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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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生まれ変わりは皆様とご一緒に 8

 暫くして陸斗が起きてきて、いきなり知らない人がたくさんいた事にまず驚いて怯えていたがその中に圭斗の姿を見付けて払しょくするような喜びの笑顔に弟ってかわいいよなぁと微笑ましく眺めるのだった。

「おはようございます。ええと……」

 開け広げられた勝手口から見える景色にはすでに皆さんうろうろと仕事を始めている様子に柱にかけられた時計を見て寝坊をしたのかと時間を確認する陸斗だったが

「陸斗君おはよう。怪我の様子はどうです?」

 この人数なので朝風呂を断念して山水で顔を洗ってさっぱりとした飯田さんは簡単にご飯を作りますねと言って竈に火を入れて大きな鍋でどうやらこの人数分の朝食を作るつもりのようだ。

 レストランの白い調理服を纏う。コック帽子が無いのが特徴だが代わりに深い緑色のスカーフを巻いている。料理長が深い赤の臙脂色でスーの飯田さんが深緑。後は明るいオレンジ色となっている。なんで深い緑色なのかと聞けば単に好きな色なのでと言われて何が基準なのかが全く分からなかった。

 飯田さんは簡単って言っていたが全然簡単じゃないよなと思いながらも冷蔵庫から白菜一玉と人参、牛蒡、里芋、大根を幾つか持って来てザクザクと切りだしていつの間にか取っていた出汁が沸騰したら鍋に入れるまでの準備はあっという間だった。

 お湯を沸かす合間に既にお米も竈にセットしてありやがて水蒸気が上がってるくらいに焚きだしていた。ご飯の炊けるどこか甘い匂い。ここから先が長いんだよなと炊飯器で炊くご飯には感じることが出来なかったのは多分思い出の匂いなのだろうと不意にばあちゃんを思い出して仏様のご飯の準備も飯田さんにお願いする。お米は小山さんが準備をしていてくれたらしく、さすがに竃に火を入れる経験がないのでそこまでの準備しかできなかったが、竃の火入れ許可を得た飯田さんは初日の不器用さが嘘みたいに今もまた一つ器用に薪に火をつけるのだった。さすがシェフ器用だなあとお褒めの言葉を頂きましたが竃に薪を詰め込んでバーナーで火をつけようとしたあの光景は一生忘れる事はできないだろう。

 飯田さんが竃の前に立つたびに思い出す景色にふふふと笑っていれば何故か好きに使って良いとは言ってはあるがまさか朝からの味噌汁に使う?というように冷凍庫からだいぶ前からあるイノシシの肉を取り出して小さくそぎ取るように切り落としていた。朝から豚汁だー。ごま油かけるのが良いんだよなーと思いながらも笊を持って外に出たと思ったらこんもりとクレソンを始めとした色んな葉野菜を持って来てオムレツにすると言って大量の卵も運んでくるのだった。土や根っこを取る姿を見て陸斗も手伝いますと言うあたりすっかり飯田さんに懐いている証拠だろう。少し複雑な表情を浮かべている圭斗は何処か寂しそうで

「兄貴離れがそんなに寂しいか?」

「寂しいさ。だけど良い成長だと思えばそう言ってられないしな」

 ほんの少し見ない間の急成長ぶりに追いつけないと言う様に顔を顰めているも

「まぁ、二度も飯田さんの飯テロにあえば次も期待するしこうなるのは当然だ」

と説明をしてしまえば複雑な顔を俺に向けて

「確かにな」

 何かすごく失礼な事を言われた気がした。

 飯田さんの隣で冷たい山水で指先を真っ赤にしながらも話しをする姿を見守りながら圭斗とやっと戻ってきた森下さんと一緒に皆さんに朝の挨拶をしようと集まってもらうも森下さんの背後で慣れた手つきで流れるように卵を割り続ける青山さんの地味な嫌がらせに森下さんは顔を青くさせるから皆さんから失笑を買う羽目となっていた。もっとも飯田さんによって青山さんは家の中に引き摺り込まれてしまうも卵を割る音は止まる事はなかった。


「おはようございます。

 随分早く来た理由は聞いたのでこれ以上は問いませんが、遠くからお越し頂いている方も見えますので連絡を頂ければ前日からなら受け付けたいと思います。ただしここは普通に熊や猪、鹿が出て狩猟のシーズンとなれば散弾銃を持った皆様がぶっ放しにやってきます。キャンプ地のように野生の獣が出ないように見回りしたりと言った事がない場所なのでせめて電気柵で囲っている敷地内までお越しください」

 笑えない顔で言えば皆さんも今まで携わった家とは一味違う事を察して誰も大げさだなぁと言わずに黙して頷いてくれた。

「さて、今日の予定はどうなってます?」

 聞けば浩太さんが

「茅を下ろす作業は地域の皆様の時間に合わせて朝の六時から始めると触れ回って来ましたた」

 それが前日入りする理由かと思うもこの辺りの農家さんなら朝の六時なら遅い位の時間だと気づき納得するしかなかった。

「なので朝食を済ませ次第作業を開始。朝食は小山さんから飯田さんにお願いしてあると言うので皆さん出来次第土間から入って台所のテーブルの料理を貰って勝手口から出るようにお願いします!」

 いつの間にかルールが出来ていた!

 驚きの中ひょいっと飯田さんが顔を出して

「簡単ですが食事の準備は出来てます。

 奥様お子様方の料理はまた別に準備しますので食べれるようなら取りに来てください」

 何だか妙になれてるなぁと感心しながら報告を受ければ

「だったら後は手順を確認だ。食べ終わり次第さっさと茅を下ろすぞ!

 森下チームは屋根に上がって茅をどんどん下ろせ。内田チームは茅を受け取ったら農家に渡して荷台に積み込んでいくぞー。どうせフライングで取りに来る奴らもいる!下の宮下の旦那と話をしてあるから対面交通の出来ないこの道では息子さんと連絡を取りながら交通整備を行ってくれると言うから指示に従う様に!」

「おはようございまっす!」

 いつの間にか宮下が香田さんの隣に並んでいた。

 驚きながらも全員が注目する中

「先ほど起こされました宮下息子です。

出入りする時は指示に従ってくれるようにご協力ください!そして帰り道に是非宮下商店でお土産をお買い上げください!」

 寝癖を付けたままカメラ片手にご挨拶する宮下はいつ来たのかと思うもその注目を浴びたまま

「さっそくですが駐車整備をしたいのでこれから言う車の人は移動をお願いしまーす!

 あと記録動画の撮影の為に顔が写ってしまいますので許可をいただきたいと思います。もちろん希望があればモザイク処理しますのでご飯を受けつる時に用紙に記入をお願いします。同時にカメラで照合するのでそれだけは協力お願いします」

 その後車種と色とナンバーを何台か指名して奥へと移動してもらうのだった。と言うか慣れてるなーと感心すればお店で呼び出しとかしてればこう言うのにもなれるよと自信を持って笑っていた宮下の自信に満ちた笑顔は俺の知らない顔で笑っていた。


 長い列が出来てもスムーズにお盆を受け取って料理を手に外で思い思いの場所で食事をする。竃で炊いたご飯に猪の肉の豚汁。と言うのだろうか?クレソンなどをバターで炒めた物を包んだオムレツ。山口さんが振る舞う豚汁は具も平等に行き渡った上に

「皆さん豚汁のお代わりがあります」

 その言葉に皆さん喜んで二杯目を頂いていた。これがプロの仕事かと感心をした。

 圭斗がテーブルや椅子を用意してくれたりしても足りないけど皆さん自前のキャンプ用品を広げるあたりこう言った時のための対応かと感心をする朝食の場となった。




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