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時界機神 オウカ  作者: 西都 徹也
21/41

第21話 泊まりに来ない?

 俺たちは何も話をせずに戸塚警察署を後にした。

 あの戦闘で赤城白太は救い漏らしてしまった。

 もう彼はどこにもいない。

 この世界を救う話を、入れ替わったパール・レッドソンとやらにしても何にもならないだろう。

「ごめんね。ウチの兄貴が頼りにならなくて」

「いや……」

 百合はパール・レッドソンを本当に自分の兄だと信じ込んでいる。尋ねて行って、何も話さずに帰ったことを兄の性格のせいだと思い込んでいる。

 全くの他人が兄に成り代わったとも知らないで。

「…………あの」

「ん?」

「いや……」

 それを言おうか言うまいか悩み、こういうやり取りを何度も繰り返している。

「何よ。さっきから」

 百合も苦笑する。何が何だかわからないだろう。

 異世界からの侵略なんて、常識的にあり得ない話だ。

「あのさ。藤吠、家出してるんだよね?」

「え、ああうん……」

 唐突にその話を切り出された。

「ちょっと悩んだんだけどさ。ウチに来ない? ローナさんも一緒にさ」

「え?」

「ええぇぇぇぇぇ⁉」

 俺よりもでかいリアクションをしたのはローナだ。

「困ります! ご主人さ、藤吠君は私と一緒に今日を過ごすんです」

「二人っきりで? ラブホでも泊まるの?」

「ラッ⁉」

 ボンッと音がしそうなほどの速さでローナの顔が真っ赤に染まる。

「そ、そんなただれた場所になんかまだ行きません!」

「〝まだ〟……?」

「~~~~~~~~! もう!」

 ローナは唇を尖らせてそっぽを向いてしまう。

 百合はポンと納得したように手を合わせ、

「そっか。ローナさんの家に泊るのか。それが普通だよね。何を渡し早とちりしてるんだか……」

「そ、それは……」

 ローナが口ごもる。

 そう言えば、ローナはこの世界ではどんな身の上になっているのだろうか。

 山中が消えてローナがその居場所に居座ったのだから、山中家の娘という形で認識されているのではなかろうか?

「今のローナの家って山中の家がそうなんじゃないのか? 山中家に泊めてもらうことはできないのか?」

 小声でローナに耳打ちする。

「できません……確かにご主人様の推測は当たっています。ですが……それをしたくはないのです」

「そうなの?」

 そういえば、山中の家に行ったことは今まで一度もない。そういった話の流れにならなかったし、何となくだが、山中が家に人を招くことを避けているような感じだった。

「そうなんだ。で、二人はこれからどうするの?」

「えっと……」

 公園で一泊予定とは、クラスメイトには言いにくい。

「やっぱりさ、うちに来ない?」

 百合は満面の笑みで、そう言った。

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