2019年10月16日 ボスの日だけど主人公って誰なの?
2019年10月16日
留音「今日はボスの日って言って、ボスにプレゼントを贈ったりする日なんだそうだ。というわけで諸君、敬ってくれても、いいんだぜ?」
ふふん、と誇るように言った留音に、まずはじめに冷たい口調で返したのは衣玖である。
衣玖「はっ?なんで?あっ、ひょっとして自分の事をボスと思っている可哀想な人の演技?」
留音「いやだってさ、あたしが一番リーダーシップあるだろ?ヘッドって意味のボスだったらあたしじゃん?」
なぁ?とみんなを見回すような態度であるが、真凛は目を見開く。
真凛「どっしぇええぇっ!ボス!?んまさかっ、しゅ、主人公だとでも思ってたんですかぁ?!!??!?!」
西香「真凛さんがかつてない程驚愕されてますわね。無理もありませんが」
留音「いやいやいや、あたしじゃん!?気遣い出来てる!一番お姉さん的!ちがう!?」
大仰なジェスチャーを交えつつみんなに確認しているのだが、その全員の視線は冷たかった。
真凛「えっとぉ……わたし達の中で一番ボス……つまり主人公って事だったら赤みがかったピンクにほど近い髪色でタイトルに相応しいニコニコを備えていて、宇宙的神秘を持ったわたしが一番主人公っぽいんですよね……^^;すいませんけど^^^^^^;;;;;;」
西香「……ラスボスではなくて?」
西香が誰にも聞こえない程度に呟いている。
衣玖「まぁわからないでもないわよ、真凛のメインヒロイン説は。天然系×緋色の髪ってメインヒロインは多いし。でもね、そういうなんかありきたりな子って結局一番人気じゃないのよね。で、作品をどんでん返しする系のヒロインはだいたい冷静で賢能なのよ。私みたいに」
留音「おいおいおい、嘘だろ?お前嘘だろ?衣玖も真凛も……自分がボスだって思ってるのかよ?」
真凛「ボスじゃなくて主人公です!」
衣玖「主人公っていうか、メインヒロインの話だけどね。美少女モノなんだし」
西香「はぁ……本当に可哀想な方々……まぁ無理も無いですけどね、本当のヒロインと主人公とボスを両立した事が無い方たちですから……」
留音「あ?!西香は自分がそんな事をしたって言い草じゃねぇの?!」
西香「やってますけど?わたくしったら異世界にまで行って、小さなボーイのボスとして導いてますわ。なんと言ってもそこでは主人公でメインヒロインですから」
衣玖「あぁ、あの完全に更新が止まった異世界物ね。エタってるわよ、永遠に完結しないわ、はいざこー」
西香「そんなことありませんわよ!結末までのプロットは出来ているんですから!……一応。わたくしにはこの後すっごい感動的な展開が……っ、多分……」
留音「本気で可哀想なの西香じゃん……可哀想だからサブリーダーにしてやろうか?」
西香「可哀想じゃありませんわよ!しっかりじっくり温められているだけですから!」
真凛「もー皆さん!可哀想な人に可哀想なんて本当の事を言ったら本当に可哀想だってことに気づいて可哀想じゃありませんか!やめてあげてください!」
衣玖「確かにそうね。悪かったわ。ルーも自分が主役張ってるって思いたいなら思うのは自由よね。口での否定はしないでおいてあげるからね」
子供をあやすような口調で衣玖は言った。
留音「おーお前いい度胸じゃないの!言っておくけどボスの器って意味じゃお前が一番小さいんだからな!チビだしな!」
衣玖「あ!普通の悪口!そういう事言う人がボスとかもうそれ終わったからね!不祥事!謝罪会見ー!」
真凛「あーもうごちゃごちゃしてきたなぁ……一回滅ぼして別の日にすればいいのかな」
真凛が静かに怒りを溜め始めているのを見て、西香がここぞとばかりにはっきりと物申す。
西香「真凛さん、そういうところですわよ、あなたの闇。闇っていうか、怖いんですのよ、ストレートに」
留音「そうだよ!真凛にそういう所あるからみんな渋々従うって時あるからな?!あたしが最強って設定霞むんだよなぁー!そういう事されると!」
真凛「だってみなさんが頭おかしいこと言い出すから、一旦リセットするためにぃ」
そこで何か、風が止んだような雰囲気を全員が感じ取った。
あの子「……(ू˃̣̣̣̣̣̣︿˂̣̣̣̣̣̣ ू)」
衣玖「あ!!!!待ってみんな!!!あの子がすごく悲しい顔をしているわ!!!悲しい顔をしているのよ!!!」
大事なことを2回の言葉で伝える衣玖。
あの子「‧º·(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )‧º·˚」
真凛「えっ……あ、け、喧嘩じゃありませんよぉっ……ただちょっと意見の違いがあって……な、泣かないでっ……」
あの子「(。>﹏<。)ノ」
留音「わ、わかったから……別にあたしたちそんなつもりじゃなくて……」
西香「そうですわよ!わたくしもちょっとムキになってしまいましたけど……あ、あなたにそうやって悲しまれると自分が酷い愚か者のようですわね……」
あの子「(。ì _ í。)」
あの子は珍しくそんな喧嘩はしないで、というような事を強めに言っているようだ。それに四人はしょんぼりしたり、たじたじになったりしてショックを受けている。
留音「う、うん、喧嘩してたわけじゃないけどもう終わりにするから……す、すまん……」
真凛「わたしもごめんなさぃ。みなさんも煽ってごめんなさぁい……」
衣玖「私も……メインヒロインなんて柄じゃなかったわ……」
西香「そんな事ありませんわよ、皆さん多少の素質はあると思いますし……ただちょっとヒートアップしすぎただけで……すみません……」
あの子「(* ╹ヮ╹*)」
留音「仲直りしたし……別の記念日にするかぁ……」
衣玖「あっ、かっぱ寿司がトロの日っていうの出してる……毎月記念日だけど……」
真凛「わぁっ、じゃあ今日はみんなでお寿司にしましょうかぁー☆」
西香「え~、お寿司ならわたくし回らないお寿司の方が好きですのにー」
ボスの日はボスに贈り物をしようという日。贈れるのは物だけじゃない、一緒に食事をするだけでも、笑顔だけでも、本当のボスなら喜んでくれるはずだ。
あの子「( ◜◡‾)」




