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33話 不法侵入調査開始!

 翌日、クラリッサとデレクはアビーとジーンを連れて警察署に行った。これで牧師さんが無事出られるかどうかはわからない。なんせアラン保安官はものすごい無能である。しかし、毒きのこを入れたのが牧師さんじゃないとわかれば、少しはあの保安官も調査をするかも知れない。


 一方、私とプラムはマークの家に向かって歩いていた。

 湖の近くの一軒家がマークの家だった。確かのケイトと別居している様ではあった。


「プラムがやっぱりケイトが犯人だと思う?」

「そうねぇ…」


 マークの家の鍵はかかっていたが、プラムはいくつか専用の器具を使って開けてしまった。さすが元スパイに有能なメイドである。鍵も難なく開けてしまった。


「おじゃまします」


 日本語で言っても仕方がないが、そう言ってマークの家に入る。ちなみに英語で場合は「I am sorry to disturb you」と言っておけばいいだろう。まあ、いずれにしてもマークは死んでしまっているので、自分に気がすむ為に言っているだけなのだが。


 マークの家は一軒家と言ってもそこそき広かった。リビングには、特に様子が変わったところはない。自炊している様子はなく、家具も最低限でホテルの部屋みたいだった。

 プラムは鋭い視線であちこち見ていたが、彼女の目からも収穫はない様だった。


「ベッドルームに行きましょうか、マスミ」

「ええ」


 マークのベッドルームはそれこそ本当にホテルのようで、チリ一つないぐらい綺麗に片付いていた。


「事件後に誰か入ったのかしら。綺麗なもんだわ」

「そうね、逆に私は違和感がある」


 私はこの綺麗さはおかしい気がしてしまう。


 ・マークの家はとても綺麗

 ・犯人が証拠隠滅でもした?


 男性の一人暮らしのベッドルームとは思えないぐらいだ。脱ぎ捨てら洋服や靴下もなく、床も掃除されている。違和感しか無い。


 プラムは、ベッドサイドにある小さなキャストを何の躊躇いもなく漁っていた。


「鍵がかかってるわね」

「本当?」


 プラムは舌打ちして、鍵のかかっている引き出しをまた器具を使って開けはじめた。


「何これ、手帳が出てきたわよ」


 空いた引き出しからプラムは手帳を取り出す。黒い表紙の分厚い手帳だった。


「何て書いてあるの?プラム」

「見ない方がいいわ。めちゃくちゃ趣味が悪い」


 プラムは、手帳をめくりながら渋い顔を見せていた。詳しくは教えてくれなかったが、今までの不倫相手の顔やベッドでの様子が記録されているらしい。しかもランク付けで、世にいる女性のほとんどは不快感を示すだろうと言う。それは私も見たくないので、プラムからやんわりと聞く事にした。


「何か事件に関係ありそうなことは書いてる?村の女の人とか」

「そうね…。とりあえずこの村ではソニアとしか不倫していなかったみたいだけど、身体の相性は良かったみたいね。マークはソニアをかなり評価しているみたい。すごい気持ち悪い」


 プラムはゴミでも見るかのような視線で手帳を捲る。


「じゃあ、ソニアとは別に不仲ではなかった見たい?」

「そうね。アナも狙ってみたいだけど、今のところは深い関係になってないよう。アナは命拾いしたみたい」


 その点については良かったと思う。こんな最低な男とアナ付き合う姿は見たくない。いつも間にか私はアナを友達の様に思っていた様である。


「マークと不倫した女達で、彼を恨んでいそうな人はいる?」

「まあ、もう何年も昔の女も多い、そこまでトラブルになっていそうな女はいない様ね。悪霊がついていると脅してちょっと洗脳して不倫関係に持ち込んでるのが常套手段ね。気持ち悪いわ」

「あのソニアも騙されたの?」


 とてもそんな風には思えなかった。ソニアはぶりっ子風の変な女ではあるが、神経は太そうだし脅されるタイプに見えない。


「いえ、ソニアは自分からマークにちょっかいをかけてる。飛んだ淫乱だわ、あの人」


 その姿がありありと想像できる。これだけ軽い女が不倫相手を殺すのは違和感がある。モテそうだし、マークだけに執着して殺す様な事はあり得そうに無いと感じる。


 ・ソニアにマークを殺す動機は無し


 私がソニアを容疑者から外す事にした。ソニアに良い印象は全く無いが、マークを殺す様には思えなかった。単なる尻軽女だろう。それに人を殺すほど知性もあるかどうか。ソニアの描いた絵を見ると、少し馬鹿そうな印象も受ける。よく言えば右脳的な芸術肌だとは思うが。


「ケイトの事は何か書いてる?」

「いえ、何も書いてないっていうか、破られた後が」

「本当?」


 手帳を見せてもらうと確かに不自然に手帳のページが破られた後がある。


 ここにケイトの事が書いてあったのだろうか?


「他に何か書いてある?」

「そうねぇ、村人やケイトの事は書いてないわね。これ以上収穫は無さそうよ」

「そっか」


 私達はベッドルームを出て、今度はまだ見ていないキッチンに向かった。


 自炊している様子のない綺麗なキッチンである。スパイスや調味料の類もほとんど無い。まあ、この土地の人達は全体的にあまり料理はしないし、パンと肉、野菜さえ有れば立派な料理ができてしまう。不自然ではない。


 ただ冷蔵庫の中に卵とミルク、砂糖、それに使いかけの小麦粉があった。これだけ有ればパンケーキは出来る。


「あら、この小麦粉。だいぶ前に賞味期限切れてるじゃない!」


 私は小麦粉を見て、ちょっと大きな声を上げる。


「本当?」


 プラムも小麦粉の袋をよく見て確認する。


「うわ、賞味期限が一年も過ぎてるわよ。こんなの食べたら…」

「ちょっと待って…」


 という事は、この小麦粉は毒になり得ないだろうか。そういえばデレクはパンケーキのダニのせいで人が死ぬ可能性を言っていた。賞味期限が切れた小麦粉で何か食べたら、死ぬ可能性はゼロではない。


「マークはうっかりこの小麦粉で何か作って食べたのかしら?だったら事故になるけど…」


 私は希望的観測を言うが、プラムにはばっさり否定された。


「そんなわけないじゃない。手帳も不自然に破られてるし。わざと賞味期限切れの小麦粉を冷蔵庫に残して事故に見せかけているとしか思えないんだけど」

「まさか…。誰かがここに来てあの小麦粉で料理を作ってマークに食べさせたら、殺人は可能という事?」

「そうよ。出来ない話じゃない。こんな綺麗な自炊しそうに無いキッチンに小麦粉があるのは不自然だし、何か犯人が隠蔽していそうね」


 プラムはさらにキッチンを漁る。でもそれ以外にめぼしいものは出てこなかった。


「やっぱりケイトがやったのかしらね?」


 この状況であの小麦粉料理、おそらくパンケーキを食べさせて不自然ではないのは、ケイト以外あり得なかった。


「そうね。ソニアはパンケーキのレシピは知らないでしょう。マークは転移者だから、パンケーキも知ってるでしょうね」

「ネルも母親が転移者よ…」

「ネルに何の動機があるのよ。それにマークに小麦粉料理を自然に食べさせるのは無理でしょ」


 プラムの指摘はもっともである。やっぱり犯人はケイト以外あり得ない。


 ・犯人はケイト(確定)

 ・死因はおそらくダニ入りの小麦粉料理(パンケーキの可能性が高い)


「でもこれは状況証拠じゃない? うっかり賞味期限切れの小麦粉を使ったっていくらでも言い逃れ出来るはず」

「そうなのよね、何か殺意を証明するものが無いとケイトが犯人とは断言出来ない」


 珍しく有能なプラムも頭を抱えていた。


「とりあえず、何かこの家にあるかもしれない。探してみましょう」

「わかったわ、プラム」


 しかし、物置、洗面所、トイレ、リビング、再びベッドルームとくまなく探してみたがケイトの殺意を立証するようなものは何も出てこない。


 ケイトが処分したかは定かでは無いが、日本でいうミニマリストの家の様で何も出てこない。


 むしろ冷蔵庫に残っていた卵、牛乳、砂糖、小麦粉がこれ見よがしに置いているように見えてしまう。やはり、プラムが言うようマーク自身がうっかり古い小麦粉を使った料理を食べたように見せている。事故に見せるような演出にしか見えなくなってきた。


 しかし証拠は無い。ケイトに自白させりるのが一番ではあるが、素直に吐くとは思えなかった。


「どうしよう、プラム。完全に手詰まり」


 昨日は、フルーツサンドを食べて元気が出てきたがこんな難しい状況に出くわすと心が折れそうである。


「そうね…。とりあえず、マスミ、事件の記録をつけたノートを見せてくれない?」

「ええ」


 ノートをプラムに渡す。プラムはノートを読んだ後、顎に手を当ててしばらく考えていた。


「マークは変な儀式していた魔術師だったんでしょ?」


 私は頷く。実際アナはそう証言していて、変な儀式をしようとしていた事も私に告白していた。


「もしかしたら、チェリーの家に行ったら何かわかるんじゃない?」


 チェリーは占い師で、似たような変な儀式をやっていた。おかげで私や杏奈先生がこに世界に来てしまったわけだが。


「それにケイトもチェリーの家の近くの湖で目撃されているわね。何かわかるんじゃない?」

「そうね、プラム。行ってみましょう」


 こうして私とプラムは、マークの家を後にしチェリーの家に行く事になった。

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