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24話 ジャスミンの秘密

 リリーの家を出ると、今度は図書館に直行した。

 毒きのこについてもう少し情報を得たかった。


 確か図書館には毒きのこの情報に特化した本があったはずである。前に図書館に行った時は借りなかったが、今は必要だった。やっぱり毒きのこについてもう少し調べたい。本当にこれが死因なのか気になる。


 日本にいた頃は、ネットで調べればすぐわかる情報だろう。こうして図書館に通って調べるのは骨が折れるが、やっぱり苦労して得た情報は記憶に残りやすい。私も英語を習い始めた時は図書館に行ったり、英語の先生にしつこく質問攻めをし、洋書をノートに書き写していた。便利な翻訳機頼りで洋書を読んでいたら、ここまで英語が身につけいたかはわからない。


 図書館は、私以外の利用者はいないようだ。植物図鑑の本棚に直行し、毒きのこの本を引き抜く。本の裏についている貸し出しカードを確認すると、一年ぐらい前にネル、それからクラリッサ、プラムも借りていた。ネルは、夫が死んだ直後に借りているようだったので、自分なりに調べていたのかもしれない。クラリッサは小説の取材、プラムはおそらく怪しいスプレーの研究にでも借りたんだろう。カーラの事件の時も変なスプレーを自作し、デレクに噴射して撃退していた事を思い出す。


 貸し出しカードには、ソニアの名前もあった。3週間ぐらい前に借りている。ますます怪しい。


 ・ソニアが毒きのこの本を借りてる。何の為に?


 メモに書くが、借りた本が村人につつぬけになるシステムはいかがなものだろう。プライバシーなどは完全にない。昔の日本でも学校図書館でこう言ったシステムを採用していたようだが、色々と怖い。私はロマンス小説ばかり読んでいたし、自分の本の趣味が他人に筒抜けというのは何だか怖い。


 村の中達も図書館のこのシステムを知らないわけは無いだろう。もしソニアが犯人だとしたら、こんな迂闊な行動を取るだろうか。そもそも毒きのこが死因かどうかもわからないが、犯人の行動には見えない。それでもやっぱりソニアは怪しく思うのは、ジェイクの想い人だからだろうか。今は全く興味がない十羽し、一瞬好きだった相手の事は少しは気になったりするのだろうか。


 そんな事を考えながら司書のジャスミンがいるカウンターの行く。ジャスミンは私を見ると、苦い表情を見せる。知的で冷静な彼女の割には、珍しい表情で何かを隠しているような気もする。


「こんにちは、ジャスミン!」


 私はつとめて明るく言ったが、ジャスミンは憂鬱そうだった。


「どうしたの?」

「マスミ…。ちょっとだけ話聞いてくれる?」

「ええ」


 本を借りる手続き済ませると、ジャスミンのいるカウンターの前のイスに座った。


「ジャスミン最近どうしたの?教会にも来ないなんて」


 ジャスミンは敬虔な信者かどうかはわからないが、讃美歌のピアノ演奏もしていた。マークの脅しに屈したのかはわからないが、何か事件と関係あるかもしれない。


 ジャスミンは咳払いをして話し始めた。


「あの、マークに脅されたの」


 予想通りではあるが、ジャスミンまでとは少しショックだった。


「悪霊がついて言って言われてね。ほら、私の旦那は殺人事件起こしたじゃない? だから、脅されると怖くって」

「そっか」


 ぞういう事情なら仕方ない。リリーの気持ちもわかるし、ジャスミンも怖がってしまう気持ちもわかる。私もマークに悪霊の事を言われたが、たまたま悩みが無いときだからだろう。もし追い詰められた時にそんな事を言われて脅されたら、まともな判断ができるかわからない。


「それでマークに罪を取り除く悪霊を払う石鹸を売ってきてね。すごく高かったんだけど、怖くて…」


 本当に買ってしまったようだ。もし夫が殺人事件の犯人だったとすると、私もそんなものを買ってしまうかもしれない。ジャスミンを責める資格は私に無いと感じる。


「でもどんどんマークが売ってくる商品が高くなって…。そんなの買えないって言うと、こんな商品買った事を村のみんなにバラすって脅されてた…」


 マークのしている事は完全に脅しじゃないか。殺されて当然とは思わないが、それなりに種をまいていたのは事実のようである。


「マスミは、私の事否定しないのね…」

「しないわよ。心が弱ってたら、変な事しちゃうわ」


 自分だって同じ立場だったら似たような事をしていたかも知れんない。


「私は一応知的な風に見えるみたいだし、村の人達にマークの脅しに屈していたなんて、バレるのが嫌で…」

「そんな気にしないでよ。みんなジャスミンの事は好きよ」

「マスミは優しいわね。でも私はマークを殺してないよ、本当よ。信じて」


 やっぱりジャスミンも疑われる事を恐れていたようだった。たぶん私が事件調査をしている噂を知り、告白する事になったのだろう。


「信じるよ。ジャスミンが殺しなんてするわけないよ」


 別に大きな根拠があるわけではないが、リリーと同様に村人をう疑うのは心苦しかった。やっぱりいつの間にか村人について愛着を持ち始めているのかもしれない。


 牧師さんの濡れ衣の件もあるが、こんな風に村の人を不安にさせる殺人犯を許す事は出来ない。早く犯人を捕まえたかった。自分はアラン保安官かそれ以下ぐらい無能だが、やっぱり事件を解決したかった。


「ありがとう、マスミ。あなたは素直で本当にいい子ね」

「そんなおだてないでよ。ジャスミンはこの事件について、何か知らない?なんでもいいから」

「そうね…。ソニアとマークが一緒に歩いているのを見たわ」


 またソニアの名前。私はまだソニアに会った事はないが、やっぱり事件と関わっている気がしてしまう。


「どこで見たの?」

「湖の方ね。アナのジュースを二人で飲んでて、けっこう仲良さそうだった」

「二人は付き合っていたのかな?」

「さあ、でもソニアは男好きな奔放な女性だからね…」


 ジャスミンは呆れたように言う。ソニアは村では相当嫌われている事は伝わってくる。


「ソニアってどんな子なの?」

「まあ、変な女性ね。芸術家肌でだいぶ変わってる。男の人と自由に付き合うのも芸に肥やしって言ってた」


 ジャスミンはゾッとするように肩をすくめていた。どちらかと言えば恋愛には保守的な村でソニアのような子は目立つだろう。


 ・ソニアはマークと会っていた

 ・不倫の可能性もある???


「ジェイクはソニアが好きなのかな?」


 昨日に悩んでいる様子を思い出すとやっぱりそうとしか思えない。


「そうなの?嫌ねぇ。ジェイクはイケメンだけど、女の趣味は悪かったのね。つくづく残念な男ね」


 いくらイケメンでも女に趣味が悪いというのは、やっぱり冷める。ジェイクに関しては早めに失恋していて良かったと思う。その上、自分の仕事が失業して良いなどと言う重度の健康ヲタク。ロマンス小説の中にいるようなイケメンはなかなか存在しない様である。


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