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異界での新たな人生?!  作者: WESZ
第一章 下界降り
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第8話 お家を建てよう(仮宿編)


 よし。まず掴みはオッケーだな。


 日が傾き始めて、皆は各々の家に戻った。

 作ってまだ渡してないモンは、タスケたちに婆さんの家の前に運んでもらう。

 これに関していろいろ聞きたそうだったが、コレは褒美の一部だと答えておいた。

 皆、これらがとても気になっていたようだ。


 明日から集まるモンは期待できそうだな……

 これでとりあえずは、土壌開発と砂鉄集めはよし。


 農地はオレが、剣振り回して――農地拡大とかするか。

 

 さーて、次すべきことは……







  

 婆さんの家の前で、オレとリーア、リムちゃん、婆さんがいる。

 辺りはもうじき、日が暮れはじめ、徐々に夕闇が迫ってきていた。


 

「あのライブラ様? 家に入らないんですか?」 リーアが聞いてくる。


「……ああ。オレの家を建てたいんだが――――」


「え? ここが村長の家ですよ?」


「………いや。そこはお婆さん……とリムちゃんが住んでくれ。オレとリーアは別の家に住む。

 まぁ。とりあえずは仮の家だ。これから仮の家を建てる」



「これから……ですか? もう夜ですよ?」

「………りむも~、りむもいっしょ~、ねぇ~え~、らいぶらさまぁ~~」



 ――――リムちゃん。オレのズボンを掴んで揺する。

 いや、さすがにリムちゃんの前でリーアとえろえろなことできんから、それは……

 つーか、この村のヒトたちみたいにガキの前でもオープンエロはちょっと……


 ――いや、ここでも、ある程度は子供の前でしようとはしないだろうとは思うが……



「ゴメンね。リムちゃん。

 ちゃんとした家を建てたら、リムちゃんもいっしょに暮らせるようにするから。今は我慢してね」



「………えーーー。やぁ~だぁ~。りむもぉ~りむもぉ~、ね~りむもぉ~」

「リムっ。ライブラ様の言うことを聞きなさいっ! 我がまま言ってはだめよ」


「うーー。おねえちゃんズルイ……ずーるーい~。

 ねーーらいぶらさま。りむもぉ~~、りむもぉ~ツマになるぅ~ねぇ~~」


「あーリムちゃん。ごめんねー。おおきくなったらね~。

 だから、ちゃんとした家つくるまではいっしょに住めないんだよー」



「うーーー。おねえちゃん、ズルイ。ずるいよぉお…ぉ………ぐずっ、うぇええええん!!」


 あーあ。泣き出しちまった。



「もう。リムは……。申し訳ありませんライブラ様……」

「……あ、あーーー。わかった、わかった……リムちゃん。

 寝るときが婆さんの家に戻るんなら、普段はオレの家にいてもいいから…………」


「……うっぐ……ホント?」「ライブラ様? ……よろしいのですか?」


「はぁ………… ちゃんと寝る時は婆さんのとこいくんだぞ?」


「うんっ!」 ……やれやれ。もう笑顔だよ…… 泣いてる子供にはかなわん。







「さて……と。もう暗くなっちまったな……早くするか……お婆さんちょっとまだ家に戻らないでね」


 オレは≪ポケット≫から魔導具≪テント≫を取り出した。いわゆるロッジ型のテントだ。

 FFとかの三角テントじゃなくって災害地で使う様な壁と屋根がくっきり違うタイプ。

 長方形。長期滞在も可能なタイプで、網付き窓も両サイドについてる。

 この≪テント≫は込める霊力によって大きさが変わる優れものだ。

 現在は手乗りサイズ。


 司書長代理になる前に使ってた≪テント≫だ。

 図書館の中で、遅くまでいた場合に中庭で夜を明かしたときによく使ってた。



「ライブラ様……それは?」 「??」  リーア、リムちゃん、婆さんは不思議顔。


「オレの家」


「??」 ま、解からんわな……。



「とりあえず、利用者登録しにゃいかんから……受肉したしオレも一応し直しておくか……

 コレ……この針を指にちょいさして……血を一滴落としてくれ。


 …………こんな感じ。」



 テントについてる針……支柱を引っこ抜いて(これ先が尖ってるんだ)

 自分の親指を針で軽く刺す。で、ひっくり返した≪テント≫の裏面に血を落とす。

 血をおとした箇所が青く薄く光る。 マスター登録できた。指は『錬成』術で治癒した。


 本来は裏面に霊気を込める登録方法だが、リーア達にはできんからな……


 リムちゃんがすぐ針をとって……て――深く刺しすぎ……うわっ、血がたくさん。

 ≪テント≫は赤く光った。住民登録はできたが……

 慌ててすぐ治癒した。リムちゃんいたそー。涙を浮かべてる。


 おそるおそるリーアと婆さんも登録した。こっちも治癒済み。



「ん。おっけー。これでこの4人しかオレの家に入ることはできないようになる。

 お婆さん、申し訳ないけど、オレが中にいるとき、村人の取次お願いね。

 家の中に大事なもんいっぱい置いとくから。防犯ね」



「は、はぁ……わかりましたの、じゃ? ですが賢者様のご宅は?」


「うん。これから――――これで良し。あ、ちょっと離れてて…………うん。そこでいいよ」



 ≪テント≫を婆さんの家の横――7,8メートルほど離れた場所に置く。

 離れて……リーアの横から≪テント≫に向かって霊気を遠隔放出。……やっぱ、しにくい。



「!!! な!!」 「わぁーー、すごいすごい」 リムちゃん単純に喜んでる。大物。



 一気に大きくなる≪テント≫。婆さんの家のすぐ近くまで近づいた。

 すぐさま霊気を止める。……おかしいな? 放出量の調整がうまくいかない……

 ……ちょっち大きくなりすぎ? 横幅15メートル、奥行10メートル、高さ7メートルくらいになった。

 うむ。間違いなく村で一番でかい建物になった。あ、物見台よりは高さはちょっち低いが。



「……ちょっと大きすぎたか……まぁいいや。

 さて、これがオレとリーアの家だ。 ようこそ、リムちゃん、お婆さん」



 ≪テント≫の中に入ってすぐ、靴を脱ぐ。中にちょっとした玄関みたいに入口に凹みがある。

 その凹み以外は、深い緑色の絨毯。その下にはゴムマットがひいてある。

 特に中にそれ以外のものがあるわけではないが、

 ≪テント≫天井が光ってるため普通に本が読めるくらい明るい。

 ついでに内部は定温定湿。外が寒かろうが暑かろうがまったく影響なし。シャツ一枚で寝れる。

 


「! な、なんて……すごい。こんなの……、わたし、ライブラ様とわたしのいえ?

 ……え、えと……ライブラさま……こんなキレイなお家に入ってもいいんですか?」



 リーアとお婆さんはなんだか気後れしてしまっている

 ――が、リムちゃんはまったく臆さず普通に入口をくぐった。

 で、オレのやり方を見て靴……草と木皮? の靴を脱いでいる。


「リーア? いや普通にそのま……あ、ちょっとリムちゃんも待って。―― 『浄火』!!」


 とりあえず3人とも服が土だらけだったからキレイにした。



「ん。いいよ……リムちゃん。

 リーアも、ほら。君の家でもあるんだ。気にせず入ってきなよ。そこで靴を脱いでね……」



 リムちゃんはすぐ中に入った。

 で、マットの感触に驚いて、あっちこっちさわったり絨毯を叩いたり、寝ころんでゴロゴロしてる。

 …………大物だなぁ。全然、躊躇や臆していない。


 リーアは、恐る恐る絨毯の上にあがる。


「あ、ハイ……ふわ。やわらかい……なんの獣の毛皮かしら……コレ……すごい……」



「? お婆さん? どうぞ?」 婆さんは入口……靴置き場で固まっている。


「………いえ。わしは……ここで失礼するですじゃ。

 賢者様のおうちには……ここまで入るだけにさせていただきます……じゃ……」


「? そう? まあ……別に気にしなくてもいいのに……

 まあ無理にとはいいか……んじゃまあ、だれか村人来たらお婆さん普通に入っていいよ?」


「はい。それでは今日はこれで失礼しますじゃ……」



 そういって婆さんは出て行った。……怖がらせたかな? うーむ。

 お年寄りだからな、頭が固いのかもしれん。リムちゃんの真逆で。


 あ。外に今日作ったモン、おきっぱぁだ。


「リーア。ちょい手伝って…………





 


 昼間作ったモノを≪テント≫のなかに入れた。奥の方にまとめておく。



 ≪ポケット≫からさらに物を引き出す。


 魔導具≪テーブル≫……手乗りサイズ。霊力を込めると望む形・大きさに変化する。

 魔導具≪座イス≫……手乗りサイズ。これも、霊力を込めると望む形・大きさに変化する。

 魔導具≪ヤカン≫……霊力を込めるとお湯(純水95℃)が2リットル生成。温度維持。



 あとは普通の「道具」から取り出して、道具箱からも出して……

 それぞれ適当にいくつかコピーし、オリジナルは戻す。


 ハンドタオル5枚、綿毛布3枚、ビニールバケツ3つ、カレー皿4枚、銀スプーン4本、湯呑4つ、

 急須1個、メモ帳3本、白紙A4ノート5冊、色鉛筆12色一式、鉛筆1ダース、鉛筆削り1個

 ボールペン黒1本、赤1本、消しゴム3個、30cm定規……

 室内ほうき1本、ちりとり1個、大ふとん1枚、枕2つ、敷布団1枚、シーツ1枚、目ざまし時計1個…


 ……ふとんが1枚だけな理由は……いうまでもないわな……


 それから「食材」……ま、霊力回復には役立たんけど……コピーで増やす。

 いや、お茶っぱ3缶……これだけでいいか。





 ……どんどん出てくるものに唖然としてるリーアと、もう驚かないリムちゃん。


 リムちゃんは出てきたものをひとつひとつ手にとって、いろいろ眺めている。

 リーアはそんなリムちゃんを抑えようとしてるみたいだが、リムちゃんは気づいていない。



「ふう。とりあえずこんなもんかな……まずは……」



 ≪テーブル≫を 大きめのこたつ形状に。

 長い方を入口の大きさに合わせて横3メートルくらい。短い方は60センチくらいに変化。

 色はオレの服に合わせて、薄い青に。

 ≪座イス≫は そのこたつの横に合わせてだいたい3、4が普通に座れそうなフロアソファに。

 色はなんとなく白。


 これでOK。入口から見ると玄関すぐ30cmほどにこたつ。正面にオレが座る。

 まあ……執務机かわりだ。 外から、だいたいオレまで2メートルくらいだろう。

 ≪テント≫に入れなくてもこの距離なら会話できる。

 


 テーブルの上、横の方にヤカン、急須、お茶缶、湯呑を置き、

 真中に時計、A4ノート、色鉛筆、ボールペン、メモ帳と鉛筆、消しゴム、鉛筆削り、定規……

 ペン立てが欲しいな…… あとで作るか。今はとりあえずそのまま置いておく。


 昼間造ったもんの近くにバケツを3つならべ、うち1つの中にとりあえず皿とスプーンを入れとく。

 ほうきとちりとり、タオルもそこにおいとく。


 それらを置いた場所と反対側に布団とかをひく。





 …………


 ………………


「うーーし。こんなもんだな。これで落ち着ける。

 あ、リーア――こっちこっち、オレの横。リムちゃんは反対側……」


「…………あ、はぁ……ハイ……」 びっくりおそるおそるって感じで、ソファに腰掛けるリーア。

「わかった」 嬉しそうにオレの横にぽふって座るリムちゃん。



 ふーー。しかしようやく一息いれれるよ。




 …………チートすぎ?


 いやいや、アレ(婆さんの家)は無理。

 あんなのオレには耐えられん。この状態だってテレビねえし、天界ネットがねえんだ。

 ま、≪ポケット≫には≪テレビ≫も≪ノートパソコン≫もあるけど、繋がらねえから意味ない。


 ……逆につながったら、天界人にばれそうで、どちらにせよ使えん。

 同じ理由で≪携帯電話≫も取り出せれない。位置情報しられるわけにはいかんからな。



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