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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第二章 ルルア改革
25/29

第15話 結婚式 (オレのじゃないよ)


 完成した精霊堂は村人全員とまではいかないが、

 約200人分の座席があり、内部は色を無視すれば、ぱっと見、議会場だ。


 大きな扉から、キリスト教の教会みたいに扇状の座席の真中をバージンロードが通っている。

 ただし赤一色でなく青地に白ラインだが。

 そして内部の壁は、森林を想定させるような茶色の縦ラインと全体を濃い緑色に塗った。


 奥にだが、もちろん十字架や、イエス像なんてものはない。

 そのかわり扇状の左右に、【天界幻獣図鑑】にあるサラマンダー、ウィンディーネ、ノーム、シルフ

 といった特定の精霊力が強い幻獣の大きい石像を置いた。


 中央には祭壇。……とはいっても祭るものなんてないから、樹木の苗と水を置いてある。

 だがまあ、ぶっちゃけこれは、村人に文字や数字とか教える時に教壇として使うつもりだ。




 …………



 精霊堂を建築し完成してすぐだった。


 十組を超える男女が結婚を希望してきた。


 オレは喜び勇んで結婚式のやり方を早く考えよう――と思ったが、

 男に連れられた女の何人かの様子を見るに、ちょっとまずいかもと考えリーアを呼んだ。



「リーア? どうも……女たちの方をみると喜んでいないような……強制されてない?」


「………ええ。ちょっとそんな感じがするわね……う~~ん。チロさんに相談してみるわ……」



 ……


 で。

 やはり強制っていうか……プロポーズ? されて、女側がそのまま従ってたみたい。

 何人かはご褒美の試練の再挑戦権がほしくて結婚したがる男がいるようだ……


 むう。

 ちゃんと意見や反論できる女性もいる一方で、

 まだまだ男の命令っぽいものにそのまま従う女性も多いようだ。うまくいかないもんだなぁ……




 困ったな。


 とりあえずチロさんとリーアと当の女性と、話合いがそれぞれ持たれ対策を考えることになった。



 本当に無理やり強制されている女性に関しては――

 オレとタスケ、その男と面談し男を厳重注意と罰則"村全棟の糞便槽の汲取りと掃除"を命じる。

 …………基本的に村人に対する罰は今のところソレ――便所掃除だ。

 できれば罰等はやりたくなかったが……しないわけにもいかないし。

 これが罰になるのかどうか、適正かどうか微妙なところだと思うが……

 罰中であることを示す茶色の鉢巻きを巻かせ――糞便を村はずれの肥溜めに集めさせる。

 ちなみに、罰則者がいない場合は基本的に居住者がすることとしている。



 だが、問題は男側が強制したわけじゃないパターン。

 ――純粋にプロポーズされて、好きでもないのにただそのまま従った女性だ。

 本人が納得してるならいい、ととるか――

 男尊女卑の撤廃という方針にそぐわないからダメととるか――

 オレ本心としてはダメにしたいところだが、ダメっていったって、ならどうすればいのか?

 その女性に本当に好きな人がいれば話は別だが…… そうではないようだし。


 代案が思いつかない…… ……強制じゃなきゃいいにしちまうか? 

 本意ではないが、昭和初期までそれが普通だったこと考えれば――うーー。でもなぁ……


 リーアに相談してみるが、答えがまとまらない。

 だが……



「ねえ貴方…… そんなに一度にすぐ変えるのは無理だと思うわよ」


 との意見をくんで、やむ得ず可とした。

 まぁ……家庭を持ったら変わる女性もいるだろうし……

 唯々諾々と従う女性だって、平成の世でもいないわけじゃないし。止むえんかな……?


 だがあまり多くなったら困るから、徐々に女性の地位向上や自発心を持つよう啓発していこう。






 そういうわけで8組の男女が結婚することになった。


 オレが結婚式のやり方を考えるわけだが――

 これは儀式だ。つまりこれから広めていこうとする精霊信仰にからめるべきだな。


 ルルア独自の――ヤトまで広まることも考慮して――信仰と文化に合ったやり方が望ましい。


 考慮に入れるべき点は


1.精霊信仰であることがわかること。あるいは説教をからめること。

2.術的に本当に契約効果があるやり方が望ましい。効果は繋がりの強化か祝福?

3.ヤトの地――森と湖が関連できればなおよい。

4.結婚する二人を皆で祝福すること。

5.特別なつながりがある二人だと周囲が認識できるようにすること。

6.二人のつながりが強固となれるような式、またはそう思わせれるようにすること。

7.二人の良き思い出に残るような式であること。

8.未婚者がうらやましがるような――女の子の憧れとかになれる式であること。



 こんなとこだろう。


 うむ。


 ぶっちゃけ、めちゃくちゃムズイ。メンドい。

 特に1と2、3。

 

 ……またまた術書と書籍【宗教と儀式】をもってオコモリ。

 儀式系の術書はもってないから、霊術書と、魔導具系の術書、手持ちの魔導具を参考にする。

 そこで考えた案をリーアと相談して詰めていく……












【The third person】


 そろそろ春の宣言がされようとする晴天なある日。

 ここルルアの村において最初の結婚式が執り行われようとしていた。



 結婚の儀式は――


 新郎側は男衆頭のタスケから新郎に青く装飾された短剣を受け取ったところから始まる。

 新郎は自分で打った短刀を火で焙り、新郎新婦の名前をその刀身に受け取った短剣で彫る。

 文字は賢者から教えられたカタカナ文字だ。

 最低限、自分の名と妻となる女の名前だけは書けるように教え込まれている。


「ぬぅ。こう、か? 文字ってこんなか? どうだったかな」

「おおい"シンロー"! ちゃんと合ってるんかよ~?」


 まわりでからかい半分の野次をとばす男衆たちのなか、

 新郎が間違えるわけにはいかないと必死になりつつ、ふるえる手で慎重に彫る。


 アンチョコで確認しつつ四苦八苦しながら新郎が掘り終わると男衆に連れられ温泉で身を清める。

 清めたのち、炎のように赤く染められ、青いラインが入った特別製の樹皮服を着る。靴も木製。

 服装は長袖長ズボンとどこか賢者の服に近い。頭には青い羽根がついた鉢金を巻いている。

 男衆に担がれた御輿の上に新郎が座り、短刀を手に持って、村中を回って精霊堂に練り歩く。




 新婦側は女衆頭のチロから青く染められた木製の手桶を受け取るところから始まる。

 それを持って裸で湖に入り、水を手桶で酌み頭から被って身を清める。

 湖からでた新婦は女衆たちによって水気をきっちり拭きとられる。


 拭き取ったのち、森林の如く緑に染められ、青いラインが入った特別製の樹皮服を着る。靴も木製

 服装は青い羽根のついた薄いベールを被り、長袖、長めのスカートとなっている。

 手に自分で彫った木製の深皿に湖の水を少し入れ、それをこぼさない様に持つ。

 こちらも女衆に担がれた軽めの御輿に座って、村中を回って精霊堂にゆっくり練り歩く。


「わあ。姉さんキレー! いいなあ~ あたいも着た~い!」

「ふふっふ~」


 上機嫌の新婦に小さな女の子たちがうらやましそうに付いて回った。




 村中を歩き回る、新郎と新婦はかち会わないようになっていた。

 赤子を連れた女たちと子供たちが、御輿の上の新郎と新婦を見て回りはしゃぐ。



 実のところ村人たちはこの催し物――結婚式の――信仰的意義、

 それぞれの意味を賢者から知らされてはいた。


 だが、賢者の思惑と外れ"賢者様"、"司祭様"という名前の神様として――

 賢者個人に対する盲目的な信仰をもっていたので、

 教えられた結婚式の作法の意味を認識しているわけではなかった。

 単純に神"賢者様"の言う通りにすることが嬉しかったり、

 見慣れぬ綺麗な服を着れて主役として注目されたりが嬉しかったりしていただけであった。







 村中を担がれ回った新郎新婦は、精霊堂前の小さな二つの小屋にそれぞれ入っていく。

 小屋の入り口にはタスケとチロが残る。

 その4人以外の村人は精霊堂の横の通用口から、がやがやと精霊堂中に入る。

 座る席は足りないので立ち見の村人たちでごった返していた。

 主役の二人と村の取りまとめたち以外は、段取りを詳しいことは聞かされていなかったので

 なにが始まるのかわくわくした――興味しんしんな感情が彼らの顔から読み取れた。


 村人がみんな精霊堂内に入るとタスケとチロが精霊堂の正面扉を二人で開けるため揃って立つ。

 頭たちが騒ぎを収めたあと、どこか厳かな雰囲気のなか二人よって静かに精霊堂の扉が開いた。




 精霊堂奥――祭壇の向こうに賢者――この場では――司祭ライブラと助祭リーアがいた。

 それと、巫女はいないから次期巫女のリムは精霊堂入ってすぐ、正面扉の横で立っている。

 司祭ライブラはいつもの服に青い羽根を付けた鉄冠をかぶっている。

 助祭リーアはライブラと同じように似せて作った服装。被りモノはない。

 次期巫女リムもリーアと同じ服装だ。ただ頭には大量のニワトリの赤茶な羽根で装飾された冠。



 松脂の明かりがあるとはいえ薄暗めの精霊堂内に、扉から差し込む強い日の光。

 森林のように緑色と茶色になっている精霊堂内の壁が光によって鮮やかな色に変わる。

 


 日の光の中から新郎新婦があらわれた。

 二人は扉の横で待機していた次期巫女リムの先導でバージンロードをゆっくり進む。

 新郎は短刀を持って。新婦は湖の水が入った深皿を持って。村人たちの注目中しずかに歩む。

 

 だれかが緊張で「ゴクリ……」と喉がなったのが精霊堂内で静かに響いた。



 祭壇前でとまり、司祭が指定した祭壇にそれぞれ短刀と深皿を置く。

 次期巫女リムは司祭にペコンと一礼すると助祭の横に立った。


 短刀と深皿を置いたとき、タスケとチロが中に入り扉を閉める。

 と、同時に司祭が手を挙げ合図――待機していた村人が麻のカーテンを引いた。



 カッ と、薄暗かった精霊堂の祭壇付近のみに――司祭と新郎新婦だけに丸く日の光が入る。

 薄暗い中でその光の中に舞うちょっとしたホコリが目立ったが、

 それはむしろ光の祝福のようにその場にいた司祭以外すべてのものたちに感じ取れた。


 ――村人たちの目には……それは強く神聖なものとして映った。

 新郎新婦たちに太陽の祝福が与えられたと。


 新郎たちもまた、光の祝福を受けた自分たちがはっきりと主役であると感じ身を震わせた。


 …… 一人、司祭のみがホコリに眉をひそめたが誰も見ていなかった。




 静謐な精霊堂内に司祭ライブラの声が力強く響く。



「命あるものを見守り導く精霊たちよ。

 今ここにひと組の男と女がつがいにならんとしています。

 この儀式を清め、この二人に祝福を与えられますよう願います」


 一呼吸おいて


「私たちは精霊たちの保護と協力の下、健やかなる肉体を保ち糧を得ることができるのです。

 母なる糧を恵む大地の精霊。明りと熱。力の源を与える火の精霊。

 居心地のいい安らぎを与える風の精霊。そして主に湖と温泉にて、水の加護を与える水の精霊。

 すべての精霊たちに感謝を」


 新郎に顔を向け


「夫になる男よ。精霊と同じように妻となるものにも感謝とそして愛を捧げなさい。

 妻が女性であって、自分よりも弱い器だと言うことをわきまえて妻とともに生活し、

 命の恵みをともに受け継ぐ者として尊敬しなさい」


 次に新婦に顔を向け


「妻になる女よ。精霊と同じように夫となるものにも感謝とそして愛を捧げなさい。

 夫が男性であって、自分より強きものとして尊敬し、夫とともに生活し、

 協力しあい、ともに子を育てなさい」



 二人が神妙に聞いたことを確認すると――

 事前に多少の説明を受けていた新郎新婦はちゃんと――少しは内容を理解していたが、

 多くの村人はどこか難しいこといってるなぁ……といった表情。




 司祭は新郎新婦と村人たちを大きく周りを見渡し――――宣言。


「……それではまず初めに結婚の誓約をしていただきます」


 司祭は、新郎の目をじっと見つめ。


「あなたは今、この女性と結婚し精霊の祝福のもと夫婦になろうとしています。

 あなたは、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

 病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い

 この女性を愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、

 その命のかぎり、かたく節操を守ることを誓いますか?」



 

 




 


 ……………



 新郎新婦の二人の誓約が終わり、いよいよメインになる。


「では精霊の加護のもと誓約の印を生み出します。二人で聖杯を持ちなさい」


 新郎新婦が深皿――聖杯を二人で持っていると

 助祭リーアが厚めの指輪を聖杯の水の中に入れた。


 リーアは次に祭壇に置かれた短刀を持つ。


 短刀の刃を指に少し滑らすと血がにじんだ。にじんだ手を深皿の水に入れると――

 水の中の指輪が薄く黄色く光った。


「おおおぉっ?!!」


 ざわめく村人たち。

 良くわからない難しい話ことが続いたが、傍目にもわかりやすいことがおこって大注目する。


 新郎新婦は先に聞いていたので動揺は少なかったがそれでも目を丸くした。


 助祭が光を確認すると、短刀をそばに歩いてきたタスケに渡す。

 タスケは新郎新婦に一礼すると同じように指を切って水に入れる。――また黄色く光った。

 その次にチロ。「おめでと~」 と新婦に軽く声をかけて同じことをする。――黄色く光る。



 リムの先導で村人たちも同じことをしていく。基本は男女交互にやっていく。

 チロが気軽く声をかけたおかげで、先ほどまでの神聖さが薄れ、

 どこか和気あいあいとした雰囲気に一変。……当然仕込みであろう。



 その際、新郎新婦に一礼したり、チロを真似て声をかけたり――

 出された酒を仰ぐ者や、軽いツマミを食べ笑い合ったり――

 ……ちょっと深く切り過ぎて司祭に治療されたり――


 深皿の中の水は赤く染まっていくが――指輪の光はだんだんとではあるが――大きくなっていく。


 最後にリムもする。


 そこで司祭がコホンとせきをうつと妙に精霊堂内に響いて、とたんに静まり返った。

 ふたたび神聖さがもどる。


 司祭ライブラは指輪を水から取り出すと、新郎新婦に深皿を祭壇に置くように言う。

 指輪を別の水に漬け、軽く血と水気を拭きとり、なにか呟くと指輪の光が収まり消えた。

 光が収まった指輪を 村人たちによく見えるように掲げ、

 両手でかるくひねると二つに分かれた。


「この二人を祝福する、精霊と皆の思いはこの誓約の印に込められました。

 この印がある限り、死が二人を分かつまで誓約を守られるように。

 ……互いの指輪を交換します」


 新郎が司祭から小さい方の指輪をとると新婦の薬指にはめ……

 次に、新婦も新郎の指にはめた。



「我らを見守り導く精霊たちよ。

 今ここの男と女は結婚し、つがいになる約束をしました。

 願わくば、この夫婦がたてた誓いがあるかぎり、精霊の加護を与えてくれますようお願いします」



 司祭はそういうと、大きく息を吸って、


「これで結婚式は終了です。新郎新婦の退場です。みんな拍手で送ってください」



 リーアが真っ先に拍手をすると、つられた様に村人たちも拍手を――

 おおきな拍手になって、新郎と新婦はリムに先導されて退場していく。


 仕込んだ誰かが「おめでとー」と声をかけると途端に村人も騒ぎだす。


「ふわ~~いいなぁ~~!」「くそー、もうちょい早く短刀、作れれば俺が一番のりだったのに!」

「おいおいシンロー! にやけてんじゃねーぞー!!」「結婚してぇ~~」

「ああっ! オレも結婚したい!」 「ああいいなぁ…………私もしたいなあ」



 村人が各々言いながらわいわいと賑やかで新郎新婦について話している。






 …………


 二人が退場し終わると、司祭――賢者ライブラはようやく終わったと、大きな溜息。

 そのしぐさに、ああ終わったんだと村人たちも脱力したりしている。


 そこに賢者が軽い口調で話し掛ける。


「ああ、みんなお疲れさん。初めての結婚式だったけど――どうだったかな?

 ちょっと堅いように思ったかもしれないけど、コレは儀式だからね。

 あの指輪もちゃんと力があるし。嵌めてると体力回復とか、安産効果とかあるよ。


 …………ああ、そうだ。

 この結婚式だけど――女性側はこの道――"バージンロード"っていうけど……

 結婚のときこの道を処女――オボコで歩くとより祝福効果があるよ。

 まあ、難しいとはおもうけど……挑戦してみるのもいいかもね?


 うんこれで終わり。

 外に宴会の準備してあるハズだから、早い順で飲んで喰って騒いでくれ」




















【side ライブラ】


 村人も皆、精霊堂から出て行った。ここに残っているのはオレとリーアだけだ。


 皆でていき―― 扉が閉まり――ちゃん確認してから、盛大に溜息をついた。


「ふぅ~~~~~。

 ああっ!! も~~うっ!!

 ―― やぁーーーーっと終わったっ!! くわっ。メンドっ!! 」



 段取りを自分で考えたとはいえ―― がちがちに堅くし過ぎた感があるな。

 とりあえず信仰っぽいことを言って……誓子させて――厳かさを出せればいいやっ!

 って思ってたが―― どんなかね?



 内容は結構――いやだいぶいい加減だが。


 特にテキトーな指輪は、初めから霊力を入れてあったし血を混ぜる必要なんてない。

 皆の祝福を目に見える形にしただけだ。

 指輪は、血が沢山ついて濃くなればより光を放つように魔導具として術をかけただけ。

 みんな血をつけ終わったら、キーワードによってその術の効果は消したし。


 ……血濡れの結婚式はどうかと思ったが……演出的に思いつかんかった。

 指輪は大量に作っておけばこれから何組でも大丈夫だろうし。



 新郎新婦に手作りしてもらった短刀や聖杯なんて呼び名をつけた皿だって

 記念物以外のなにものでもない。

 彼ら自身で作ってもらうことに……

 夫婦となるものが協力して作る事で――意味を持たせたと思わせてるだけ。



 ついで――最後のセリフ。

 バージンロードを処女であるけってのもぶっちゃけ大嘘。

 指輪の効果は、同時に二人が嵌めている状態時のみ、体力回復。安産効果。

 そういう効果をつけたのは間違っちゃいないけど――

 結婚式で処女かどうか、バージンロードを処女で歩くとかなんてまったく関係ないし。


 アレ。成人の儀対策。オレに――村長に身をささげたがらないようにするための方便。

 貞操感を植え付けるためのだけの……ふと漏らしたように見せかけた虚言。



 ま。虚言であると知ってるのはオレ以外はリーアだけだが。



「なーー? リーア。 式どうだったと思う~?」


 やっぱ音楽があったほうがいいだろうなぁ……



 …………



「? リーア?」



 ―― ドサッ ――


 振り向くと――同時にリーアが床に倒れ伏した。



「ぇ? ……り…… リーーーアっ!!!!」








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