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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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駆けぬく季節は何時も全力前進 9

 綾人がウィルにレベッカを近づけないでくれとパブの呑み仲間に頼めば意外な事にかなりの協力者を得る事が出来た。

 まあ、頼んだ時ちょっといい料理(肉)をお願いしたり、後からさりげなく大変だったんだなって言いに来たやつにもちょっといい料理(肉)をふるまってウィルとレベッカは自然と手を切る事になった。

 いやね、このお願が回り回って助教授を指導する教授の耳に入ったらしく学生たちの耳に入らない所でかなり大事になったらしい。

 まあね、お付き合いしてると言えば聞こえはいいがやってる事は単なる援交なのだ。どうやら物だけではなくお小遣いも与えていたらしい。どう考えてもアウトだ。

 そして院生の恋人にも噂が広がったらしい。

 まあ、院生になるくらいだからプライドも高く、格下とする相手が本命と聞かされて速攻で彼のアパートから追い出したらしい。

 直接の面識はないが決断が非常に速いのは好ましいと思うもこの話は一体どこまで広まったのだろうかと思っていたものの、うわさ好きな皆様によって彼女はカレッジの部屋の戻るも周囲の白い目に耐えきれず休学を選んだと言う。

 大学を辞めない根性すげー。

 上向思考が強いのだろう。あれぐらいは問題ありませんと言う根性なのか知らんが結構我の強い人間が多いなと少し引いてる綾人がいた。

 そんな事もあり俺とウィルは女難の相が出てるんじゃないと叶野に言われ、俺の場合は母親の事もあるので否定が出来ずにいた。

 ちなみに叶野と柊は卒業したら日本に帰るので恋愛なんかで貴重な大学期間を無駄にしたくないからと断っているらしい。

 寧ろその断り方の方がヤバくね?なんて思ってるに叶野も母親の教育虐待とは言わないがそんなスパルタ環境に女性不審になってると思う。俺の経験談からの判断だから間違いないと仲間意識を覚えるのだった。

 とりあえずは最近俺とウィルは女運のないコンビとして色々な飲み会やパーティによく誘われている。

 女の子を紹介されたり、妹を紹介されたりと寧ろその優しさに涙が出てきそうになる物の、ほどなくしてウィルは友人の妹とお付き合いを始めたと言う。年子なので高校生に手を出すとかそう言うのではないので安心して見守る事が出来た。

「だけどほんと綾人は彼女の一人も居なくて平気なの?」

 クリスがそんな青春で良いのかと問いかけて来るが

「いいんだよ。結婚する気もないし、子供も要らない。

 寧ろ子供が出来たらうちのあの広大な敷地面積だけの土地の相続が発生するから断ち切る為にも居ない方がいいんだよ」

「まあな、山とか飛び地とか管理大変だもんな。管理のお金も必要になるし、綾人だからお金が工面できるからな」

 家に遊びに来た叶野と柊なら綾人の言わん所を理解できると言う様に頷く。

「そんなにも広いの?」

 ジェムが不思議そうに聞けば

「敷地面積だったら大学の施設すべて合わせた広さよりも圧倒的に広いぞ」

「そして一銭の価値のない土地ばかりで管理費の方が高くつく事故物件だ」

 ふっ……と死んだ目になる綾人にいかに苦労しているかがわかる言葉だと理解するしかなかった。

「まぁ、本音をぶっちゃければこの四年間の短い時間の中でどれだけイギリスを堪能できるか、図書館の本を読み漁れるか考えたら彼女なんて順位低すぎて圏外だし?」

「図書館の本読みつくしたくせに」

「貸出区域の所だけだよ。バックヤードで修理中の本とかそう言う所の本も読んでみたい」

「図書館で働けば読めるよ」

 そんなアドバイス。だけどそうなったら働かずに本を読み漁る景色しか想像できなくて、既に図書館に入り浸ってる綾人は司書にマークされているだろうから面接を受けても働く事なんて出来ないだろう。いや、その前に書類で落とされるのは目に見えている。

「引っ張りだこだと思ったアヤトも図書館では天敵だったね」

 何て笑われる中でも綾人はパソコンのキーボードに指先が躍っていた。 

 ここ数日パブを断り昼食の時もよく見られる光景だったが

「最近忙しそうだけど何やってるんだ?」

 アレックスの疑問に

「んー、論文作って学会に行ってこいって言われたから準備してるだけ」

 めんどくさそうに言う綾人になんとなく言葉をなくしてしまう。

 これは来年の自分達の姿で、だけどこのように淀みなくキーボードを打って論文を作れるのかと思うも答えは『ノー』のみ。

 一年先の未来の姿を見せる綾人に確かに彼女なんて作ってる暇なんてないなと彼女との日々の楽しさにここの所浮かれ気味な自分達を反省するのだった。



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