21話 イケメン医師の恋煩い
ハードボイルド町の警察署から、コージー村に帰る。
事件については別に大きな手がかりは掴めなかったが、少しだけでも牧師さんを励ます事が出来たようなのは悪くはない。
少し日が陰ってきたが、アナのジュース屋に寄ってみようと思う。アナには「猫の手」の仕事として愚痴を聞く予定もあったのだが、詳しい日時は決めていなかったし、青汁風のジュースでも飲んでストレス対策もして痛かった。事件もこうして操作する事になったし、ストレス対策もしておきたい。杏奈先生やカーラの事件の時には犯人に嫌がらせやセクハラもあったし、今回も有り得そうだ。
教会に続く道にアナのジュース屋が出ていた。他に客がいなかったが、私の顔を見るとアナ明らかに嫌そうな顔を見せた。どちらと言えば嘘がつけず顔に出やすいアナらしいが、何か事件について知っていそうではある。アナはマークに心酔していたし聞いて置いて損はないだろう。
「アナ、久しぶりね。あのアオジル風のジュースいただける?」
「う、うん」
アナは無言でジュースをつくり、私に渡す。よく冷えたジュースだったが、いつもの通り絶妙に不味かった。しかしこもジュースはストレスに効くし、肌や便秘にも効く。もちろんダイエットにもいい。太っていたリリーもこのジュースを飲み始めてから痩せ始めている。
「ねえ、私に相談したい事があるんだったよね。いつにする?」
「ええ、まあ。明後日の休みにでも」
明らかにアナは様子がおかしい。
「わかった…。それにしても昨日は大変だったわね。マークが死んでしまうなんて」
「…」
アナはこの話題になると、黙りこくった。杏奈先生やカーラの時の態度とまるで違う。何か隠しているようである。
「何かマークについて知っている事はない?」
「さあ」
アナの目は泳いでいた。
アナが犯人?親しい村人を疑うのは、良い気分はしないが怪しくて仕方がない。
「あなたはマーク信者だったわよね。何か知らない?」
こう問い詰めても無駄だと思ったが、案の定黙りこくっていた。
「わかった。明後日会いましょうね」
「う、うん」
「じゃあ」
アナのジュース屋を離れるとメモに書く。
・アナの様子が変
・やっぱり事件と関係アリ?
その次にジェイクの医院の方を除いてみる。別に病人でも無いので診察ウィ受けるわけでは無いが、彼も事件現場での様子がおかしかった。何か知っている可能性もある。
ただジェイクは仕事中だ。庭の方からこっそりみてみよう。
医院の庭にはハーブや花が植っていて、少しいい匂いもした。ジェイクは健康マニアだし、この植物も何か身体にいいものだろう。
窓を見ると、ジェイクがいるのが見える。
「はあ…」
ジェイクは頭を抱えるようにして深いため息をついていた。
「ソニア…」
ソニア?しかも女の名前を呟いていた。
知らない名前だ。村の人の名前を全員は把握したわけではないが、こんな名前の女はいないはずである。
確かジェイクは恋愛に興味がないといっていたはずなのに。
あの憂鬱そうで思い詰めた顔はどう考えても恋愛の悩みである。思わず私は医院から走って逃げた。
・ジェイクに女の影
・ソニアって誰?
・この事は事件に関係あるの?
クラリッサやプラムが「ソニア」について知っているかも知れない。私は急いでクラリッサの屋敷に向かった。




