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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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キャンプ・キャンプ・キャンプ 6

 筋肉痛、寝ただけでは治らない。


 なんと言う虚しい一句ができてしまったかと思いながらも昼時を前に既にいない飯田さんが用意してくれたご飯を温めていただくことにする。

 そして風呂。

 筋肉痛の時は風呂だよなとダラダラ五右衛門風呂を堪能する。缶ビールを持って。

 先生の真似じゃないが、昼から入る時ぐらいはビールを飲んでのんびりしたい。悪い事を教えてくれたものだと言い訳をしながら風呂の縁に腰掛けて熱った体をクールダウン。タブレットを持ってきてご機嫌な音楽を鳴り響かせながらモニターを眺める。

 まずは株価の変動のチェック。

 これは日課なのでメッセージの確認と同時に本日の午前の様子を頭の中に叩き込んでおく。畑をたがやかしながら思い出して金曜日への対策にすればいい。なので今はどんどん記憶すれば良いとどんどん画面をスクロールとタップを繰り返す。

 ちびりちびりとビールを飲みながら手持ちの株のチェックをした後いつも見ている動画のチェック。

 今は小屋づくりを見て回っていた。

 圭斗の家のアイディアを探しに見て回っている。

 大体イメージはできている。前回同様靴のまま部屋に上がってソファやベットがあれば良いと外国のような生活スタイルにするつもりだ。テラコッタの床もいいが

「むしろ床は古い枕木でも良いかも……」

 シロアリにたかられるから反対だ。

 そんな声が聞こえるもすでに廃墟に近い納屋なのだ。劣化している木の表面には防水、防腐、シロアリ対策にペンキも塗らなくてはいけないだろう。

 だったら洋風にしてテラコッタの床に木の壁にはカラフルなペンキ。は嫌がられるだろうが漆喰をマスターした圭斗と陸斗なら頑張って塗って貰えば良い。後は……

「家具はアンティークで揃えたいな」

 古びたテーブルに使い古されて劣化した座面の皮を張り替えられた椅子に戸棚もひとつぐらい欲しい。

 欲望はどんどん膨らんでいく。

 先日のイメージなんてもう飽きたと言わんばかりだが、それでも一つのイメージはできている。

 陸斗が学校から帰ってきた時自宅に部屋、ではなく納屋の秘密基地で圭斗に知られないような悪いことを覚えてもらいたいと密かに企んでいる。今まで押さえつけられていただけに純粋培養すぎるのだと将来を心配してしまう。

 ちなみに俺の言う悪い事とは圭斗に隠れてお酒を飲んでみたり、夜中までエロビを見るのも良いし、徹夜でマリカするのも良い程度。女の子を連れ込んでとかそういうのはないだろうが逆に連れ込まれるという可能性も捨てきれない。

 隣の家のクラスメイトだったか、今年はクラスが変われど未だに行き来していると圭斗の報告。何か起これーなんて無責任にも思うもおぼこい陸斗君にはぐいぐい来る彼女の必死のアピールの見えそうで見えない短いスカートも高校生にしては発育の良いスタイルを覗かせる開襟シャツの際どさも全く意味をなしてなかった。陸斗強い。

 ではなく、それを見てお隣の奥さんが申し訳なさそうに謝りに来るどうすれば良いと困り果てた圭斗に大変だなあと笑うしかないのが俺の返答。

 ほら俗に言う馬に蹴られてってやつで、この場合死ぬのは俺だからなと心の中でエールを送るのがせいぜいだろうと言うしかない。


 時々お湯に浸かりながらも籐のソファも良いなと、だけどこの寒い地域では不向きなので却下とする。

「あー、カウチソファもいいかも」

 寝そべったりうたた寝したりあれば嬉しいやつ。畳の我が家ではついぞ忘れがちな第二のベットだ。

 むしろ俺が圭斗の庭の手入れをした後そこで休みたい。

 少し目的が変わり出したがそれも悪くはない。そう思う事にしておいた。

「どうせなら窓も変えたいな」

 歪んで開かなくなった窓では空気の入れ変えどころかいずれ雪の重さでガラスにヒビが入るだろうか。

 ここは長沢さんと相談……しなくても圭斗ができるよな。 

 一応鉋を持って削ったりする作業は見てきた。できると思えば宮下が帰ってきた時にやらせればいいと独自で本を読み込んで覚えた窓の作り方を思い出して

「いっその事ガラスを使い回して別の形の窓にするか」

 人の家ながらと言うか他人の家だからこそ夢が溢れると言うように風呂を出て


「さて、もう一踏ん張りしますか」


 気合を入れて農作業スタイルでカメラと脚立を持って畑へと向かうのだった。


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