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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第二章 ルルア改革
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第11話③ 超発展! 治水編Ⅰ 湧水?


 今回は治水について語る。


 当初の予定としては、寒さがきつくなる前になんとか治水がらみの仕事をおえたかった。

 結果としてそれはいい判断だったと思っている。



 …………

 ……



 シュイくんが湖に大量に存在する砂鉄を発見したことにちょっと考えさせられた。


 この村の飲料水、および洗濯、農業など……いろいろな面ですべて湖の水を利用している。

 いや、飲料水だけとか農業だけとかならともかく……体を洗うのにのも使うわけだ。


 ……はっきり言って、最悪だ。


 体を洗った、洗濯をした、その水を飲料水に料理に酒になんの処理もなくつかっている。


 しかも湖。多少川に流れると言っても貯まって……ある程度してから流れてるみたい。

 いつも流れる川じゃねえ。川なら汚れた水が下流に行くだけで済む。

 まぁ下流域の人間にとっては災難だが。


 幸いここは一次採取。湧水だからな。

 だからこそ、オレも水をのんでも味に気付かなかったってことだろうが……


 わかってしまうと水飲めねえよなぁ…………


 あとで、リーアに料理のとき使う水は、オレが『集水』の術で貯めといた水限定にしてもらうか……

 リーアにはいろいろ前世世界のこととか話しているから、

 そう言った衛生概念も付きつつあるからちゃんとやってくれるだろう。


 でも『集水』の術、大気中の水分を集めて純水をつくる術だけど……

 出来た水はまったく味気ないし……霊気も感じられねえ水になっちまうんだよなぁ……



 どーしよ。


 まず――――体を洗ったり汚れた水を――いや、無理だ。湖に流さないようにってのは。



 やはり別の水源がいるな……

 湖は地下からの湧水らしいからな…… 適当に掘れば――


 うん。やっぱり予定通り新しく井戸を――だが、おそらく吹き出してしまいかねんよな……

 地下からの湧水ってことは――地圧で水に圧力がかかり、地下から水が押し出されてるしな。


 アレだ。中東とかで石油を掘って噴き上がるよーな、噴水みたいにでる感じだろ……たぶん。

 なんとなく、そんなイメージが湧く。

 違うかもだが……悪く考えてたほうがいいだろ。







 ……てことで――


 数日後……新しい水源――湖を作り――家庭用上水と水田利用にするために、

 まずは地質調査も兼ねて井戸を掘ってみることにした。


 場所はもちろん拡大地だ。新しい農地よりも町に近く、それでいて森に近い位置。

 新しい農地と村の中間地点のあたりに掘ってみることとなった。




 万が一を考えて、それなりにいくつかの術を使えるようになってから調査。



「主様? 新しく湖なんて本当に作られるんですか? 湖は神様が創られるんですよ?」


「おねえちゃん。らいぶらさまならきっとできるよ」


 家で今日の予定を話していると、リーアとリムちゃんが応じた。


 神様がね……まぁ――そうこともあるみたいだけど――

 むしろ彼らは適当に暴れたあげく、結果としてそう言う土地が生まれるみたいな感じだよなぁ…


 かつての上司――司書長の神力をみたことがある身としては――

 生前での現代人だったときのように笑い飛ばすことなんざできなくなってるな。


 あのときだって………………はぁ。


 ……閑話休題。



「ああ、だが、今日は単に地下の調査だけだ。――――だけど万が一のことがあるから……

 二人とも、今日は女衆と子供は村から出ないように言っておいてね。

 男衆もオレがいるあたりには近づけないように。ちょっと水が漏れるかもしれないから」



 最悪、『錬成』で塞いでしまえばいいことだし。大丈夫だとはおもうけどね。

 ――まあ別の手段も考慮にいれとくか……




 



 …………


 直径1.5メートルほどの穴を掘っている。

 様子を見ながら、地下10メートルくらいまではすいすい掘っていけた。


 豊かな森林だったこともあって土壌は非常に良く。やわらかで水はけもよさそうだった。

 ただ、すごく湿っているのが気になったが。


 10メートルを超えたあたりだ。

 層がはっきり変わった。白く――灰色っぽいどろどろした層――粘土だ。

 大きな石も砂利もなく。ただただ、灰色でどろどろした粘土が続きはじめた。


 この粘土、窯で焼けば、陶器にもレンガにもなりそうだが――

 農業で水をたくさん地面に吸わせるにはむかな過ぎる。

 10メートルもあれば、森林なら上の地層だけで問題ないだろうが――



 ああ、そう言えばこの地は雨が少ないのだったな――

 それで、これだけの森林があるということは土地に水が溜まりやすいからか……


 だが、農業はマズイ。これではちょっと水を引いただけで湿地帯になってしまう。

 おそらく森が切れてる箇所は水が溜まりにくくなってる箇所か……北に徒歩20日ほど。

 そこまで水を誘導させない限り、乾田はできん。



 掛ける労力を考えて――ちょっと絶望。途中で地層が変わることを期待する。

 まああとでがんばろ……(やってみたら五十キロの地点で変わった。上は知らん。前回参照)



 とりあえずは井戸を掘り進める…………


 『錬成』術で地圧に負けないくらい外壁を固めつつ下に開けた穴の分だけ外壁に土を回す。

 壁になるように圧力と構成変換。井戸の穴より厚い壁にする。

 さらに途中で焼きいれをして――より強固な焼き物井戸に変えていく……

 分厚い焼き物井戸だ。


 …………掘る…焼く …………掘る …焼く

 ………掘る …焼く………掘る…焼く ………掘る…焼く

 ……掘る…焼く ……掘る…焼く


 ……掘る…焼く

 …掘る…掘る…焼く……掘る……焼く


 …掘る掘る…掘る…焼く掘る…掘る……焼く焼く


 掘る…掘る焼く……焼く

 掘る掘る……焼く……掘る焼く焼く……焼く

 掘る掘る掘る掘る、…焼く

 掘る掘る焼く…焼く


 

 ――――うがあああああっあああ!!!


 もう何千メートル下に掘ったんだよっ!! いや、3千いってねえ? そこまではないか……


 でも、ずーーーーーーーーーと、粘土! 変わりゃしねえ!


 しかもだんだん、滅茶苦茶堅くなってる! 『錬成』術でも変化できねえ硬さってなんだよっ!

 最初は一度の術で50メートル単位で掘れたけど、今は5メートルもすすんじゃいねえ。

 途中で時々上に向けて強烈な炎術ぶちかまして井戸の壁を念入りに高温で焼かなかったら、

 まちがいなく地圧でぶっつぶされてるし。


 どーなってるんだ?



 村の湖はどこから湧き水が? いや地下しかねえ。それも砂鉄が含まれてる層だ。

 こっから村の湖までそんなに離れてねえぞ?

 なのにまだ砂鉄たくさんの層にすら当たらないなんて――

 

 一体どれくらいの地下から湧き上がった水なのやら……



 あ、そうだ。新しく覚えた術使ってみるか……


「……『探水』!! ――――ん? すぐ下? もうちょい下に水気があるな…… 『錬成』!!」






 掘る……掘る……掘!!!?



 ……な、なんかすっげーいやな予感がする…………


 もともとオレは霊感というか……勘が鋭い。――ときどきだが。


 おそらくそれで魔軍襲撃の際に生き残れた。

 そう、あのとき、図書館が燃え上がったとき。襲撃近くで館長室に逃げ込んだときのよーな……



 ……


 いやな予感がする……


 静かに、そして早急に、全力で霊気をもって風を体に纏わせる。


 おそるおそる直下。


 足元に向けて『探水』……!!!!! ああぁ!



 次の瞬間、全力で地上に向けて飛翔!!


「あああああぁぁあぁぁぁっぁああああ、やべええええええええぇっぇえぇぇ!!!!」




  ―――― BOM!! GGGGOOOOO!!!! GOOOOOOoooooooo!!!!!! ――――


 井戸の底が吹き上がった。


 ……下からの水圧で。



「うわあああああああああああ!!!!!」



 恥も外見もなく逃げる。逃げる――にーげーるーー!!


 下から襲いかかる強烈な水流と熱気。いや、ただの水流ならこんなに焦らねえ。


 熱水だ。それもたぎる様な。強烈な水気と炎気、地気が混じった霊水だ。いやほとんど水蒸気だ。

 冷やして飲めばさぞかし体によさげな……


 つまり地熱で――マントルに近い位置に着ちまったってことだ。いやそこまでいかんか。

 どちらにせよ。強烈な熱と勢いだ。想定外だ。


 って考えてる余裕ねえって!


 『錬成』術を行使するどころじゃねえ。


 まずは逃げる。


 ――地上に逃げる。





 地上に戻った。あたりを見ると今にも日が暮れそうだ。



 汗と涙と、そのほかもろもろ……恐怖でいろいろ出して漏らし、ながら地上に逃げ切る。


 まわりには誰もいないが――――




 ――あ!



 なんてタイミング!


 遠く村からリーアがリムちゃん連れて――

 ――おそらく暗くなっても戻らないから心配になったんだと思うが――――



「――――っ!!! タイミングわれぇええええええ!!!!」



 このままでは彼女らに熱湯が!!


 オレは―― 母親にエロ本見つけられた高校生のごとく、光の速度で――


 井戸の前に飛び走り――そこに準備してあった『破石』をたたき割る!



  ―――― Punrlyyyyyyyyy!! ――――



 済んだ音を立てて『破石』が砕け散った。


 井戸から高く噴き出しつつあった熱気流は、地下100メートルほどの地点に設置された

 簡易陣によって勢いが食いとめられたため、高く上がらず。


 中途半端にたちあがり……そのまま、辺り一面に高温の熱気がつつむ。

 風術で自分に熱気が来ないようにガードしていると、急速に温度が下がっていき、


 ……辺りが冷えた蒸気で霧になった。数センチ先も見えない白い世界でオレは――



「ああ。は、はっはははは…………

 ……あは、は………あひゃ、あは……

 はぁああああああああ――危なかっっ…たっ!!…………」



 怖かった。めちゃくちゃ怖かった。

 館長室で死に――消滅しかけたときよりも。


 迫り湧きあがる大地への畏怖の念に、その力の大きさから絶望に。





 ……そして、リーアに会えなくなることの恐怖に。




 はっ ……どうも、相当リーアに逝かれちゃってる感じ?


 我ながらなんだか可笑しくなって、恐怖で狂いそうになった頭で狂い笑って……




 ……近づいてくるリーアの気配に泣きそうになり。






 霧が晴れつつあるなかでその隣を走って来るリムちゃんをみて――



 ――ふと、我にかえる。


 汗と涙どころじゃねえ、情けなさすぎる自分の今の状態に。


「―――!! 『浄火』っあああ!!」



 あぶねえ。こんなん見られたら、幻滅どころじゃねえ。


 情けなさすぎ。

 リムちゃんだって森で殺されかけたとき、涙ながしてたけどここまでひどくはなかったってのに。



 いそいで周りを見回す。


 まだ残る蒸気で見えにくいが――――『探知』にも反応ない。


「ふううぅぅぅぅ………… よ、よかったぁああ…… 見られてねえ。

 支持率急落どころじゃねえからなぁあ。

 特にこういう文化じゃ、情けないとこは一度みせたらきっとアウトだ」



 ――溜息を大きくついて、駆け出してくるリーアたちを出迎えた。



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