運動と食欲と勉強と寝る事が子供の仕事です 4
脳筋のボス、先生ほんと信じられねぇ……
珍しいタイプの生徒を連れて来て勝手がわからないながらに何とか宿題を済ませた俺すげーと思っていればそれこそ部屋まで乗り込んできてお酒に誘ってくれたのだ。
おつまみにそら豆、そして日本酒。ぬる燗の優しい温かさとそら豆の塩気についつい進んで、気が付けば二人してベットで寝転がっていた。
訂正。先生は俺を蹴落としてベットを独り占めしやがった。
「ありえねーだろ。先生の布団は客間に用意してあるだろ?」
「あー、噂のコアラの使い心地を試してみたかったんだよ」
「嘘つけ。ベットの下に猟銃が保管してある場所で良く寝るなって散々コケにして置いたくせに爆睡しやがった奴が使い心地で爆睡するかよ」
「あれよ。
綾人の匂いが溢れかえって心地よかったんだよ」
「キメェ!俺の巣におっさんの匂い沁みつけんな!」
「あー、綾人の枕。
動画のファンが見たら卒倒するだろうな」
「俺の枕返せ!合わせて買った奴なんだから涎垂らしたら買い取ってもらうぞ!」
「えー?綾人いうの遅いよ」
「やめてよ!!!」
折角この帰国に合わせて変えたんだから。宮下にお願いしてセッティングまでしてもらったんだから!」
「お前何気に宮下の扱い酷いな」
「何、新しいのついでに買ってあげるって言ったら二つ返事でOKしたぞ。ちなみに古い奴は圭斗が貰ってくれた」
「ちょ、宮下以上に酷くない?!」
「いや、酷いのは圭斗だ。あいつベット作ったのに布団敷いて寝てるんだぞ?マットレスなしで寝てるんだぞ?どうつっこめばいいか判らなかったけど本人が良いって言ってるから黙ってたけど、古いマットレスは処分って言ったら貰っていいかっていうから貰ってもらっただけの話しなんだから。三年しか使ってないからそこまで悪くなってないし本人がくれって言ったんだからあげただけの話しなんだぞ」
俺は悪くないと全力で訴えれば先生は頭ではなく俺の枕を抱えて
「俺だってネットで見て気にはなってたけど普通のサラリーで買えるかって奴を貰えるんだったら貰いたいぞ!」
「先生には不要だろ。どうせゴミにするんだし」
「なにいってんのよー。毎日宮下が掃除してくれるから綺麗に使ってるわよー?」
「先生の方が俺以上に宮下の扱い酷だろう!」
枕を何とか奪い返し、先生の涎疑惑のある枕カバーを外して枕は椅子の上に置いておく。俺を乗り越えて行かないと手が届かない安心の場所だ。
「あ、綾人まで先生の扱い酷くない?」
「俺の対応はいつも通りだ。だから宮下を家政婦がわりに使うな」
「えー?汚れる前に片づければ綺麗のままだよって宮下が言ってやってくれてるのに?」
「宮下不憫っ!!!」
不憫すぎて逆に笑えるのが宮下なのだが、だけどそれ以上にこの先何十年後に住む家を先生と言う害虫(酷い)にもめげずに綺麗にしてくれているなんてありがたくてやっぱりコアラのマットレスぐらいの謝礼は当然だろう。先生の精神攻撃に是非とも安らぎを得て欲しいと願うのは当然だ。
あまりに俺の先生に対する酷さにベットの上をごろごろと転がって遊ぶアラフォーを無視して服を着替える。
「ウコ達を出してくる……って、もう出てるな。陸斗か?しっかり早起きが出来るようになったな」
「ペットを押し付ける酷い飼い主がいるからな」
先生の俺に対する認知も酷い。だけと大半は増殖に情熱を傾けた大和さんが悪いと言うものの、増やした烏骨鶏を売り払えば餌代ぐらいにはなるよと言うまさかのお言葉。餌は自分で確保しろ。庭に放つときに何度も言った言葉がまさかこう言う意味になるとはなんてバカな事を考えながらもだ。
「それよりもそろそろ朝ご飯準備するかあ風呂入って来いよ」
「ほーい」
着替えを取りに行ったかと思えばすぐに外から陸斗と挨拶する声が聞こえ、俺が朝ごはんの準備に向えば物音に陸斗もやってきて
「おはようございます。
さっき先生お風呂に入りに行ったので今のうちにご飯作っちゃいますね」
「ああ、頼むな。ウコありがとう。俺は出来上がるまで上で少し整理してくるな」
ほぼ垂直にも似た階段を上がった先の山を指させば
「判りました。出来たら声を掛けますね」
既に給水を始めておいたのか竈に火を入れる様子にそこまで仕事が出来ないなと、俺がいなくても、ましてや知らない人が来ても変わらない生活をする陸斗を見てやっぱり家っていいなあと思う綾人だった。




