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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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俺達山の留守番隊 4

『第一回 綾人が城を買って俺達はどうなるのか会議』


 いつかネタにするからと宮下はカメラを回しながら離れの長火鉢を囲むようにして俺達を座らせて虹鱒を焼きながらの会議となった。

 綾人ヤバいぞ。宮下マジ怒ってるぞ……

 先生は日本酒を片手に焼けた側から虹鱒を食べ無言を貫き、植田水野コンビがゲームに没頭しているので誰もまじめに取り合わない。さらに言えば綾人は金払いの良い雇用主だ。勉強の方はネットでちゃんと面倒見ているし、この深山の家のお世話にはバイト代が出ているのだ。

 宮下が緊急会議を開いて見せた物の俺達の負担はそのままバイト代として正当な報酬に代わる。県事に変る最低賃金で一日八時間労働としても十分に上回る報酬に高校生達どころか水野、植田コンビも一切文句は言わない。更に、そのまとめ役としての圭斗もガソリン代を含めてバイト代が支払われているので文句は言わない。なんせ月の収入にも近い報酬が払われる事が弁護士さんを間に挟んで決められているのでこの山奥の家の世話に関しては一切文句はない。陸斗もちゃんとバイト料もらえるからね。ここ重要。圭斗もだったが二年生になって急激に身長が伸び始めた陸斗にはこの年の冬服は新しく作らないと着れない気がしているので高額になりがちな制服に圭斗は頭を悩ませていたがその問題も解消と一緒に働く姿は陸斗の理想だった。文句を言う理由はどこにもない。

 となるとだ。

 俺の出来る事と言えば虹鱒を焼いて先生と一緒に日本酒をちびちびと舐めながら齧るのみ。悪く言えばぷりぷりと怒る宮下をツマミに酒を飲むのがこの状況ではベターだろう。気持ちはわからないでもないが、俺には陸斗を立派に育てると言う使命がある以上綾人の仕事を断る事は出来ないのだと怒りだけは黙って聞き入れるだけで済まないと宮下の叫び声を右から左に聞き流していた。

 そんな俺達の隣でいつの間にか内田さんのとこの二男坊の幸治とラインをしている園田はスマホ画面に向かって止まらぬ指は文字を打ち続けていた。

 ちらりと見ればフランスに居る綾人が城を買った事を父親に報告をと綴っていた。更にどんな飛び火があるか判らないから森下さん達にも警戒してもらうように、なんてフラグを笑いながらたてていた。

 いや、さすがにちょっとフランスまで来いなんてさすがに言わないだろう。現地の職人を拾い集めて顎で使うのが綾人だからなとさすがにそこまで非道な事は言わないだろう。よっぽど難しい顔をして考えてた俺に先生は

「どうした?」

「ん?いやさ……」

 園田が幸治から父親経由で森下さん達にリークさせようとしているなんて言えば先生は少しだけ感情をそげ落した顔をして

「ああ、なるほど。そうか……」

 そうやってちろりとこれが大人の色気だと言わんばかりに日本酒を舐めたかと思えば

「お前も陸斗も宮下も一応パスポート取っておけ。一週間ぐらいかかるから、今回使わなくても問題ない。念のために取っておけ」

「嫌な事言わないでよ」

「今回はなくても次回だ。ないとは言えない」

 言葉が出なかった。

「最悪を考えろ。考えたんだろ?だったらそれは綾人の思考範囲内だ。シェフの奴がどこまで綾人を押さえ込めれるか判らないが既に無理だったんだ。それにバイオリンを買って城を買って、たかが外れたんだ。俺が考える最悪はこの時期飛行機の予約は取れない。ひょっとしたら飛行機位チャーターするかもな」

「やめてくれ。一回飛ばすのに何千万だっけ?さらにこのシーズンならさらに上乗せだろう。しゃれにならないし綾人ならやりそうで笑えない」

「やりそうじゃないぞ。背に腹は変えられなければやる。時間を金で買えるならあいつはやるぞ」 

 実際離れの工事も本来必要のないぐらいの人数を招いたのは時短の為。既に一度やった事があるので二度目に躊躇いはないだろう。

「先生、あんた教師であいつの元担任なら上手く説得してくれよ」

「やだよ。逆に俺が説得されて納得させられる。って言うかその前にゴリ押しの結果だけ贈呈されて終了だ。俺がどこに口を挟めると思う」

 何やら宮下は水野にお酒を飲まされてぐでんぐでんにふらふらとしながら植田に布団に導かれてようやく静かになった所で陸斗がおにぎりを焼くと言う状況になっていたが

「まぁ、母親の件の後でようやく頭も体も動かす気になったんだから。それに前に言っていた綾人の何かしたいって言う気持ちがこう言った形なら俺達が応援する、それを友達って言うんだろ」

 そんな風に言われたらあいつを怒る事が出来ないと握りしめた拳の行き先がわからなくなり、思わず出来たての焼きおにぎりに手を伸ばしてかぶりついてしまう。川上が俺のとか叫んでいたのを無視をして

「あいつから集合命令出ると思う?」

「お盆前、それ前後で予定をあけとけ」

 おにぎりを咥えながら

「初めての海外が仕事だなんて夢も希望もない」

「人生そんなもんだ」

 先生が相変わらず脱力な人生論で言ってはくれたが数分後に届いた飯田さんの動画には綾人が購入した城の一部が映っており、まぁ、行って見ない事もないかなと少しだけ好奇心と期待が膨れ上がるのだった。

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