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大学生日記  作者: 江戸銀(エディ)
退寮後編
31/60

六月二十二日


 何事も辛いものです。

 久々にぶり返すことは辛い。

 こうして文字を綴り始めるのにどれほどの勇気がいるでしょうか。

 それは指先にほんの少し針を当て血を流すようなもの。

 決して死ぬほどの痛みではないのにどうしても自ら進むのには勇気が必要なこと。

 けれども、これは必要なプロセスです。

 私という構造体をより深く知り、解剖するためにこの『日記』という出力は必要だと考えました。


 今までは頭の中での考えを頭の中だけに保存することが多かったですが、こうして日記は文字に書き起こすことで網羅的な思考ではなく直列した理論や論法として記録されていく。つまりその過程で私の中の混雑した思考を一本化できるというメリットがあります。さらに付け加えるならばこれは訓練でもあるのです。この理路整然と思考をはたらかし、出力することは多くのディスカッションでも役に立つでしょうし、私自身の創作活動にも有用だと推測できます。


 これから私が行う記録は三つです。

 まず一つがこの日記による思考の出力、まんまに言うならば『出力記録』

 そして次が本や他のメディアから自分が興味を惹かれたものを記録する『情報記録』

 最後に小説などの小さな一つ一つのアイデアの思い付き『想像記録』


 『出力記録』、出力、アウトプット、エクスポート。色々カッコいい名称がつけられそうです。

 少なくとも出力記録はこうして次から次に文字を書き起こすことが目的なのでパソコン内での管理で良いと思います。ノートに手書きですると腱鞘炎を起こす可能性と他の記録と比べて読み返すことが少ないために相対的に紙の無駄遣いだと自分が認定しているからです。


 『情報記録』は確実に紙で行いたいでしょう。これには見返す頻度が高いということと、達成感が高いという二種の理由があります。多くの知識を得ることでより深い教養へと繋がれるのは知識欲、探求欲を満たすことが出来ます。さらにその知識の多さは自信へのつながりになります。


 『想像記録』は突発的な思い付きを描くため、スマホのメモ機能を活用するべきだと提言します。もしくは常日頃からメモを携帯する必要がありますが、最も身近なデバイスはやはりスマホでしょう。スマホが使用できない場面での特別良好なアイデアの想像が行われた場合の処理は別途対処を考えるとともに、状況に合わせた対応をすることとします。


 こうして思考を蜘蛛の巣のようにただネット上に広がらせ、薄くしていくのではなく記録としてどこかにとどめておくことでより深い思考を齎すことが出来ると私は考えています。思考の整理能力によって頭の重さの解消や記憶力の向上を狙っています。


 今日のところはこのアイデア自体を記録したかったため、出力領域に先ほど当てはめた日記内で披露しました。インプットした記憶は出力することで強化されるというのをどこかで見分していたので、これによって記憶の強化と記録による強制的な忘却耐性を獲得したものと定義付けます。


 本日はこれで終わりです。

 思考の整理お疲れさまでした。



 

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