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大学生日記  作者: 江戸銀(エディ)
退寮後編
40/60

11月24日


 最近読書にハマってる。

 小説じゃなくて実用書とか自己啓発本とか。

 昔は胡散臭いジャンルで読んでる大人のことをバカにするくらい尖っていたが、実際試しに手をとってみれば小説よりも読みやすい。

 小説は俺たちの知らない人物の話だけれど、実用書は常に俺たちの中にある悩みを解決しようとしてくれている。


 見知らぬ登場人物ABCなんて覚える必要はないし、没入感を必要としない。大学の授業を好きなタイミングで受けれるようなものに近い気がする。


 90分の授業を眠らずぶっ通しで聴き続けるのではなく、合間合間に自分で学べるし、好きなタイミングで読み直すことができる。


 つまらない大学の授業なんてやめて、読書会をした方がまだ有意義なのではないかと教育機関を訝しむ。そもそも高校まででいいのを大学を出てるというブランド力でアディショナルポイントを稼いでるだけだ。そして、今は保険だったはずのアディショナルポイントが必要基準になってきている。


 そんな批評は脇に置いといて、最近は「熟睡者」と「運動脳」などを読んでいたおかげで健康に気をつけられるようになった。早寝早起きを心がけなるべく朝早くに太陽を浴びる。朝食は王者のように食べ、昼は王子のように、夜は貧者のようにを徹底すれば体はアリナミンも何も必要としない。


 記憶力も上がるし、気分も晴れ渡る。夜3時まで無駄に起きてるよりよっぽど生産性が上がる。今の若者は夜更かししがちだけど、朝から元気でいられる素晴らしさも知るべきだと思う。


 まぁそこは自由時間と健康の天秤だろう。


 とはいえ朝早くから時間ができても用事がなければ家に引きこもるばかりになってしまう。


 なので休みの日は山手線に乗って代々木駅や恵比寿駅に降り立って服屋本屋を物色してる。俺にもっと欲があればカフェとか入ってケーキを食べたりするのかもしれない。けれど、食は誰かと一緒に雑談して食べなければどんなもの食べたってダメだと思っているから、あまり出先で食べることはない。安心感を求めていつものつけ麺を帰りがけ食べるくらいだろうか。


 いまだに失敗を恐れる心がある。そろそろ恥を捨てられれば、無価値さに対する恐れを捨てられれば、もっと多くのことができるはずなんだ。


 気づけば大学生活も2年の冬に突入しつつある。何かを残さないといけない。いずれ振り返るときにたくさんの思い出を残さないといけない。


 故郷とは思い返して懐かしむもの。

 故郷なきものは錦を飾ろうともしない、それでは上京者に負けてしまう。志のあるものに負けてしまう。


 そんなの不公平ではあるまいか、人生充実してる奴の方が人生成功してしまうなんて、そんなハリウッド映画みたいなのがこんな極東でも許されるはずないだろう。


 妬み嫉み、その上で勝ち上がる。

 そのぐらい汚く強く生きたい。


 けれど、思い出になりそうなことってなんだ?

 楽しかったと本気で思えることはなんだ?

 達成感とは何から生まれるのか、まだ分からない。


 何かを成したいけれど、何を成せばいいのかわからない。

 その点でもお上りさんより負けてる。

 都会の中心でぬくぬく育った温室蚕は何をして生きるべきなのか。


 したいことを見つけるとはまた原点回帰な。

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