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大学生日記  作者: 江戸銀(エディ)
退寮後編
39/60

11月13日 


 文化祭も終わり、バイトもやめる日が近づいてくる。

 と同時に恐ろしいテストたちの軍靴の行進も聞こえてくる。

 真冬とはそら恐ろしい季節に肌で感じる。まだ秋ではあるけれど、この寒さは真冬ぶりだ。

 でもいずれもっと寒くなるだろう。東京にも雪が降るようになってきた昨今である。


 池袋に行ってきた。

 もはや「こんばんは」が似合いそうな暗さを醸し出しながら、来島素に向けたイルミネーションとドンキやら青木やらの店店が放つ電工で彩られた都会は闇を知らない。人を励ます電飾が上辺だけであることを教えるような寒さで満たされているだけで、暗さはない。


 東京・池袋には様々な観光スポットがある。

 池袋駅自体に百貨店が付いているし、その中の本屋も巨大だ。今の時期は大森さんという彫刻家の展覧会がやっているらしかった。学生は六百円で入ることが出来るので、入りやすさで言えば新国立西洋美術館よりもよさそうだ。今度、入ってみようかな。


 美術館と言えば、損保美術館で今は私の好きなゴッホの作品が展示されているらしい。上野美術館にはゴッホの作品は薔薇しかなかったから、向日葵が見れるのは珍しい機会だ。絶対に行きたいので、忘れないようにしなくては。

 

 欲と歩数が人に生きがいを見出させるから、なんでもやりたいことがある方がいい。


 その日は特にやりたいことがなかったわけだけれど、でも散歩したい気分だった。池袋という巨大で混沌とした街を、自分をメス代わりにして杉田玄白か伊能忠敬のように解剖・解析をしたかったから。あとは気分転換にもなるかなと思って。さらに付け加えるならば、人間はウォーキングを三十分するのを習慣づけることで海馬や脳の一部を肥大化させることが出来るらしい。二十五歳を超えると0.5%ずつ脳はちぢんでいってしまうらしい。今年で二十を迎えるのだ。ここからが私の脳の峠を迎える時期に差し掛かる。ただでさえネガティブなんだから、これ以上縮小してもっと良くないことばかり考えてしまっては大変だ。


 そんな脅迫感もあっての池袋探訪だった。まぁべつに義務感はなかったけれど。


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