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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第一章 下界降り
13/29

第9話 婚姻。始まり

今回の話は後半、推敲中悶絶必至でした。何度変えようと思ったことか……数年後音読されたらきっと死ぬ。


 さてさて、とりあえず仮の家はできたが……受肉状態だと、これじゃマズイな。

 リーアのためにも水道やら風呂やら……いろいろ足りない。

 それに、思いっきり魔導具使いまくりだし。


 早急にちゃんとした家を……それも魔導具やコピーの霊波動のないまともな家を建てんと。



 リーアはカチコチにかたまってる。

 オレがいろいろ思考している間も、手もちぶさで…じゃない、緊張して静止している。


 なんかやらせば――

 ああ、今日、リーアどうしよ。やることないから余計に緊張してるんだろうな。

 昨晩の婆さんの家では、なんか石臼でゴリゴリしてたみたいだけどここにはねえし。


 リーアとリムちゃんになんか暇つぶしを……


 (グゥ)

 あ、腹減った……そういや、飯食ってねえし。


 昼飯食ってねえよ。この村は朝晩2食みたいだが。

 腹減りの感覚がなんか懐かしくおもえる。ふむ。先にお茶の準備をするか。



 ≪ヤカン≫に霊気を込めお湯を作り、お茶を用意。

 リーアとリムちゃんにお茶の入れ方を教えつつ、

 なにかやりたいことがあれば、自分の家だし、自由にするように言う。



「あ、あの……今日のご飯どうされます? うちに帰って取ってこないと……」


「ああ。 今晩の飯はあとでオレがだすよ。明日から頼むわ。

 ……それとリーアの家は今日からここ。オレんとこね」


「う、ハイ」 手もちぶさのようだ。なにかしてないと落ち着かないみたい。


 リムちゃんはそうでもないようで、入れたお茶が好きになったみたいで自分でいれて

 がぶがぶ飲んだり、テーブルの上に置いてあるものを手にとって観察してる。




 …………そうだな。


 とりあえず、二人にノートを手渡す。それと普通の鉛筆を出し、色鉛筆の蓋をあける。



「このノート……紙っていうんだけど二人にあげる。二人専用。好きなように使っていいよ。

 で、鉛筆、こっちは色鉛筆。このテーブルに置いておくから適当に使っていいよ。

 使い方は…………


 こんな感じ。いろいろな色が使える。こっちの消しゴムで消せる。

 鉛筆は力を入れすぎないよう……軽く持って……

 ノートも色鉛筆もいくらでも造れるから、描きたいことや落書きでもいいから好きにすればいいよ」



 リムちゃんのノートに適当に『ドラゴンボール』の孫悟空の絵を鉛筆で描く。

 その横に、てきとーに色鉛筆の茶色と緑で木らしきものを描く。


 二人共びっくり。

 あ、ちょっと二人で驚き方が違う……リーアは唖然と不思議なものでも見るような目。

 リムちゃんは興味津々。受け取ったノートを置き、青色の色鉛筆を手に取った。ノートに線を引く。


 うむ。文化【絵画】を伝えたっ!ってとこ? この村に今のところ絵って見てないからな。

 土器にも模様がなかったし……あ、リーアの服に模様があったか。それ以外では見てないな。



 リムちゃんはすぐ要領を得たみたいで何やら書きはじめたが、リーアは固まったまんまだ。

 むう。


 そうだな……


 リーアのノートを取って……「あ……」 (取り上げられたリーアが泣きそう)

 ……ちょっと最初のページの真中に色鉛筆で描く。



「リーア? ちょっとコレ見てくれるか?

 ……これ。これがオレらの家、となりはお婆さんの家。木があって、斜面があって湖。

 わかる? ――うん。ルルアの村な。


 リーアにこれを――"地図"っていうんだが完成させてほしいんだ。

 村がどんな形をしてるか? どこになにがあるのか? 田んぼの場所とか……森の入り口とか

 他の人の家とか…… わかる範囲でいいから。

 多少間違っててもいいからちょっと描いてみて。あ、正確じゃなくてもいいからね?


 より細かいとこは明日でも村を回って描いても。


 あーそれ以外でも、森の獣の絵とか……魔獣の絵とか……植物の絵とか……

 村で使ってる道具の絵とか……なんでもいい。実際にあるものを絵に――

 ああ、このノートにこうやって思い出しながらでも描いてみて。

 オレの仕事のお手伝い。コレ結構重要。他の仕事の合間でいいけど」



 うん。実用的だし。リーアにも仕事として与えてやればいい。

 リーアはこくこくうなづいている。うん、心なしか嬉しそうだ。


「ハイ! まかせてください!」


 ……仕事を与えられたリーアをうらやましそうだったリムちゃんにも、

 お絵描き……青い服…オレか? を中断して、期待するかのようにオレをじっと見つめる。


 頷いて、「リムちゃんもやってくれると助かるよ」って言っておいた。



 うむ。まあ、当面二人はこれでよし。オレの情報収集の一環だ。




 オレは別のノートを手に取る。ボールペンでタイトルを書く……【ルルウ改革】。


 1ページ目。

 まず第一目標は家だな。箇条書き


・木製。わらなんか使いたくない。あと、部屋が複数に分かれていること。扉もあるとよい。

・リビングには暖炉。全部屋(最低でも寝室には)に熱気が流れる仕組み。煙は煙突から排出。

・風呂があること。とりあえずは釜炊きでよい。

・台所に水道完備。排水も。

・トイレ完備あるいは離れに。汲み取り式でかまわないが、匂い対策は必須。

・各部屋、ある程度広さがあること。

・各部屋に明り。松脂とかで灯篭でいいか。

・当然ながらささくれ立った木がないこと。床つるつるで安全なこと。



 理想と妥協と考慮に入れながら実現案の検証。

 ≪ポケット≫から【東方建築物】という書の最初の方にある木造建築、東大寺とか……

 あるいは別の書で――ロッジやらコテージを眺めながら……検証。

 妥協案を考えながら、たたき台となる設計図を作る。


 必要な道具、素材、部品……洗い出ししていく。

 材木、レンガ、ガラス……あと釘。んーーところどころ鉄がいるなあ。

 粘土も……セメント、水場とかで使いそうだ。あ、鉄の方がいいかな?

 あと羽毛布団……無理だな……無理か。


 机とイスとかもいるよな。

 あ、本棚……いちいち≪ポケット≫から取り出さなくてもいいようにコピーを置いておきたい。



 どんどん考えが膨らんでいく。うーーん。第一目標にしたが、必要となるものが多すぎるな。

 一歩一歩進めるしかないか……


 その間、リムちゃんとリーアは、一生懸命な様子で思い出しつついろいろ絵を描いてる。


 が、それなりにトラブルがあったり……


 1ページ目に描ききれなくて、困ったり……ページをめくって2ページ目を示した。

 鉛筆の芯が折れて困ったり……鉛筆削りの使い方を教えた。

 湯呑を倒してお茶をこぼしたり……作っておいたタオルで拭いたり、後でタオル洗うよう言ったり

 ノートが濡れてリムちゃんが泣き出したり……術で乾かした。基本、日干しするよう言ったり……





 …………


 時計を見ると7時だ。

 リーアとリムちゃんはもう寝むたそ…………はっ!


 いかん。そういや……

 昨日は時計出してなかったから気づかなかったけど、

 暗くなったらすぐ飯で――しばらく経って、そのあとすぐ寝てたっけ。

 ここでは基本、早寝なんだ。



「ごめん、ごめん、二人とも……ご飯にしよう。 …………"カレー"だ」



 天界にいた最後の晩に作って残してあったカレーとご飯を、さっき造ったカレー皿に入れる。

 うむ。次のカレーはいつになるだろうかな?

 カレーは好物だからこれが早く村で作れるようにしたいものだ。



 …………リーアは刺激が強すぎて残念ながら、カレーが苦手みたいだった。

 ちょっとのカレーとカレーの具、白米ををすごくおいしそうに食べてる。白米ばかり食べてる。


 リムちゃんは逆にすごく気に入ったみたい。リーアが食えそうもないカレールーをもらってる。

 はふはふ言いながら小さな口に一生懸命スプーンを運ぶ。

 オレは消費するお茶を注ぎ足してあげた。

 リムちゃんが沢山おかわりもしたこともあって作ってあったカレーはすべてなくなった。



 カレーが入ってた鍋を『浄化』して、食器もついでに『浄化』して……

 明日からリーアに洗ってもらうかな。


 ついでキレイになった鍋をコピー。複製を3つ造って……皿とかと一緒に隅に置いとく。






 リーアとリムちゃんはお腹いっぱいになったみたいで寝むたそう。

 そろそろ……リムちゃんを帰さないと……



「……おやすみかな? リムちゃん。お婆さんの所へお帰り」


「………や」 ……短くつぶやき拒絶。



 ……だろーなぁ…。

 僅かな時間だろうとこの≪テント≫みたいな生活知ったら戻れるわけねーよ。



「リムっ! ライブラ様のご指示ですよっ! 」

「やーー。お姉ちゃんばっかりズールーイー!! りむ、らいぶらさまのとこ、いーるー」



 うーーむ。今日は泊めるか? でも絶対もう戻れないだろーしなぁ……

 部屋が分かれてりゃ、問題ねえけど……



 リーアとえろえろしなきゃ……自重すればいいのはわかるが……


 ……ぶっちゃけ、耐えるの無理。72年ぶりに受肉した影響なのか情欲を抑えるのなんか難しい

 今だって、すぐにでもリーアを抱きてえ、て衝動がある。

 ここまでの衝動、生前だって感じたことねえ。 たぶん数日たてば落ち着くだろうケド。

 ……今日は、やんなきゃ無理。





 …………つっ。


【もぉ、ぶっちゃけリムちゃんの前でもいいんじゃね? どーせ村人みんなそんなもんだろうし】


【オレの露出趣味はねえっ! つーか。あんな子供の前でできるかっ!】


 くう……。どうするべきか……またまた大論戦。くそう、妥協案はどこか……


 …………


 ……


















 おおよそ10分後、真っ暗闇を霊視のみで風術全開で駈けるオレがあった。


 体に風を纏わせスピードと跳躍力を高める。

 村の柵を乗り越え、天界人の剣を森に向けて強く一閃。


 ……10本くらいまとめて、切り倒された材木の1本を剣の衝撃波で切り刻む。

 目的の材木をつくりだして『操作』術で持ち運び――――





 ――目を丸くして驚いているリーアとリムちゃんの前に木材を浮遊させて戻った。

 『操作』術。現在の限界ぎりぎり約40Kg。


「はぁ、はぁ、はぁ…… よし。……――『錬成』……これでよし」



 オレとリーア用の布団を囲むように、角にL字型になるようにパーテーションを置く。

 それとソファの後ろ、道具置き場に近い方にリムちゃん用の寝る場所になるよう、

 ソファから見えないような位置にもう一つL字パーテーションを置く。

 パーテーションは、高さ3メートル・幅1メートルほどのパーテーションを5個を連結したものだ。


 倒れないように木組みでちゃんと連結してある。表面はカンナで削ったようにつるつるにした。


 ついで……≪ポケット≫からリムちゃん用の布団、枕、敷布団、シーツを取り出しコピー。

 

 で、≪テント≫内の光源の位置を調整。入口付近からの発光に。

 オレらとリムちゃんの寝る場所にはあまり光が入らないようにした。


 ……準備オッケー。


 ……………冷静になって考えてみると、どれだけオレ、リーアとエロエロしたいんだよ。ロリが。




「うん。まあ、リムちゃんは、リーアの妹だ。つーことはオレの義妹だ。

 リムちゃんがそこまでいうなら、まぁここで暮らしてもいいよ。

 ………あ、リムちゃんが寝る場所はこっちね」



「あ。う、ん。…………わかった…………え、と。……おやすみなさい。わ……ふかふか」


 オレになにか言いたげだったが……何も言わず、そのままリムちゃんは布団に入った。


「……………ライブラ様? その、わたしは?……」



















 …………



 あのあとすぐ、リーアを布団の場所に呼んで、リムちゃんが寝るだろうときまで

 2時間くらいかけて、キスで口をふさぎつつ、ただあっちこっちさわりまくった。

 で、何戦かしたあとリーアはコテンと寝てしまった。




 …………


 カッカしてた頭がクールに。 ――スーパー賢者タイム発動……



 オレは、術書でお勉強。ソファの近くで結跏趺坐。まずは今まで見向きもしなかった、地術の書。


 現状、地術は≪錬成≫しか使えない。

 だが、≪錬成≫って地術のなかでも、結構難易度が高い術だ。

 それより低難易度の術ならすぐできるだろう。

 オレは思い出の見習い杖を数十年ぶりに取り出して、≪身体強化≫術を練習しはじめる。






 目を閉じ体の霊気の流れ……大気の精霊、体の内にある地に属する小さき精霊。

 霊気の流れを大気や他の精霊に影響させないで、体の地の精霊のみに己の霊気を与える……


 受肉された体には数多の種類の精霊が宿っている。

 天界にいたときの自ら精神のみで存在している時とは違う。


 自らの中にも、自分以外の命の――精霊の気配を――感情を感じる。

 杖の中の地の精霊を感じ、同種の精霊を自らの中に探す。


 この見習い杖は術の方向性と、杖に存在する精霊を介して、

 他の精霊を見つけやすくするためのものでしかない。


 腕にいる地の精霊を探し……次に足にいる精霊を探し……最後に体中の地の精霊を……

 順々に探し、活性化。そして戻す。また活性化。戻す。活性させる順序を変える。

 だんだんサイクルを早くする……


「……よし。掴めた」


 なぜか多く、尽きることが考えにくい……

 地の精霊に流していた自分の巨大な霊気を、少しづつ減らしていく。

 巨大な霊気のおかげで練達がとても早い。


 むりやり大きな霊力で術の基幹を実行して、あとは霊気量を下げていく。

 細かいことはあとで調整。実行するのに最低限の霊気量まで落とす。

 

「ん。できた。……あとは必要霊気を減らして、集中を維持できれば問題ないな……」


 それにしても、我ながらとんでもない霊気量だ。

 こんな無理やりに近い方法で、術を習得できてしまうなんて。

 

 …………これは、中級霊術……中級精霊術も簡単に行使できちまえるようになるかもな……

 ――いや、あるは上級も?




 術書を片手に反復練習している時だった。

 オレは部分強化と全身強化を繰り返して、術の感覚を精神と肉体に馴染ませていた。


 強く馴染ませれば、事だて術を行使しようとしなくても常時強化がかかるようになるハズだ。

 それが通常状態までになれば、さらに術行使で跳ね上がる。で通常状態にって繰り返すんだ。

 神族や軍人系天界人の必須術だ。彼らはこれで年々強くなる。



「……ライブラ様? 起きてらしゃってたのですか?」


「ん? ああ、リーア、起しちゃったか……ごめん」


「いえ……なにをなさって?」


「術の練習をね…………


  ……リーア…………あのな…………」



 なんとなく。そう、なんとなくだった。賢者タイムだったからかもしれん。


 生前、愛する女なんていなかったからだろうか、

 それとも自分の……身勝手なことでリーアをモノにした釈明だったのか、


 しゃべりだしの始まりのときは、ホントに気まぐれだったと思う。



 段々と生前のこと、死後のこと、今のこと、リーアにすべて知ってもらいたい気持ちになった。


 ≪ポケット≫からワインとグラスを取り出して、コピーする気になれずオリジナルをそのままで――












 ………そういうわけでさ、力の回復にリーアが必要なんて、実は嘘っぱちなんだ。

 単にリーアを独り占めしたがっただけ……ロリだよな、間違いなくオレ。こんちくしょー。

 村のことだって、生前の3000年くらい前のレベルだ。のちの技術なりオレの術なりで

 すぐさまみんなの生活レベルを上げようと思えばいくらでもできるんだ。

 ご飯だって、全く心配する必要もなくしようと思えばどうにでもなるし。

 貴人だろうと、他のヤトの一族だろうと今のオレならなんとでもなりそうな気がする。

 単に天界からくるかもしれない警吏がこわいからちょっとしかできないだけさ。


 村長になろうとしたのだって、ゲーム感覚で村のレベルをあげよう、みたいな気持だったし。

 ……リーアの巫女うんぬんだって利用したって気がしないでもない。

 人をまとめてえらそうにしたかっただけかもな。

 賢者なんて、オレと似た境遇ならだれでもできそうな話だし、かっこつけたいだけさ。


 …………すまんな。リーア。これが今のオレの本当の気持ちさ。


 ―――軽蔑した……かい?」


 

 ソファに二人すわり、グラスに注いだ赤ワインを飲みながら、すべて――独白する。

 ふと、途中多分、リーアにはわからない単語があったかもしれん……と、思った。

 ああ……なんか酔ってるかもなぁ。



 リーアはじっとオレを見つめて――



「………軽蔑なんてしません。するわけありません……でもなんで、突然、わたしに明かそうと?」


「……さあ……な。妻にさせてしまったからかも……な。隠し事したくなかったからかもしれん」


「? 妻というのは?」


「あ……そうか、ここにはそんなのなかったんだっけ……

 生前の世界での……いや多分、貴人たちもそうだろう、夫婦って考え方さ。


 オレは君の夫。君はオレの妻。

 ――死が二人を分かつまでってな。すでに死んでるオレの場合、どうなるか知らんけど。

 隠し事なし。財産共有。運命共同体みたいな? 共にあり、子を成し。共に育て、共に老いる。

 愛し合うのもお互いだけって…… まあ一夫多妻とかもあるが……それは蛇足か」



「…………まぁ。そのような……すばらしいです。

 わたし、ずっと、ライブラ様の妻でいます。隠し事しません。ずっとライブラ様だけ愛しますっ!」



「……そうか。うれしいが……さっき言ったが、結構、自分勝手だぞ? オレ? それでもか?」



「ハイ。……ライブラ様の仰ってたこと、ホントは半分も理解できなかったですが……


 でも、森でお会いしたとき、賊どもにリムとも殺されるところでした。

 わたしたちの命もそれで終わりですが、そうなったら村も当然、廃村になっていたでしょう。


 ライブラ様は自分勝手だっておっしゃいますが、すでに村を救っていただいているのです。

 その恩もそうですが、ライブラ様がお優しい方だっていうのもわかります。


 もちろん、恩だけじゃなくって、わたし自身がライブラ様をお慕いしています。

 そして、わたしのこと好きでいてくださること、村を良くしようって思ってることはわかります。

 だからっ、わたしをライブラ様の妻でいさせてくださいっ!」



「……ありがとう。

 ……そうだな。そういえばこういう場合、"誓子"があったな――――」


 リーアの純粋な気持ちと真摯な視線を受け酔いは一気にさめた。


 ――けど……別の気持ちに酔いはじめたかも……



 ≪ポケット≫から書籍【宗教と儀式】を取ってキリスト教の婚姻の部分をすぐ暗記。

 こちらの言葉に変換。すぐしまった。



「うん。天界では邪教扱いのキリスト教のだが……リーア。

 オレの後に"妻"って言葉を…"夫"って言葉に直して続けてくれるかい?」


「え。あ、ハイ」







「わたくし■■■は、この女、リーアを妻とし」


「え? それは……」


「ああ、オレの本名だ。ライブラってのは天界人に見つからないための偽名。

 リーアにだけは伝えておくよ。だれにも教えないでね。誓約のつもりで教えとく」


「はい。絶対に誰にも言いません」


「んじゃ、仕切り直し――

 わたくし■■■は、この女、リーアを妻とし」


「わたくしリーアは、この男、■■■を夫とし」


「良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も」

「良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も」


「病める時も健やかなる時も、共に歩み」

「病める時も健やかなる時も、共に歩み」


「他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い」

「他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い」


「妻を想い、妻のみに添うことを」

「夫を想い、夫のみに添うことを」


「神聖なる婚姻の契約のもとに誓います」

「神聖なる婚姻の契約のもとに誓います」




 ――最後にキス。











 残ってたワインを二人で開けた。


「ふふふ。えへへっ……ライブラ様……ずーーと、愛します~」



「ありがとう。リーア。…………あ、そうだ。その"ライブラ様"ってのやめないか?

 オレら二人のあいだでは、どっちがエライとかはなしだ。

 夫婦ってそういうもんだ。様付けとか敬語とかはダメ」



「はあ……。わかりま……、…………わかったわ。

 それじゃ……えーーと、賢者さ……これもだめね……

 ライブラ! ……ちょっと他の人には聞かせれないわね。うーーーん」


「オレは別にそれでも構わんぞ?」


「ダメよ。ライブラ様が夫婦ってそういっても、呼び捨てなんてしたら周りから問題になるわ。

 おなじよーに、皆の前では、敬語じゃないとダメね。

 だから、うーーん。だめ。思いつかない。どうやっても皆のまえではちゃんとけじめをつけないと」



「ふむ。まあ、それはあるか。……じゃあライブラってのを無しでお願い。

 本名は無理だけど、偽名だって教えたんだ。どうせならリーアには偽名で呼ばれたくない」


 頭を絞ってるリーア。


「……うーーん。うーーん。

 ……じゃあ皆の前では、"主様"(あるじさま)ってのはどう? 二人の時は変えて」


「おっ。なかなかソソラレル呼ばれ方だね。いい感じじゃない。で二人の時は?」


「……貴方(あなた)


 赤くなって、リーアは愛しそうに呟いた。


「…………ちょいハズいけど。いいね……」







 今から始まりだ。


 生前、死後通して、オレ一人で歩いた道を。

 100年たって、ようやく二人で。

 もしかしたらすぐ子供でき3人で、あるいはもっとたくさんで。


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