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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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夏の向日葵の如く背筋を伸ばし顔を上げて 4

アルファポリスで上げている最新話と差があるので少しだけ差を縮めようキャンペーン(?)を始めます。

内容は一日二回アップで差はありません。ごめんなさい。

期間は九月いっぱいぐらいを予定してますのでどうぞお付き合い下さい。

「傷口は綺麗になってるな。ちゃんと消毒をしていてよろしい」

 言いながら傷口を消毒液をしみこませた綿でポンポンと消毒しながら膿んでいないか確認をする。周囲の内出血はそのうち消えると言いながら陸斗の番になった。

 看護士さんに取ってもらった包帯の内側は目を背けたくなるほどの内出血が広がっている。

「これもそのうち消えるから心配もいらんし、骨は自然に元通りになるまで大人しくするしかないからなぁ」

 目視の確認のみで新しい湿布を張って丁寧な手つきで包帯を巻いてくれる。俺の時の処置とは大違いだ。

「所で吉野の家に居るそうだが、困った事はないか?」

 包帯を巻く合間の時間に

「とてもよくしてもらってます。お釜で炊いたご飯を初めて食べました。おこげが美味しかったです。

 二階にお部屋を頂きました。綾人さんの家には本がいっぱいの部屋があって、襖を開けた隣の部屋になります。昔の家具をリメイクした物を使わせていただいて、綾人さんの着れなくなった服を頂きました」

 俯き加減のままだけど照れながら一生懸命説明する姿に臼井先生はにこにこと笑いながらそれは羨ましいと言いながらも会話を続ける。

 ゆっくりと包帯を巻きながら楽しそうな会話を重ねた後に

「じゃあ、次は土曜日に来なさい。その時に抜糸が出来るだろうから、陸斗君も一緒にもう一度骨の状態を見せに来なさい」

「はい」

「じゃあ、予約で?」

「何か都合は?」

「今日と同じ位が良いかと」

「なら同じ時間で土曜日の十一時に」

 そう言って診察室を出されて料金を払い、薬をもらって帰宅となる。ただしその前に宮下切望のアイスを購入。スーパー●ップとか牧●絞りは宮下の家でも売っている。宮下が欲しいのはそう言った物じゃなくってハーゲ●ダッツとかコンビニ限定とかそう言った物。高校卒業して一年ばかり県庁所在地で働いていた事もありここでの暮らしの物足りなさを知ってしまった宮下は時々俺の家の住所でスイーツをしこたま買い込んで堪能している隠れスイーツ男子だ。うちの家で買う理由は理由は簡単。自宅で受け取ると大体兄嫁が食べていると言う嘘のようなホントの話が常時起きるのだ。なので美味しい物は我が家で。それが常識だと言うのもおかしな話だが、たかだかお取り寄せグルメをうちで堪能する分には何も問題はない。何せ俺もご相伴に預かるのだから全く持って問題ない。

 陸斗とどれ食べようかとスナックやジュースを色々と買い込んで家に帰って見た光景に目を疑った。


「あら綾人君、陸斗君お帰りなさい。お医者様は何か言ってたの?」

「いえ、経過は順調、今度の土曜日に抜糸もかねて経過を見せに来いってぐらいで、っていうか、何やってるんですか?」

「何って……」

 目の前でエプロンを身に付けた宮下のおふくろさんは茹で上がった蕎麦を水でぬめりを取ってザルの上に盛っていた。

 宮下はそれを急ぎ足で運び、母屋の座敷に並べられたテーブルで大工一行は宮下のおふくろさん自慢の手打ち蕎麦をすすったり、茹でられたトウモロコシを齧りながら談笑していた。

「折角吉野の家に大工をお招きするのですもの。初日ぐらいはおもてなししなくちゃ」

「いや、だからって蕎麦って……」

「大丈夫。我が家自慢の蕎麦よ。新蕎麦を食べさせてあげれないのが残念だけど、翔太から連絡を貰ってから打ったのよ」

「この量を?!」

 にっこりとした眩しいまでの笑顔にすぐに手伝いますと言うも怪我人はご飯を食べておとなしくしてなさいと言って台所のテーブルで蕎麦を頂く事にした。

 陸斗と一緒にアイスを片付けたあと蕎麦をすすっていれば宮下がぐったりとした顔を隠さずにお茶を飲みにやってきた。

「宮ちゃん、蕎麦まで頼んだつもりはないんだけど」

 軽く見積もっても三十人分は必要になったんじゃないだろうかと遠回しに聞けば

「おふくろがいきなりやってきて蕎麦を茹で出したんだよ。

 ほら、今うち修羅場ってるだろ?そのストレスが蕎麦に向かってて。兄貴からもお袋がヤバイって連絡が来て……」

 どこか涙目の宮下の説明にその光景を想像してゴクリと蕎麦を飲み込む。事情を知らない陸斗は山菜の天ぷらをツユに付けながら美味しそうに食べていて、何も知らないってこんなに幸せな顔になるんだとその顔を見守りながら蕎麦湯もいただく。

 いい汗かいたと言わんばかりの宮下のおふくろさんにアイスを幾つか贈呈して足取り軽く帰って行ってもらったところで内田さんがやってきた。

「悪いな、気を使わせたみたいで」

「いえ、こちらこそなんか、すみません」

 謝る理由が分からなく首を傾げる内田さんだがやはりその年になれば聞かないほうがいい事もあると言う事を知る経験値にそっと目を逸らして苦笑するのをありがたく思うのだった。

 


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