちらこちら切り裂かれた

 傷だらけの軍人らしき天界人が部屋に駆け込んできた。



「総員大至急、図書館から離れろっ!! 連中の目的はココだっ!!!」


「――――!!」


 一瞬の静寂。

 次の瞬間、怒声と悲鳴。


 座りこんでいたため出遅れたが、

 オレもおそらくは引きつった顔で皆と同じように出入り口に駆け込み――


 しようとしたが、いつものように無意識に展開していた探知術が高速で接近してくるモノを感知。


 その時、なぜそうしようとしたか判断つかないが、なにか予感があったのだろう……

 出入り口ではなく真逆、奥の館長室に逃げた。




  ―― GOhooooo!!……GYAGHOOoooooo!!!!! ――



 航空機が間近ですぎさったかのような轟音と大気の震動。

 鼓膜があったらあっさり破けていただろう。

 ――で、大きな力が上の方で弾けたのがわかった。

 

 感知と同時に、全身を駆け抜けるすさまじい衝撃。

 頭から足へ、肩から指先へ、受肉していないのに重力が何倍にも上がったように

 床に押しつぶされた。受肉していたら間違いなくぺしゃんこになっていただろう。



「!! ――っかぁぁぁぁぁぁ?!!」


 

 衝撃以外なにも感じられない。

 周りの音も、視界も。感情も一切停止したかのようだ。


 衝撃は一瞬だっただろうか……それとも何時間も続いたのだろうか……

 このままでは自らの精神体を構成する霊力が枯渇し、

 弾けとんでしまうって――あきらめたちょうどそのとき、ようやく衝撃が収まった。



 溺死すんぜんだったヒトが空気を求めるように、がむしゃらに大気中の霊力を大急ぎで吸収した。



「くぁ、はぁはぁはぁーーはぁ……はぁはぁ、れ、霊力…………」



 視界も耳もまだ回復しない。周りがどんな状況かもさっぱりわからない。

 自分が立っているのか、寝ているのか? 触覚も――なにもわからない。

 ――ただひたすらに枯渇寸前だった霊力を全身にいきわたるよう――求めた。

 ひたすらに求め――いつのまにか霊力の吸収速度も上がってるような気がするが――


 マヒしたままの視力より先に回復した霊感が、

 周囲に存在する大きな霊力の塊を捕らえたので――

 それもすぐさま吸収。他にも感じ取れたのでどんどん吸収していく。


 目の前にあるケーキを食べ尽くさんとするような気持ちで、

 無心に吸収していく。――なんだが幸せな気分になって……

 

 




 …………――っは!


 我に返ってみると、どこか温かく湿った床にへたり込んで、呆然としている自分に気がついた。



「はぁ……い、いったいなにが……起こったんだ?」



 酒に酔ってたような気分だったので照れ隠しに力なく小さくつぶやきながら、

 閉じていた目を見開く――



「――! っなぁ?! なっ、なん……」


 

 まわりには、天界人が倒れ伏していた。仰向けになっているものやうつ伏せなっているもの

 横向きだったりとまちまちだが、みな目や口、鼻、耳から赤い血を流している。

 

 オレがへたり込んでいた場所も血だらけで、自分を見ると服が赤い血に染まっていた。

 しばらく時間がたっていたようで、血は固まっていて――青かった服が褐色に服が固まっている。


 

「うっ、げっ! じょ、浄化、『浄火』!」


 

 全身が浄めの炎に包まれ……レ? なぜか館長室全体に術がかかってしまった。

 

 すぐさま『浄火』の術が完了し、自分が不浄と判断した流れる血と埃などが

 部屋から一掃された。

 あとに残っているのは倒れた――死んでいる天界人の遺体が5体。



「? ……まぁ、いいか

 さて――『探知』」



 ? アレレ? サーチエリアが広い?


 図書館全体をサーチして……



「!!! せ、生存者ゼロ? 天界人の生命反応なし、死人いない…………」



 ばっ……と、うしろ……総務部を振り返る――

 


 そこは……館長室内よりひどくて――


 

 天界人の遺体すら残っていなくて――



 いや、赤いものが床に広がって――――



 そのくせ、部屋そのものにはなんの影響もなく――

 ……いや、部屋の防霊力……とでもいうのか……部屋全体に力が感じられない。

 空虚な――



 そして部屋の中は、シャボン玉が――霊体構成が破壊された死人のなれの果て――

 いや、天界人の霊体もそうだろう――


 ――弾けて消えつつあった。





 そして――探知術は、図書館全体に『炎気』……いや、邪悪な感じがするから

 おそらくは、『魔炎気』……が広がって――



 書が――燃えている……上の階から徐々に下の階に炎気が降りてきている……



「あ、あ、あぁ…………しょ、書が……本が……知識の結晶が――――


 ……――――おのれ! 

 おのれぇ……魔軍めぇっっえええ!!」



 ――! っは! そうだ、そうだ魔軍だっ!


 コレは魔軍の侵攻だよ! 

 この惨劇をなした魔軍ども――だが、死人にすぎないオレには奴らには歯が立たない。


 

 すぐさま、怒りを抑え……頭をひやし――


 ……逃げないと…………いや、できうる限りの書を避難させないと――――



 魔炎気は――3階――だめだ。2階――もう遅い。

 1階――オレの管理エリア――あ、ああ……階段が近いせいか――半分はもう火の中……だ。


 今から行っても……も、もう駄目だ。なんてことだ…………


 く、くそ……



「……せめて……この部屋の本だけでも――――」



 のろのろと――だが、すぐに弾けたように――本をどんどん――題名を確認するひまもなく――



 どんどん≪ポケット≫に入れて――




  ―― Kati……VAQHA!!……GARa Cagooroooooloooo!! ――



 まだ数十冊程度しか確保していないのに――


 部屋全体が崩れていく…………

 魔炎気……の影響では……ない? なんだか仕組みが外れた感じで部屋の床が崩落して――



 ――抗う暇もなく――――



「あ? あぁ~~~~~!!!! 」



 床が崩れて倒れた天界人の遺体と一緒に奈落に落ちていった…………










 


 





「っく……な、ふ、ふぅ……無事か…………」


 

 部屋全体が薄く発光している小さな部屋で意識を取り戻した。

 おおよそ10畳ほどの部屋で、床には見たことがないほどの複雑な魔方陣。 

 壁に小さな本棚と机。反対側の壁にオレの3倍大きい人が通れそうな豪華な扉が真ん中にある。

 どういうわけか瓦礫は少ない。

 天井を見上げるとはるか遠くに光が見える…………探知――300メートルほど……か?


 オレと一緒に落ちてきた天界人の遺体3体分……かな? 

 原型が留めないほどにぐしゃぐしゃになってる……

 ――と、ともに落ちてきた本。

 


「…………どこだよココは?」



 放心した状態で無意識に落ちてる本を≪ポケット≫にいれ……

 そこで我に返った。



「……ふ~む。ここがなんなのかわからんけど魔軍が来るだろうし……

 ああ、その前に、とりあえず本を確保しておくか――」



 本棚の本をすべて≪ポケット≫に保存。

 扉に手をかける前に、部屋を見渡し…………



「念のため、武器ももっていくか……


 あ~~ 

 見知らぬ天界人さん。自身の防衛のため剣をお借りします。

 ……いつかお墓にお返しに行きます。なむあみだぶつ」



 なむなむ、と言いながら、胸の前で十字をきる。

 ……どこか非日常の感覚に当てられ変なことをしてる気もするが――

 


 遺体から剣を2本、はぎとら……ゴホン。お借りして――

 短い方を1本を予備に≪ポケット≫に入れ、左手に剣を――かなりの力を持った剣だな……



 剣を片手に扉に手をかける――――――


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