2019年10月1日 解放者ルネ ~水分統一の日~
2019年10月1日
留音「これは……どういうことなんだ……!?こんなの絶対におかしいじゃないか!!」
留音は机を叩きつけ、今しがた知った不条理な真実に戦慄を覚えた。
西香「また何かが始まってますわね」
衣玖「どうしたの?ルー」
留音「今日は10月1日……あたしはいつものように日めくりネタを探していた……そこでまた見つけてしまったんだ……過労死しそうなほど記念日が定められた今日という日をな!!」
くそっ!と机をたたき、悔しさに涙をにじませる留音。
真凛「あっ!!集まりすぎてしまった記念日を解放する者、解放者留音さんだ!!」(デデーン!!)
留音「あぁ……今日もあたしの出番らしい……今日という日がどんな記念日を持っているか知っているか?」
衣玖「さぁ……また8月8日みたいに語呂合わせの嵐なの?」
留音「いや……まぁそれももちろんあるが、あたしが許せないのは……水分に関連した記念日が多すぎるってことだ!!」
真凛「水分?飲み物の事ですかぁ?」
留音「あぁ!今日という一日にコーヒーの日、日本茶の日、日本酒の日!その延長線上には醤油の日に香水の日まである!どうしてこんなに水分を集めるんだ!お腹タポタポになるだろうが!!」
西香「最初の三つはまぁわかりますが、あなた、醤油や香水まで飲むんですの?」
真凛「醤油は濃度と量次第で死にますよ☆」
留音「だって考えてみろ!今日はこういう記念日の日ですって日本茶とかと一緒に醤油や香水があったら飲み物かもって思うだろ!?醤油は濃い麦茶に見えるかも知れないし、コーラかと思うかも知れない!香水も透明なのは水に見えるし、ほんのりピンク色みたいなのは桃味かなとか思うだろ!どうしてこんなに飲み物の記念日を競合させるんだ!この国は!!!ちょっとずらせば今日飲むものを決めやすいのに!それに食文化の日まで今日で……!」
西香「それで、解放者さん的には何をするんですの?」
留音「あたしは……みんなが記念日ということでたくさんの水分を取ってお腹タポタポにならないようにする……!その方法も考えた……全ての水分の日を保ったまま、その全てを達成し、なおかつお腹タポタポにならない方法をな」
衣玖「一応聞くわよ」
留音「あたしは新たな記念日を制定しに、一般社団法人日本記念日協会を訪ねる。そこで新たな記念日……水分統一の日を制定する。統一、は当然10と1の語呂合わせだ」
真凛「あっ、上手ですね~。でも水分の部分はどうするんですかぁ?」
留音「記念日には理由がある……語呂合わせも理由に入るが、今日の場合は"水分に関連した記念日が多いことに関連して"という理由を考えてあるさ……この記念日を通して、あたしは水分の統一を果たす」
西香「よくわからないのですが、つまりどういうことなんですの?」
留音「つまりだ。もしも日本茶やコーヒーの日が今まで通りそのままあったら、律儀な人はコップに何回水分を注ぐことになる?それを統一すればいいのさ。この発想の源泉はドリンクバーにあった。……混ぜるだろ?コーラとオレンジジュースとか」
西香「当然のように言ってますけど、それは賛否分かれる意見ですわよ」
留音「つまり水分統一だ。この水分統一を推奨することによって、今日はコーヒーと日本茶と日本酒を合わせ混ぜて飲んでもいいことにする。こうすれば人々の負担はコップ一杯分で記念日を完遂可能になるんだ」
真凛「記念日を完遂可能とは……」
留音「必要なら醤油や香水だって入れたっていいさ……とにかく、あたしの考えた水分統一の日という記念日の登場によって、今日という水分に関連した記念日のあり方は大きく変わる。……あたしは、今日という日からお腹タポタポを解放する……!!」
衣玖「なるほど……クレイジーさを取られて少し悔しいくらいよ。この私でもちょっと脳が疲れだした感じがするわ」
留音「褒めるなよ……じゃあまた一般社団法人日本記念日協会に行ってくる。みんな、あまり飲みすぎないで耐えてくれよ」
留音は身にまとった黒い邪悪な外套を翻し、この荒野へと足を踏み出した。それを見送った他の少女たちはぼんやりと考える。
西香「そもそもわたくし達、お酒は飲めないのですが……」
真凛「というか、朝コーヒーでお昼にお茶とかでも十分ですよね?お醤油もお料理で使うし香水だってお出かけする時につければいいし……」
衣玖「あんまり言ってあげないで。解放者留音はルーが発作的にカッコつけたくなってやってるだけだから」
水分統一の日
10月1日の記念日水分量が多いことと、統(10)一(1)という語呂合わせから外套をかぶった謎の美少女が制定。日本酒、日本茶、コーヒー、醤油、香水などの水分に関する記念日が多いことにちなみ、今日は飲み物を混ぜて飲むことが推奨され、水分のとりすぎでお腹タポタポを防ぐ願いが込められている。
未承認(印)