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変化のない俺の日常 3

 風呂に入ったら取れすぎて漬物にして保存するしかない野菜達とビールを片手に世間の雑音をテレビで眺めながら少し昼寝をする。

 その前にご飯の予約スイッチは入れておく。一人用のお釜で焚くのも良いが、やっぱり楽なのだと自分に言い訳して蓋を閉めセットする。

 縁側を烏骨鶏が鎮座しているが、障子のこちら側までは突き破っても来ない。


「網戸閉め忘れたな……」

 

 人がいる場所が安心と思ってか隙があればこの母屋に入ろうとしてくる烏骨鶏を可愛いと思うも奴らはトイレの躾が出来てないので可愛いと思えど悪魔の所業を容赦なくしていくので箒で叩きだす。

 仕方がないなと思う間に意識は遠くなり、ジージーと都会では聞く事のないセミの種類の鳴き声にそろそろ起きるかと冷えだした空気に障子を開けて縁側へと移動する。

 障子を開けた事で驚いて逃げて行った烏骨鶏は案の定落し物をして行ってくれて雑巾で拭きとる。


「ったく、ワックスがはげるんだよ……」


 中性洗剤で汚れを落として水拭きをして乾拭きとまったく手間がかかる。

 それから俺は烏骨鶏達の小屋へと向かい箒を持って掃除に行く。

 立派に鳥臭い小屋となってしまったがもともと土間だったので箒でざっざっと掃いて塵取りでゴミをゴミ置き場に捨てて終了。月に一度はモップで壁や止まり木に着いた排泄物も掃除をするが、まだ先週やったばかりなのでそこまで汚れておらず、鶏のえさ箱に餌を補充して水飲み場の水を入れ替える。

 ネットと言うのはありがたい事で、昔は竹を半分に割った餌箱に糠やいわゆる配合飼料を与えていたが、ネットの知恵袋で塩ビ管に餌を詰めてと言う方法を取っている。

 これ考えた人と天才だよと、エサをまき散らす癖のある食事方法の鳥達に被害は最小限に済むし、何せ塩ビ管に詰めているだけしょっちゅう補充はしなくてもいいのだ。

 油断すると餌箱の中で寝ろうとする鳥達の習性も関係ないし楽ちんだと掃除する量も食べこぼしで廃棄する量も一気に減った。

 この辺は寒いのでゴキブリなどは来ないけど、他の虫もよって来るしネズミもリスもやってくる。もっともそれらも烏骨鶏達のエサになるのだが、でも時々放している間にイタチにやられたりヘビにやられたりもしている。小さなヘビなら逆に仕留めてくる強者に正直戦利品は見せに来なくていいと心の中で突っ込んでいるが。

 ほめて育てられた烏骨鶏達はヘビを美味しそうに突き合う様子を俺は視線を反らすものの、害虫駆除してくれる分には大歓迎だ。

 そうこうするうちに日が暮れかけたので烏骨鶏を呼び寄せる。

 コンコンと輪切りに切っただけの木に何かの木の枝で叩く音それだけで烏骨鶏達は家に帰る時間だと戻ってくるように俺は躾けた。

 全部がそう認識してるわけではないが、最初に飼った数羽の烏骨鶏に音の合図とエサを食べさせて習慣化させれば条件反射として覚えてくれて、その後増えた烏骨鶏達もそうやって行動する先輩達を見習って帰って来る事を覚えるのだった。

 最も他の鶏の動きに流されている感もあるが、それでも一緒になって素直に帰ってくるのだからかわいい物よ。反抗期やつらは何時の時代もどんな種族にもいるが、ここで反抗すればどうなるかはその身を代償にして覚えてもらうだけ。

 なので自分の意思をはっきり言って物を言って貫けるなんてかっこいい!なんて人間社会のような突出した考えはこの大自然の中ではただ淘汰されるだけなのでいかに群れで輪から零れ落ちないように暮す事が大切かが良く判る環境なのだ。

 俺が言っても全く説得力ないが。

 別の納屋に在る農作業用に買った冷蔵庫は今では巨大な俺の貯蔵庫になっていてその中から取れすぎたキャベツを取り出す。

 外の葉っぱはしおしおだがそれを四つにざっくりと切って小屋に三つほど置いておく。それを見た烏骨鶏達の走るスピードの速さよ、飛べない鳥だとははわかっているがあまりにも健気な様子と言うか、あれだけ雑草を食べておいてキャベツは別腹かと感心してしまう。

 遅れながらもやってきた烏骨鶏を回収して小屋の扉を閉める。

 リスがエサを食べに来る事もあるしもっと大型の奴らも来る可能性もあるので二重扉のこの小屋は本当にありがたく使わせてもらっている。

 たとえぼろぼろで何度も修繕して隙間なく作っても時々潜り込む奴らが居るからほんと戸締りは大切だ。





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