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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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小さな恋に花束を 10

 なんだかんだとうきうきとしたカティによって俺の部屋にベットを運び込まれて一緒に寝る事になった。 

 いや、俺の部屋に潜り込んでくるのもびっくりだが小学生のくせに意地でもベットを運び込んだその謎な努力にどん引きだ。

 フランスの城の天蓋付きベットよりも小さい普通のダブルのサイズのベットだがそれを置いても部屋の狭さを感じない部屋でもさすがにもう一台ベットを入れると狭さを感じた。

 それ以前にだ。

「何で移動の簡単なスチールベット何て買ったかなー」

 マットレスと布団を別々に運び込んできた顔には余裕の笑みさえ浮かんでいた。

「ふっふっふ……

 私の努力におののきなさい!」

「じゃあ寝るか」

 軽く無視して電気を消せば

「待って!何でいきなりお休みなさいなの?!

 こう言うのってお茶したり、チョコレート食べたりコイバナとかしたりして盛り上がる物じゃないの?!」

 話が違うと言う様にカティが持ち込んだ物はベットだけではなく箱入りのチョコレートや茶葉とポットが置かれたワゴンもあった。

「いつの間に準備したんだ……」

 一生懸命荷物を運び組んでいる間にLIMEの返事をしていたちょっと目を離したすきの出来事。と言うか、箱入りのチョコレートっていつから持ち込んできた物だよと箱のふたを開ければ宝石箱のように並べられた美しいチョコレートが幾つか無くなっていた物の鎮座していた。

「普段は本を読みながら一粒のチョコレートと紅茶を飲むのが就寝前のルーティンなの」

「太るぞ。そして寝る前の紅茶はお勧めしないぞ」

「何年も繰り返しているルーティンだからいいの。幸せだからいいの!」

 なぜか涙を流して開き直るカティにこれはこれ以上つっこんだら夜道で刺される懸案だと思って口を閉ざしたが

「綾人も一粒どうぞ。一粒と言わず二粒でも三粒でも沢山どうぞ。

 そしてニキビが出て後悔しろ!」

 どうやら俺はチョコレートの呪に掛けられるところらしい。

 だけど見せてくれたチョコレートは美味しそうなのでオレンジピールの欠片が品よく飾るチョコレートを貰う事にした。

 カティはアーモンドスライスの欠片が飾るチョコレートをティーカップのトレーに乗せてにこにこと紅茶を飲みながら幸せそうな顔をしていた。

 俺は一口でチョコレートを食べたけどお嬢様はそうやってがナッシュを包むチョコレートをこうやって品良く食べるのかと感心しながら男の世界にはない食べ方に貰った紅茶はアップルティーで口の中を洗い流せば

「所で、前から聞きたかったけど前に飛び級の女の子に絡まれてたじゃないの?

 何であの子じゃ駄目だったの?結構可愛かったのに」

「飛び級と言うとフローラの事か?」

 聞けば神妙な顔をして頷くカティにそれかと一気に疲れが押し寄せてきたが

「あれはイギリス生活史上最悪な出来事だった」

「え?どういう事?」

 きっと噂で聞いていた事とは違う俺の反応に

「なんか子供が出来たとか、俺に捨てられたからカレッジを辞めたとか噂が一時流れたと思ったが」

「そこ。知り合う前なら納得したけど、アヤトの事少し知ればおかしい事ぐらい気付くから」

「だからアレックス、クリフ、ウィル、ジェム、ケリー、叶野に柊、フェイも噂に流されずにいつもそばにいてくれた。

 正直そんな噂に流される批判何てどうでもよかったが、年齢近い彼らの方が敏感に反応してくれたのだ。 

 あと、餌付けした奴らも

「はあ?あの噂?

 アヤトってほとんど俺らと遊んでいるからあの女と絡む時間なんてないぞ。 

 なんたってあいつの周り男しか居ないしな。むしろあの輪の中に飛び込んでくるから引くわ」

 これが学年主席と飛び級で入ったもののそこそこだった格差というか、餌付けした忠実な下僕達の下心が決着したと言うべきだろう。

 なんせ、フローラはパブの輪の中に入って来ても一切奢る事はなかったし、俺の家に来た時でも晩飯の一品も持ち込まなくって食べるだけ食べて帰って行く様子に密かにキレていたらしい。


「と言う事はあって食い物の恨みは怖いから。

 カティは意地汚くないけど、みんなと分け合って食べる。当たり前だけどとても大切だからな」

 

 そう言ってチョコレートを二つほど失敬したら

「あー!私の一番のお気に入り!」

「ピスタチオのクリーム入っているの俺も好きなんだ」

 好きな物は後で食べる性質なのか二粒入っているピスタチオクリームのチョコを頂いて半泣きのカティの顔を見て

「少しは警戒しろ」

と笑うのだった。





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