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27話 アナの秘密

 その後私はクラリッサの家にアビーとジーンを送り届け昼ごはんを食べた後、アナのジュース屋に直行した。もともと会う約束をしていたし、事件についても聞き出さなければ。

 

 アナはジュース屋の屋台の前に腰掛け、ぼんやりとしていた。カーラの事件の時よりは客は増えている様だったが、昼過ぎの中途半端な時間帯は客足も途絶えている様だ。それに少しずつ寒くなって来たので冷たいジュースも売り上げが落ちてくる頃かもしれない。


「アナ、元気?」

「ああ、マスミね。元気よ」


 そうは言っても、表情は暗く落ち込んでいる様だった。


「まあ、座ってよ」

「そうね」


 私はアナの隣に腰掛ける。いつもにような村娘らしい元気さはどきかへ消え、アナは深いため息を吐く。


「ちょっとアナ、どうしたのよ?」

「まさかマークが死んじゃうなんて」


 アナは、涙目だった。ケイトとはまた違った心に痛みを抱えているようだ。とりあえず、アナの背をさすり泣き止むのを待つ。


「落ち着いた?」

「まあ、少しは…」

「どうしたの? 何があったのよ?」

「誰にも言わないでくれる?」


 アナみ秘密を抱えていたらしい。ジャスミンたリリーの件でもう驚かない。呑気そうな村人もそれぞれ悩みがあり、秘密を抱えている事はもう驚かない。私だってこの先のことを考えると不安であるし、捜査の一貫とはいえ村の人を疑いまくっている現状は、品行方正とはとても言えない。


「私はずっとジェイクが好きだったのよ」


 その事は知っている。


「猫の手」の仕事としても何度か相談を受けた。話を聞くだけでかなり元気になっていたが、やっぱり思い詰めていた様だ。上手くアナを元気づけられなかった事が悔しい。やっぱり自分はノースキルだと思い知らされる。


「それで、何かあった?」


 私は優しい表情で聞く。


「うん、私どうしてもジェイクに振り向いてほしくて、おまじないに手を出しの…」


 リリーの霊媒と同じく、おまじないはクリスチャンは禁止された行為である。アナも教会に通うクリスチャンなので、思い詰めているのだろうが、無宗教の日本人である私はやっぱりピンとこない。だからこそ、フラットな気持ちでアナの話を聞けるわけだが。アナもそんな私には意外と話そやすそうではある。


「おまじないってどんなの?」


 小学生でもする消しゴムに好きな人の名前を書くぐらいなら、他愛ないとも思うが。


「あの占い師のチェリーの空き家に行って、おまじないの本見ながらやってたの。マリエをかたどった紙の人形を燃やしたり、呪文を唱えたりしてたの」


 意外と本格的なおまじないだ。チェリーは、杏奈先生の事件の時に変な儀式をやっていた。彼女は今は王都にいるが、家はまだそのまま残っている。変なおまじないに本も残っていても不思議はないが。


「何でそんな事したのよ」

「だってソニアが帰って来たんだもの。私は気が気じゃなくて」


 またソニアの名前が出る。ジェイクが好きなリリーやアナにとってはよっぽど驚異的な女の様だ。


「それでマークに脅されたのね?」

「違うわ」

「え!?」


 それは予想外だった。


「マークは転移する前はあちらの世界で魔術をやっていたんですって。だから色々教えて貰い…」

「そうだったの…」


 マークが偽預言者だとばかり思って居たが、魔術師だったがとは。確か日本では存在しないが、まだまだアメリカなどには悪魔崇拝者の組織があると聞いた事があるが。


「それで事件について何か知ってる?」

「たぶんマークは儀式に失敗して悪魔に殺されたんだわ」


 アナの言う事は非現実的である。ただ、それだけ追い詰められているのもわかる。


「しそんな事あるかしらね?」

「あるわよ。あの日、マークは実際儀式をやるつもりだったし。ああ、私のせいよ。儀式して欲しいなんて頼んだから…」


 この事はあのケイトは知っているのだろうか?

 こんなガチの魔術師とふうふだったなんて知らい事があるだろうか。この事は事件と関係あるような気もするが、何か上手くパズルがピースがはまらない様な感覚を覚える。


「あと、私はとても怖い事をマークから聞いたの…」

「願いを叶える為には人間の命を生贄として悪魔に差し出すのが一番なんですって。やっぱりマークが犠牲になったとしか…」


 ここでアナは再び泣き始めた。


 悪魔に殺される?そんな事ってあるのだろうか?こう言った問題は牧師さんが一番解決できるだろうが、今は彼を頼る事も出来ない。


「そんな悪魔なんていないわよ…」


 そうは言ってもアナはすっかり怯えきっていた。


「他に心当たりはない?」

「うぅ、そうね…。ソニアとマークが一緒にいたのを見た事はあるけど」


 またソニアの名前だった。やっぱりこの事件には彼女が関わっているようである。


「どんな感じだった?」

「さあ。まあ、ソニアは男好きだからね…」


 そしてアナは長々とソニアの悪口を言っていた。悪口はどうかとも思うが、言っている間は少しは気が紛れたようでアナの涙は止まっていた。


 ソニアは相当村の女達に嫌われているようだ。カーラの比ではない。とりあえずソニアについてジェイクから何か聞き出してもいいだろう。


 ・ソニアは何者?


 まだ彼女については全くわからなかった。

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