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人生負け組のスローライフ  作者: 雪那 由多


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白銀の世界で春を謳う 2

 あっという間に二月に入るもまだまだここは冬が厳しい世界だった。昼間は日常からサングラスを必要とする容赦ない紫外線に日焼け止め対策をしながら薪割と雪かきの日課にも慣れて、今日も烏骨鶏達に餌を与えて掃除をし、足元にまとわりつくのを可愛いと思いながら離れで演技の稽古をする。

 その後は映画を見ての勉強会から綾人が貸してくれたビデオカメラを置いて演技をして多紀さんにチェックしてもらう、そんな勉強会を一日最低一度は繰り返していた。

 ただ、金曜日だけは綾人のルーティンで仕事をするからと朝から夕方に先生が来るまで家を追い出されていたが、それが綾人の仕事で集中したいから人の気配を感じたくない、そう言われたら判りましたと言うしかないのが押しかけて来た人間が出せる一つだけの返事だろう。

 ただ、やたらとぐったり言う感じで疲れているのが心配だったが、先生曰く

「一週間分の仕事を一日で済ますとこう言う事になる例だ」

 と教えてくれた。

 だけど綾人は疲れ切った体で夕飯を作り出す。先生は買ってきた惣菜でいっぱい飲み始める。酷いなと思うも今日の夕飯は鍋だ。ここの生活で一番多い料理だが今の綾人を見ていると文句は言えない。

「つーかさ、凄く手抜きじゃね?」

 鍋の中には小ぶりになったキャベツを四等分にして中心にコンソメを投入。空いたスペースに肉や玉ねぎジャガイモを詰めてトマト缶を一個ぶち込んで終了。

 ロケットストーブの薬缶を置くところに置いて後は放置。炊飯器にご飯をセットしてどこからか取り出してきたチューハイをちびちびと野沢菜と台所付近の雪山から発掘した甕から取り出したキムチで飲み出した。

 雪山から出てくる事にも驚いたが、差し出されたチューハイで食べたキムチの旨いこと。

「大根のキムチ好きなんだよなー」

 ぽりぽりと食べる手は止まらない。

「海鮮キムチ作りたいけどやっぱり怖いからなー」

「あれはシェフに頼んで買ってもらうのが一番だ」

「一度失敗すると怖くて手が出せないよ」

 上手とは言えないが人並み以上には上手いと思う綾人でも失敗するのかと意外だなと思って

「失敗したの?」

「処理が悪かったのか生臭くて食べれた物じゃなかった」

 バアちゃんが亡くなってしばらくして作ってみたものの海鮮キムチにはまだ手を出すには早いと言うような失敗の理由はキムチの素の少なさも理由の一つ。飯田さんが作ってくれたものと飯田さんの家の近くの韓国料理の店から買ったものと味比べしてやはり圧倒的にプロの味が美味い事を再確認。飯田さんも唸る出来合いにはジャンル違いからか挑戦という意気込みはなかった。だけど我が家の大量の白菜と大根の漬物作りは毎年手伝ってくれているので密かにリベンジを狙っているのは気づいているのでいつになるかわからないけど楽しみにしている懸案だ。

 それから本日アップされた動画をチェックする。嬉しい事に離れの再生動画のおかげで登録者数は二十万台の半ばまで伸びた。



 




 







 


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