身体が動く季節なので皆さん働こうではないか 1
秋のススキ刈りも終わり、植田と水野も学校が始まったのでまた旅立って行った。
かなりのバイト代を払う事になったが、それでも二人はちゃんとこの家のルールを守り、勉強会で教えたこの家の仕事をこなし、そして最後のわずか数日でかなりのスキルアップをして帰って行った。
通信教育を受ければバイト代ロハになるくらい詰め込んでやったが、俺の勉強の教え方には慣れている為に多少の無茶も耐えきってふらふらになりながらも暫くして来た連絡では
「俺達ガチで勝ち組になってた。
先生にも教えるより先に学んで来るなって言われたし~」
などなど調子乗る植田に
「マジで春休みに臨時で講師に来てくれって誘われてるんだけど」
上島がおかしなことを言っていた。
「いや、まだこっち雪積ってるから無理だって」
雪かきに雪下ろしをしなくてはいけない。圭斗がだが、烏骨鶏達の世話もあるし、一日で何を教えられるというものか。
「素人が独学で覚えた程度の事を皆様に教える程愚か者じゃないよ」
何て丁寧に断ったつもりだけど
「だったら夏で宜しくだってー」
逃してはくれないようだがだが断る。夏に遊ぶ時間はないと、この件に関しては一切無視をするのだった。
とりあえずたまには麓に下りながら飛び地の巡回をする。
近い所から元農地、元空地、元雑木林、元牧場などなど見て回る。
どれもこれも立派な雑草畑になっていて、一度草を刈ったせいか植物的には均等な伸び方をしていた。古い雑草がないからみんなある程度のフレッシュさがあると言う点だが……
「長谷川さんに相談かな」
セイタカアワダチソウが咲き乱れる雑草畑を見て花が咲いてるうちに種をまき散らせないうちに刈り取るかと電話を入れてお願いするのだった。
そんな中国道沿いの竹林に入る私道に車で乗り入れる。
物の見事な竹林で、登記上では雑木林になっている。
よく見れば細々と痩せ細った山桜やブナとかがあったりはするが……
去年上島さんとゆかいな孫とお友達に切らせた場所があった。
竹は一メートルぐらいで切り取られ、既に茶色くなって立ち枯れしていた。足でければそのまま根っこからごそっと取れて坂道を転がって行く。枝打ちされたまだ節が白い竹に土止めになる様に整然と並べられていた。
丁寧にしょりしてくれたんだなあ、と竹の所で落ちた竹の葉っぱがそこで止まり、つま先でけって見れば土に帰りかけていた。
とりあえずだ。
見渡す限り三百六十度竹林に俺はスマホを取り出してポチっと決済をする。
それなりの値段はするがウッドチッパーを購入。取り合えず引き取り場所を圭斗の家に指定して、LIMEで事後承諾をお願いする。
返信はとりあえず無視をして
「上島さん、お久しぶりです綾人です。
ちょっと聞きたいんですけど、ウッドチッパーって買ってみたんですけど、ええ、納品はまだです。
使い方わかります?あー、メーカーは何所だったかな?
はい、後で連絡をします。
あー、今去年切ってもらった竹林に居まして、竹が朽ちるのが先か元通りになるのが先かって考えたらちゃんと処分しようと思いまして。
あはは……。はい、すみません。
とりあえずチップにしてせめて雑草が育たないようにまきちらそうかとおもいまして。はい、日光遮断して竹伐って山桜とか枝垂桜とかふっかつさせたいかなーなんて?
あー、お願いしても良いですか?」
そんな感じで竹の処分は焼くのもいいかもしれないけど再利用も考えた方がいいと思う竹林にまた圭斗にLIMEする。
「悪いんだけど、竹林の所に倉庫作ってくれる?」
「今度は何をしようとしてるんだ!!!」
無料スタンプのにゃんこがプンスカするスタンプを付けての怒り具合は金になるならやるぞと言う物だろう。
とりあえず真面目に
「国道沿いの竹林の整理をする為にウッドチッパーかったから、それの格納場所を作ってくれ」
そんな簡単な説明とお願い。
暫くして購入したウッドチッパーからのサイズを逆算しての答えは
「ホムセン行って倉庫買うのが一番の格安だな。なに、設置してやるからネットでウチに到着で購入しろ。とりあえずリストは後で送るな」
何て有能な親友だろう。
すぐさま送られてきたリストの中から一番大きなものを決める。
ひょっとしたら他に何か置きたくなるかもねと言うだけど理由を付けて、圭斗に購入した物を連絡しておいた。
宮下に言うとねちねち言われたけど、圭斗はドライだから建設的に話しを進めてくれる。
ウッドチッパーを購入した事には怒らず勝手に受け取り窓口にされた事を怒り、そしてすぐにどんなものか調べた所に倉庫を買うからと言えばすぐに格納できるサイズをチョイスしてくれる。
大は小を兼ねるで一番大きいサイズを購入すれば両方届いたら連絡するなと言うだけの返事。
「俺を甘やかすとそのうち大変な事になるぞ」
ふふふと謎の笑みを浮かべながら、やがて宮下のように変化する事なんてまだ予想しきれないでいた。
とりあえず持って来たチェーンソーで竹を切る。
切り方は切った方を谷間に向けて、先端を山の上へと向ける。
本当なら一本一本片づけると枝が引っ掛かってめんどくさいことにならずにすむのだが、一人ではそうは言ってられない。
昔ジイちゃんががやっていた通り切るだけ切って切口付近にロープを突いた釘をさす。かなりめんどくさいが……
ロープがある限りの竹を切って、反対側を軽トラにくくりつける。
そして谷に止めたトラックを少し走らせればずるずると竹は引っ張られて……
谷間に竹が集まる壮大な景色が生まれた。
ジイちゃんがは谷間の下の方から火をつけて燃やして行ったが……
「ここから先は機械の仕事だから。今日はこれぐらいにしてやろう」
うっそうと茂る竹を見回してふと笑う。こんなの一人で出来るもんじゃねえ。竹からロープを外して次はどの畑に向かうか考えるのだった。




