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19話 本当の死因は何?

 いつも通りジミーの家に行くと、ネルが遊びに来ていた。


「こんにちわ、マスミ」

「ネル、どうしたの?ジミーと仲良かった?」


 ネルとジミーは揃って頷いた。二人とも時々お茶を飲む仲なのだと言う。


「マスミ、またあのパンケーキ作ってくれないか?」

「私も!母がよく作ってくれたから、懐かしいわ」


 ネルもはしゃいだ声を出す。


 私は頷き、彼らの為にパンケーキを作って食卓に持っていく。料理は下手だったがパンケーキ作りはすっかり慣れた。綺麗な焦げ目がついて完成した。何枚か積み重ね、一番上にバターのカケラを落とし、最後にハチミツをたらす。綺麗な狐色の表面にハチミツが染み込み、美味しそうなパンケーキの完成である。


「わぁ、美味しそう。懐かしい!」

「うまそうだな」


 老人二人にはしゃいだ声を聞いていると、ホッとすると同時にあんな事件があった事が嘘の様である。


 やっぱり事件の事を思うと食欲は生まれず、温かいブラックティーばかり飲んでいた。


「しかし、昨日は大変だったわね…」


 話題もつきたところでネルがつぶやいた。


「そうだな。マークとかいう男はあった事はないが、また殺人事件がおきるなんて信じられんな」


 話題がマークの事件に移る。


「二人は何か知ってない?」

「まさか、本当にマスミは調べるつもりか?」

「噂は本当だったのね」


 私が事件調査をしている噂が広まっているのか、二人ともたいして驚いていなかった。


「さっきも言ったように俺は被害者と会った事もない」


 やはりジミーが犯人だとはあり得ない様である。


「でも、毒きのこで殺せるかしら?私の夫も毒きのこで死んだけど、もともとあの人は免疫も弱かったし」


 ネルの話は気になる。ペンとメモを取り出す。


「うちの夫は最も毒性が強いルンルンダケを食べて死んだのよ。あの鍋にはルンルンダケはなかった。毒きのこだとしてもエヘエヘダケだと思うけど、あのきのこはそんな毒性はないわ。シルシルダケを食べればだいたい解毒できるはず」


 私はネルが話した事を素早くノートに書き写す。


 ・となるとマークの死因は毒きのことは限らない?

 ・死因は何?


 二人にどんな死因が考えられるか聞いてみたが、首をふるばかり。私も見当がつかない。


「もしかしてマークは何か病気があって、それで発作でも起こして死んだのかな?」


 私は希望的観測をいうが、ジミーは苦い顔で首を振る。


「そんなタイミングよくシチュー食った時に死ぬか?」

「それもそうなのよね。それにマークは偽予言をして恨まれたりしていた可能性があるんじゃなくて?」


 ジミーやネルが言う事はもっともである。いっそ遺体を解剖してほしいと思うが、この国のユルユルな保安官達を思い出し、難しい気がした。


「ネルはマークについて何か知ってない?」

「そうねぇ。よく知らないけど、あの奥さんが湖の方を一人で歩いていつのはみた事あるわね」


 ・ケイトは湖に何かの用があった?


 事件と関係あるかわからないが、一応メモをする。湖は確かに綺麗な場所だが、わざわざ一人で行くところだろうか。しかもこの村の新参者であるケイトが一人で行く場所としては不自然だった。


「それにしての、あのおかしな名前のパン屋が無くなってしまうのは残念ね」


 ネルは心底困ったような顔を見せていた。



「どうして?」


 私が聞く。


「だって柔らかい食パンを食べてみたかったもに。一斤はちょっと多いと思って躊躇っていて損したわ」


 マークパンをネルはたべたがっていた。となるとネルにはマークを殺すような動機は無いだろう。毒きのこに詳しいのはちょっと気になるが、今のところマークを殺す動機も見つからない。


「母がよく作ってたパンを再現したいんだけど、上手く出来ないのよね」

「どんなパンですか?」


 日本のパンだったら何か協力できる事があるかもしれない。


「ふわふわで綿みたいなパンよ。真っ白で、耳だけ茶色で。レシピは残っているんだけどね」

「だったらミッキーに渡してみたらどうです?」


 私が提案するとジミーも深く頷く。


「パンの事はパン屋に任せた方がいいよ」

「でもミッキーのパンは硬くて黒いじゃない?協力してくれるかしら」

「最近ミッキーも柔らかいパンに理解を示し始めましたよ。言うだけでも言ってみましょうよ」

「そうね。あとでレシピを探してミッキーに渡してみる」


 話題は殺人事件からパンの話題に移り、私もちょっと食欲が回復してパンケーキをフォークで切って口に入れる。自分で焼いたものだが、ふわふわな生地と甘いハチミツがピッタリだ。体重の事を考えるとちょっと恐ろしいが、食べている間は殺人事件の事は忘れられた。



 ・マークの死因解明が第一優先!


 これがわかれば、犯人もわかるかもしれない。仕事を終え、ジミーの家を出てメモを書くと隣町のハードボイルド村に向かった。

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