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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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過密状態にご注意を 5

 小屋の方からガンガンといろいろ物を壊す音が聞こえてくる、前回出来なかった壁を破壊したり直した方がいい柱をジャッキアップしながら修理していると言う。そしてなぜかトイレを真っ先に修理すると言う理由は判らないでもない。簡易トイレをレンタルしてくると言う話だったが修理してメインで使うわけではないと言う事だし、人間として必須の物だが最後に綺麗にしてくれると言う話で今日と明日をかけて真っ先に直したいと森下さんが提案してくれた。と言うか既に準備万端地下も掘り出し水道工事も始まっていた。

 俺の子供の記憶では今でこそ更地にして面影も無くなってしまったがご近所にここで働く人達の家(吉野家の借家だったらしい)が数件建っていたので水道はしっかりした物が通ってるから分岐しても水圧が落ちる事はない。土曜日にまで働かされる水道屋さんありがとうございます。どうやって丸め込んだのかわからないけど予定は着々と進行する予定ですと感謝をしておく。と言うか一言相談してほしかった……

 こんなんで大丈夫なのかと思って森下さんに聞けば顔を真っ青にして内田さんと二人して頭を下げてくれた。周囲の人達も「あちゃ~」と言う顔をしていたが、そこはしっかりと周囲の人達にお小言を頂いているので俺からはこれ以上言葉にするのは止めておく。代わりにその部分は何かまけてもらうか別の所でプラスしてもらう。それで話しを付けておいた。

 賑やかな声とどこからか烏骨鶏を愛でる声。長閑だなと俺達は午後の勉強の時間に入ろうとした所で車がまたやってきた。地元のナンバーで

「あれ?まだ大工さん来るのかな?」

 思わず首を傾げれば植田が車誘導してきますと颯爽と行く姿を追いかけるように俺も踵を潰した靴を引っ掻けて追いかければ

「植田先輩会いに来ました!綾っちも久し振りでっす!今回もお世話になります!!!」

「おお、園田来たか!」

「綾っちは止めろ。っていうか月曜からじゃなかったか?」

「植田先輩と水野先輩が先に居るのに自宅待機だなんて寂しいでっす!」

「お前ら愛されてるな!せんせー!」

 思わずどうなってると呼べば縁側からぞうりを引っ掻けてやってきた先生に

「せんせーよろしくー!ゴーグル持って来たよ!」

「お前は月曜からって言っただろ……」

 頭にゴーグル装備で表れた二年生の園田昂生も一年の時からの勉強会仲間で乗りは植田の子分と言う感じ。

「まぁ、まぁ」

 なんてなだめながら車から降りてきた大人の女性はあらあらと言う様にリフォーム中の小屋を見ながら大きなダンボールを持って来た。

「吉野さんすみませんね。予定を前倒ししてやってるからって今回も参加させてもらって」

 ふくよかな体系の園田母はこれが子供達が勝手にやったって言う事を知らないのだろう。

 思わずじろりと園田を見てしまうも園田は既に植田といつの間にかやって来た水野と一緒にいくつもの荷物を車から降ろして運んでいた。

「いえ、それよりもいつもたくさんの差し入れありがとうございます」

「いいのよ!どうせうちにあっても腐らせちゃうだけなんだから。余ったら鶏の餌にして頂戴」

「ありがとうございます」

 そう言って山ほどの野菜は納屋に、丸々としたスイカは山水を溜めているタンクに沈められるのだった。冷蔵庫に入るんだからそこに沈める意味わからんのだけどと無言で沈めた時に水がはねたと悲鳴を上げる様子に少し離れて見守っていた水野も大工さん達も大笑いしている。

「園田さんもいつもありがとうございます。吉野も楽しみにしてたので……」

「先生!確かに楽しみにしてるけど勝手に言わないでください!」

「ん?そうだったか?」

 とぼけた顔の先生の後ろにちょこんと陸斗もやってきた。怪我をしている様子もだけど新しい後輩の出現ににっこりと笑みを浮かべた園田母。

「昂生にも後輩が出来たのね」

「まぁ、理科部としては継続できてほっとしております」

「テスト対策もしてくれるし塾に通わせるより成果が出てこんないい所で合宿もさせてもらえるのに今時の子供ってほんと見る目がないわねぇ」

「ええ、五右衛門風呂なんて今となったら知り合いに持ってる奴もいないですからねぇ、綾人を抜いて」

「うちも四十年ぐらいまではあったのだけど、やっぱり便利さに敵わないですからねぇ。子供達も大きくなった今となったらもったいないって思ってますけどね」

 ふぅ、といつの間にか水野が陸斗を連れて園田に紹介していた。

 園田は一瞬顔をゆがめるもその瞬間すぐに植田が文句あるかと言う様に何気なく足を踏んでいた。「いてっ!」って喚く園田に何てことない顔で植田の謝罪。物凄く軽く、価値がない様な視線は陸斗に見えないように。何かを察した園田は黙って大人しくなってしまうのを見て陸斗の事は水野と植田に任せる事にした。

 そして暫くもしないうちに

「せんせー!綾っちー来たよー!」

「綾っちー来たよー」

 上島兄弟が揃ってやってきた。兄の颯太と弟の達弥。身長差が微笑ましい年の差兄弟だ。

 上島兄は水野植田と同じく三年で弟はまだ中学生だ。確か今年は三年だったか。この山暮らしが羨ましいらしく、毎度の送り迎えには必ずついて来て烏骨鶏やら生簀の魚達を見て居る姿に宿題持って来てもいいよと言えば兄は一瞬嫌そうな顔を見せたけどその日のうちに荷物を取りに戻ってやってきた行動力は素晴らしく、そして兄同様の壊滅的な学力にここで断っても高校になったら来るから同じかと言う事で俺は納得する事にしたが……

「お前ら、月曜日からって言っただろ……」

「水野と植田だけ楽しんでるなんて俺達寂しいでーす」

 上島兄弟までも混ざればもうただ賑やかでしかない。

 上島兄弟は慣れた様に自分達の荷物を二階に運び

「吉野君今回もお願いします」

「これ家で取れた野菜だけどよかったら食べて」

 上島家も農家なので山ほどの野菜を持って来てくれた。夫婦そろってダンボール箱を抱えて持って来てくれた物を植田が受け取って台所で分別して冷蔵庫に入れたり勝手に分別してくれる。

 にこやかに何気なく先生と園田母との会話に混ざり

「リフォームですか?」

 上島父が工事中の小屋を見て

「屋根も腐りかけて来週位に茅葺屋根を下ろして茅葺をやめる事にしましてね……」

 言えば何故かギュッと手を握られた。

「是非お手伝いさせてください」

「そうね、茅を頂けると助かるわ」

 ええと……

「内田さんにお願いしているので呼んできます」

 慌てて小屋へ走って行った所で先程からの来客の気配に何だと言う視線。

「内田さん、園田さんと上島さんってご存知ですか?」

「まぁ、うちのお客様だな」

 言いながら俺の案内で三人と顔を合わせればそこからまた話が華やいでいく。

 先生もどこかほっとしたように水野達が遊びだしている様子を見て「工事の邪魔になるから様子見てきます」何て全く違う所で遊んでいる奴らは裏山の入った所でたむろっていた。

 子供って何で裏山が好きなんだろうと考えながらもここぞとばかりに俺も「しょうがないなー」なんて一緒に足を向ける事にした。



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