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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第二章 ルルア改革
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第11話② 超発展! 畜農編 激動、大工事!


 怒涛のような日々を送っている。

 今回は主に、狩り、農業・畜産について語ろう。



 ムオヌとヌルウにかけた『身体強化』術をしばらくしてから、みんな率先して、受けたがった。

 …………それにしても二人とも覚えにくく言いにくいい名前だ。


 彼らはあれから3日程昼夜とわず激痛にみまわれたらしい。ヌルウは5日程。

 村の衆はそれにビビって――死ぬんじゃねえのかってくらい心配してたみたいだったが、

 当の本人から死にそうな声で「これは賢者様から与えられた試練だっ!」って答えたらしい。


 ……心が痛い。

 まさかあんなに術が高い効果を発揮するとは想像していなかった。


 術書によると術の被験者の霊気がすくないと術者の霊気が効率よくかかり、

 また術者と被験者の総霊気量の差が大きければ大きいほど、より強くなるみたい。


 オレ……70年以上修行してたからって…いや、受肉して霊気が上がったせいだよな……

 彼らと俺の間にはそれほどの差があるのか……総霊気量は他人のは感覚でわかるが、本人はわからんのだ。


 わかるのは術に使っている霊気量くらいだ。

 総霊気量を計測できる天界の道具なんざもってるわけねえしな。



 術者であるオレ本人に術をかけても、普段の1.5倍のアップが精々なのに、

 他人にかけたら50倍以上いや100倍以上? それくらいの強力な効果があった。

 なんか納得がいかない。

 オレTUEEE! じゃなくって皆TUEEE! になってるし。



 そして総霊気量が村の他の人より少なかったムオヌにいたっては……

 本人が村一番の力もちであったこともあり……あれほどとんでもないほどの効果になった。


 ……なにしろ太さがオレの背丈以上……直径がだぞ? 高さはおおよそ100メートル以上……

 そんな木を軽々持っちまうって……なんなんだそりゃ? って言いたくなる。


 一方もともと力がそんななかった、ヌルウはそこまですごくなかったが……

 それでも普通の木ならまとめて片手で軽々持ってしまえた。



 そしてなにより、二人とも動きがとんでもなく早かった。

 オレの身体強化したあげく、風術でサポートした動きよりもさらに。


 オレはついていくのが精いっぱい。ほとんど指示だけ。

 やったのは大きめの木を切ること。草を刈ることぐらいだ。

 あとは、ちょっと術でサポートくらい。


 彼らが枝を高速ですべて切り落とし……地面に落ちる前に拾って……あっさり解体。

 分別もしっかりできて……


 そこでようやくオレの出番。下から木を切るだけ。木は倒れる前に彼らが太さで分け……

 いつの間にか指定した場所に運んであった。

 そしてオレが次に切る木を指さす。


 ……ここまでやって、早い時は十数秒。大きい木でも1、2分。

 


 いや、効果ですぎ? なんだよあの動き? 見えねえくらいぴょんぴょん飛び回って忍者?

 反射神経やら視力も全部上がってる。オレ自身に術をかけても上がらんものまで。いろいろ。

 完全に二人だけ世界が違ってた。たぶん16倍速から32倍速くらいの世界で。


 ……出会った村人は呆けてるし。



 ……で、そんな二人。

 術の効果が切れ、死ぬほど苦しんだあと、ぱったり1日静かに寝た。

 オレは無責任にも、やっぱり死んじまったかなって思っちまった。


 だが、起きた後は、なんと元の筋力やら体力やらからみて、ホントに強くなってた。

 傍目にもわかるくらいにはっきりとらしい。


 オレは前を知らんからどれくらいか判断つかなかったが……

 それでも、快調したムオヌの動きは――ホントに同じ人間とは思えなかった。

 あれで術なしなんて……なんてインチキ! って思った。

 …………いやインチキはお前だろって? まあ、自分の中からのつっこみには同意しておくが。



 嘘からでた真。

 ……いや、たぶん超回復効果と術を長期間かけた場合の効果……

 それらを考えればありえそうだとは思ったから、ムオヌの"試練"なんて言葉に同意したが。





 で。これをうけて男衆。

 とうぜんうらやましがり……我も我もとばかり……受けたがる。二人をうらやましがる。


「賢者様。彼ら二人だけでなく、是非とも皆にご加護を与えてください。

 このままでは、皆がうらやましがって暴れて、仕事になりません」


 ……なんてちょっと迫力満点なタスケに脅された。

 それで是非とも頭である、自分を最初にって。


 まあ一度に全員やると作業の効率上、指示が追い付かないし、

 倒れたときの看病とか如何しようもないから、代表のタスケと――

 狩りなど採取とかで頑張った奴を優先で褒美の一つとしてやることにした。


 みんな物や酒の褒美よりこちらをまっ先にすることを望んだ。



 そうしてこれは、いつの間にか「賢者様の神聖なる根性試練」なんて呼び名がついた。

 ――いや、子供も女衆まで…… まあ、受けたがったけど、それは基本的に拒否した。


「ね~、ね~、りむも~~りむも~うける~!! らいぶらさまぁ~。ねぇ~」


 ……拒否した。


 子供は全面拒否。女衆は健康で妊娠していなく、本当に希望者のみだ。

 男衆よりもさらに頑張ったものだけに術をかけた。


 女衆の場合、術行使中も術後も男衆よりも平均的に効果は若干少なかったが。


 どうも気づかなかったし、知らなかったが、村の……いや、ヤトの一族は女のほうが霊力が高い。

 そう言う傾向にあるようだ。



 その中でもリーアとリムちゃんは結構高い霊力を持っている。



 当然リーアもこの試練を受けたがった。

 いや、タスケとおんなじようにまっ先に受けたがった。

 悩んだ。そうとう悩んだが――リーアの上目使いな泣き顔にしぶしぶ術をかけた。

 やっぱりあんまり術の効果が高くない――そうはいっても10倍くらいは働いた。


 で、効果が切れ……地獄の苦しみを味わうのだが……


「あああああぁぁぁぁあああぁああああぁあああああああ…………!!!!」


 大絶叫。つ、つれえ…………

 苦しんでいるのみるのつれええええ!! ああ、でもなんか苦しんでるのがどこか色っぽい!?


 どこかいけない扉が開きそうなのが……ああダメだ。オレだめ。

 妻が苦しんでるの見て喜んじゃダメ~!


 受けたがったリムちゃんだったが、さすがに怯えきってる。


「りむ。大人になったらでいい…………」


 ……つぶやいた。

 その後のリーアの効果は、あんまり、たいしたことがなかった。6日も苦しんだのに……

 ごくわずか。事前と事後に身体測定していないと気付かなかったくらいにしか効果がない。

 あまり効果がでなかったことにリーア本気で涙目。





 ……


 この術のおかげで――

 これがまた作業効率があがるあがる。


 試練を受けたい→頑張る→術行使→術で滅茶苦茶働く50倍~100倍?→

 数日寝る(個人差あり3日~6日)→基本能力アップ!→効果とオレへの感謝もあってより働く。



 一応、どれほどの効果かこの試練で上がるのか数値で確認したかったので測った。


 術を受ける前に身体測定、霊気量測定(オレの主観)、術中の動き、術後の測定とやってみたが

 みごとにばらばら。霊気低い人で元から2倍、霊気高めの人1.2倍くらいかな?

 ただし、この術式の影響で本人の霊気が若干上がるようだ。がそっちは正反対。

 もともと霊気の低い人はあんまり上がらなくて……高い人は上がりやすい。


 ……てことはムオヌって前から相当霊気がすくなかったってことになるな。


 おおよそ元が力自慢だったり脳筋タイプだと霊気が低めっぽい。

 つまり完全に戦士と術者(術が使えるわけじゃねえケド)タイプにはっきり分かれるわけだ。



 試練をうけたあと、もう一度受けたがったわがままなヤツもでてきたが――

 急激なレベルアップは体にどう影響がでるか、かなり心配だったので断った。


 だが――1年後くらいに危険性をちゃんと説明した希望者にやってみようと思う。



 この期間中全体で見た場合、おおよそ今までの30倍くらい? いや、もっとかな?

 それほどの効率があった。 30日以上ですること1日でやるようなものだ。

 ……いや、やっぱりそれ以上の効果だったかも。








 ………………

 ……




 狩りの方は槍とそして竹弓。これが非常に強力で5,6人いれば問題ないみたい。

 いままでの7倍近い効率の良さだ。試練の効果と武器の性能がここまで引き上げた。

 彼らには優先的に軽めな鉄製の防具も与えた。

 そして10日ごとに一番成果があった者に次の期間、青龍偃月刀を貸しだす。

 まぁ優れた槍使いは2人しかいなかったが。



 そんなにたくさん人がいらなかったので専業にして少なくしようとした。

 で――男衆の中で狩りが得意なもの。好きなものを集めて――


「この村でもっともすぐれた狩人5人を狩り専任とする。そう彼ら5人を"ハンター"と呼ぶことにする。

 ハンターとは男の中の男! その証!

 冷静に、そして情熱をもって獲物を狙い、獲物と知恵を競い、皆の生きる糧を手に入れる男たち!

 そう彼らこそが、勇気と知恵をもって凶暴なる獣や、危険な世界に踏み出す誇り高き益荒男!!」


 そう呼び、"ハンター"と称号つきで直々に任命した。任命された男たちは大感激していた。



 ……オレがつい調子にのり、誇張してハンター讃美したからか……だれもが成りたがった。

 だが、まあ、あんまり人数とられても本末転倒で困るので数を制限。


 基本常時5名までとした。


 ただし若いものや見込みのある子供の中で後継者2,3名までを独自に育てるように指示。

 ハンター用の武器をいろいろ考えた。……狩りで入手した毛皮や骨も使って……どこかモンハンなネタ的に。




 仕事を専業わけ――プロ育成の開始だ。





 漁業も改革を進めた。

 投網漁だ。大きな網を使い、罠をしかけ――他にも効率のいい漁業のやり方を教えていく。

 釣具もできる箇所は鉄製などに変えていく。

 これも基本5名とした。ただしこちらも子供に後継者を育てせさせることとする。

 だがオレがあまり讃美しなかったせいか、成りたがる男が少ない。


 やむ得ないので女性も許可。

 お婆さん――長老からや男衆から慣習にないと小さいながらも抗議がきたが――

 効率と危険性が減ることなどを根拠にそこは納得させた。あくまで希望者のみだ。

 これに男衆を見返したい女衆は賛同。何人か希望者がでた。


「男にばっか、大きな顔をさせてなるものですか! 試練を超えたのは男だけじゃないわよっ!」


 結果、最初の専業は男3名。女2名となった。

 女が混ざって不満がある、3人の男たちの方には、近くで自分達のすごさを見せてやれと発破。

 そういうことなら……と意気込んだ。








 そして畜産である。今まで村では概念すらなかったことだ。

 だが、これはいろいろな意味で、どうしてもやらねばならないことだ。


 まずは牛。宴会で食べた"マルウ"は見たがちょっと違うので、別の獣――牛に近い獣がいた。

 面倒なのでこの獣を "牛"と呼ぶように皆に言う。


 術で動かないように縛り付けて乳を搾って、味を確認。

 牛乳を飲むオレに、見ていたリーアや男たちが仰天していたが――無視して――うん。味は濃いけどちゃんと牛乳に近いかも?


 農地改革中の土地――"拡大地"と呼称――の一画。村からさほど離れていない場所に

 あんまり深く設計したわけじゃないけど牛舎を設立。頑丈な柵も作る。


 オス3体、メス5体、生きたまま傷つかないように、術で捕えて村に持ってく。

 ただし、術で深く眠らせたあと牛の角と爪は切っておく。

 これらを切ると牛の凶暴性がなくなるそうだ。書に書いてあった。

 だが、切ったら血がどばどばでた。大丈夫か心配してたが……半日ほどでおさまった。

 数日は、なんか牛の悲痛な泣き声と暴れ音が聞こえてきたが――

 しばらくしてみたらおとなしくなってた。


 乳も良くとれる。長時間火にかけて、熱で殺菌消毒してから飲むように厳重に注意。

 書に書いてあった……オレそのまま飲んじまったよ……大丈夫っぽいけど。


 当面は、わらを餌に。肉は食わない。頭数を増やすことを指示。ついでに人に慣れさせるようにも。

 牛乳を採ることを教える。おっかなびっくり自分たちで絞り、沸騰殺菌した牛乳を飲む村人。


 飲みなれないとお腹をこわすので少しにするように言う。

 苦手な人もいたみたいだが、おおよそ皆美味いと感じているみたい。


 リーアや女衆にはこの牛乳がないとクリームパンのクリームが作れないと言っておいた。

 それとこの牛乳をつかっていろいろ料理が作れると。


 さらに皆に、この牛乳を飲み続けると長生き――健康保持に役立つし、背が高くなる。力も上がる

 おっぱいも良く育つ、と力説。(……まだロリと完全に認めたわけじゃない)



 牛乳は美味いが――気味が悪そう、て感じであった皆が、それを聞くと歓声。


「たくさんのむ。早くおとなになる」

「くりいむパン! 早く作れるように、牛さんがんばって育てるのよっ!!」


 リムちゃんもリーアも真剣になって説明を聞こうとした。


 リーア……普段はマジメで、ちょっと堅いところがあるのに、クリームパンが絡むと途端に幼くなる。

 まあ、そういうリーアもかわいくていいけどさ……



 ……結局何人かが、この仕事をやりたがった。







 そして鶏だ。

 だが、あいにくこのあたりに似た鳥がいない。探し回ったし、村人に聞きまわった。


 こまったオレは最終手段――≪ポケット≫から鶏卵を取り出す。有精卵だ。

 オレが買うのは基本的に有精卵だ。ちょっと赤みがかって桜色だ。

 栄養――霊気が無精卵より高いのだ。少々値段が張るが高給料のオレには問題ない。

 天界の卵は霊気が減るから冷やさないし、基本、時が止まった≪ポケット≫の中。

 産み建てに極めて近い新鮮なまんまだ。孵卵も可能だと思う。


 で、オレの家の横に孵卵小屋を作る。書を読みながらいろいろ準備。


 なるべく密閉させ……まあ空気穴程度はあいてるが――

 3畳ほどの大きさ。高さは低く。扉を付けて出入りできるように……

 中に目の細かい柔らかな藁を引く。乾燥しないようにたくさん土器に水を汲んで――


 ここで秘密兵器――魔導具≪エアコン≫。一度の充電……霊気で3日動作可能。

 室内の温度・湿度を指定した状態に素早く保つ。サイズは小さな空気清浄機ほど。

 ついでに雑菌駆除もする。……マイナスイオンもでる。


 これでおおよそ体温にあたる、38度固定。湿度は高めに。まあ水がめもあるが。

 そこに有精卵を4パック≪ポケット≫内の約半数だ。……40個置く。

 尖った方が下だ。ちょっと傾ける。


 これであとは転卵――卵を数時間おきに90度くらい逆向きに傾けるっと。

 おおよそ3時間で無くなる木製の砂時計を作ってあったので、それで時間を測る。


 この転卵をする仕事を、主にリムちゃん。監視と手伝いをリーアにお願いした。


 専任として任された仕事に、リムちゃんはとても張り切っている。

 これでリムちゃんが危ないとこに出かけることがなくなった。




「ぴよぴよ こっち!」 ―― PiyoPiyo.....PiyoPiyo .. ――


 ……おおよそ40日後、オレの家の中で20匹以上のひよこを引き連れて上機嫌で散歩……

 ゆっくり歩くリムちゃんを見ることができた。


 リムちゃんはなぜか自分に懐く、ひよこたちを猛愛しているように見える。

 ひよこには、トウモロコシと麦を粉状に砕いたものをエサにした。

 ひよこたちの雌雄選別なんて書で見てもさっぱりわからんかったので、

 選別しないで、しばらくはそのまま育てることにする。


 まあとりあえず当面は鶏肉をとるためじゃなく、増やすため、卵は半分の採取とするか。

 成長したオスを喰う為に殺す時、リムちゃんはどう反応するか、心配するケド……






 人員は、畜産全体で専属を男女合わせて10名だ。

 なれたらもっと減らしてもいいだろうが、鶏もそうだが畜産がらみは

 もっと仕事が増えるだろうからな。







 



 ……………

 ……


 拡大地の農地改革に従事するのは、余った男衆56人うち25人。

 試練中の強化術こみだから30倍以上の効率で行う。


 それだけで実質、普通750人分以上の人足分だ。

 だが、大人数の場合より指示もよく通るし目もいける。

 みんな張り切ってるし、さぼるヤツなんざいない。

 目的意識も、指示するオレへの信頼も忠誠度もシャレにならんくらい高い。

 結果、倍以上、2000人集めたってこうはいかないだろうってくらいたくさんいろいろ出来た。

 ときどき試練中の女衆や、細かいことを子供たちも手伝う。



 まず、初日で切った場所の切株処理。石灰等資源の採取。腐葉土の採取、

 樹木の処理……樹皮を剥いだり、樹液(松脂など。あとゴムに似たものもあった)を取ったり……


 切り倒した場所の資源はすぐなくなった……



 農地を作るために、切り倒した拡大地のおおよそ半分強ほどを使う。

 村から若干はなれた箇所に作る。森に近い位置だ。

 東門から北門にかけて……おおよそ200万平方メートルだ。

 東京ドーム40個分くらい広大だ。

 ……まぁ。なんとなく言いたかった単位だ。うん。相当広い。

 もっともこれは、田んぼ道も水路も含む広さになるが。田んぼだけならおおよそ120万平米。


 ちなみにおおよそ現在村にある田んぼの面積(約20万平米くらい)より広い。

 それでも、かなり広く感じられるだろうが……村人350人は伊達ではないのだ。


 もちろん今年、いきなりすべての田んぼを使うわけじゃない。転作・休作も考慮するし、

 来年以降のことも考慮した広さだ。……まあぶっちゃけ木を切り過ぎた。無駄にしないためだ。

 あるいは、農地以外は貯水池とかに使うかもしれん。


 その広大な土地を周りより1メートルほど低くくした農地にしようと思う。

 もともとは丘あり、谷ありで平地ではなかったが、資源採取しつつ掘って掘りまくって平らにしてしまおう。



 早速掘り返す。そこにあった土、資源は、種類ごとわけておく。鉄鉱石やらも多少あった。



 また井戸用に別で深く掘った場所は粘土層になっていた。

 だいたい10メートル近くから。

 これはちと予想外であった。水はけがとっても悪い。

 いや、10メートル下なら問題ないかもだが…森林あるし…だが、念には念を入れておこう……



 いろいろ検討。


 結局、さらに農地全体は掘って掘って掘りまくって……

 …さらに20メートルほど掘ったところで中止。まあこれくらい深い場所なら問題ないだろうと……













 粘土層は少し全体を坂にして水がたまりにくい状況にし、

 また農地以外からもこちらに流れないように、

 全農地の地下の境には……外壁は、粘土で地上まで囲む。術で焼く。

 これで農地に水が流れ込まない。


 そこから、農地外の遠くに地下から排水する仕組みを作る。

 ここはオレが、術全開で地下道を北に斜め下方向へ掘り進める。

 さらへの地下は井戸を掘ろうとして大失敗したからな(後述)……


 柔らかな粘土層だったので、そこまで大変でもなかったが……

 掘るたびに水気を確認して地下水脈にあたらないようにしつつ、五十キロ以上はなれたところ……

 地上はどこか知らんが……ここまでくると粘土層でなく砂状になったのでそこで終了。

 まぁ、間違いなくヤトの勢力下ではないだろうが、地下過ぎてわからんだろ。

 水はそちらに流れ落ちる。同じ方向に2か所地下排水路を作る。必要ないかもだが念には念を…


 排水路には粒が大きい石などでかるく、

 水と一緒に流れる砂で穴が閉まってしまわないように網目な蓋をしておく。


 国家事業クラスの超大規模工事だった。

 しっかし地下五十キロもよく掘ったもんだ。だいたい琵琶湖から大阪湾くらいまでの長さだぞ?

 オレの霊力はどうなってるんだ? 天界人クラスはありそうだが……


 本来この地は土地に水が溜まり過ぎて乾田にむかな過ぎる。

 だが皆の工事を中断させたくなかったので、オレが術を振り絞って一晩で終わらせた。

 翌日はぐったりだったが。




 一方、農地用の場所と道・水路用の場所とにわけていろいろ埋め立て。

 大きい水路を農地全体に井型な感じで作った。そこから小さな水路を引いた。


 農地用以外の場所との区切りにはレンガを使い、肥料になるもの以外で埋め立てる。

 だが、元あった粘土をいれるわけにはいかないので農地側が埋め立て用土を不足しかねない。

 そんな感じで土が足りくなりそうだったので、農地用以外の場所にレンガや粘土を使って……

 あとで、なんか役に立つだろうと地下道をつくったりした。

 まあ役に立たなくても穴埋めにしただけだが。 高さ2.3メートルの空洞部を4段作った。

 それ以外にも、粘土が不足した場合に備えて粘土層へ降りられる地下路を別で作った。

 とりあえず、術で崩れないよう地下道は頑丈につくった。

 上層2.3メートルは普通の土でカモフラージュ。


 農地用には、水はけをよくするため最初に大きめの石。次に小石。

 使い道がなさそうなもので土台をつくり……段々色が濃い土に変えていく。

 上層部1,2メートルまでそんなので埋めた。

 上層部……田んぼは、集めた土と砕いた貝殻、動物のフン、使い道のない木の葉っぱなどと

 もみ殻を炭にした燻炭、砕いて粉々にした石灰を少量……等いろいろ混ぜた。で埋め立て。

 足りない土はあちこちからさらに集め……

 ただし森からは均等に……森の栄養価がなくならないように控えるようにした。


 そうやって元の高さから1メートル低い位置ぐらいまでなんとか戻した。


 また、田んぼの上30cmくらいの部分を、

 土の配分を微妙に変えた田んぼをいくつか用意しておいた。

 どのくらいの差があるかの調査だ。どれも栄養豊富な田んぼだろうが。念をいれて。


 そうして、めちゃくちゃ栄養分がありそうな黒い大地ができあがったわけだ。



 ここまでするのにたったの55日……だ。冬に入る前までに終わらせた。

 すげえ作業が早い。おおよそ一日ごとに新しい指示を出した。


 『身体強化』術がなかったらここまで大規模にはできなかったに違いない。



 そのあと、膨大な粘土を利用したレンガとオレの術を利用し田んぼ道と水路を作る。

 ところどころには石灰岩を利用したセメントで補強。



 あとに残ったのは、膨大な量の材木。そして粘土だ。石灰岩もたくさんある。鉄鉱石も少しある。


 特に粘土の量は凄まじい。水路を造っても全然減らない――大山になっている。

 粘土層から計算されたおおよその体積は400万立方メートル弱、東京ドーム3個分?


 心配になって村人を一人近くの村(その近く)まで行かせて目立たないか確認させたほどだ。






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