2019年9月19日 苗字の日はみんなの苗字を……
2019年9月19日
西香「皆さん、今日は苗字の日ですわよ」
留音「うわ、やったわ……これはやらかした」
衣玖「空気読めないにもほどがある」
真凛「い、今のうちに世界を消滅させて今日は始まって十秒で爆発オチにしておきますか……?」
あの子「(>_<;)」
西香「皆さん、どうしたんですの?いつもどおり、単なる記念日の話ではありませんの。わたくしもたまには調べてくるんですのよ。ええと、今日の苗字の日というのは、明治三年に平民も苗字を名乗ることが許された事を記念して制定されたそうですわ」
留音「すごいな。じゃあ次」
真凛「あ!今日はクイックルの日です!わたしもたっくさんお世話になっているお掃除用具の!ハンディタイプ大好き!」
西香「ちょっとー!わたくしが調べてきた日めくりネタですわよ!まだまだ話足りないんですけど!」
衣玖「西香、あなたわかってるの……?私達にとって苗字がどんなものなのか……」
西香「はぁ。苗字は苗字じゃありませんか。佐藤さんとか山田さんのような。何を言ってらっしゃるの?」
留音「そうだな。じゃあ次」
西香「ちょっとぉ!だからさっきから早いんですってば!あ!9月19日なだけに、クイック?!」
衣玖「わー、うまーーーい。満足した?次行くわよ」
真凛「あ、今日は遺品整理の日ですって!おっしゃれー!」
西香「あの。みなさん今日はどうしたんですの?なんだか様子がおかしいですわよ?」
留音「だってさ……なぁ?」
真凛「西香さん、気づいていますか?わたし達は少し難しい話をしていますよ?しっかり察してください……?」
西香「はぁ。……もしかしてわたくし達がここに来るまで一度も苗字を名乗っていないことについての懸念からその話をされてますか?」
衣玖「私ね、正直言うと西香のこういう所たまにちょっとだけ好きって思う。死んでたら良いのにって思うこともあるけど」
西香「で、なんでわたくし達、苗字を名乗らないんですっけ?個人情報保護の目的ですか?」
真凛「それは……」
留音「深いわけがあるんだよな。西香は忘れてるかも知れないけど、あたしたちは元々苗字は普通に名乗っていた。でも真凛が世界を破壊しまくっていくうちに、いつの間にかあたしらの戸籍謄本はどこか次元の狭間へと消えていき、気づいたら自分たちの戸籍上の苗字の記憶を消失していたんだ……」
衣玖「そういう事。だから私達はいつ真の苗字の記憶が出てきても良いように名乗らないの。本当は素敵な苗字があったことは確かだしね」
西香「真の苗字の記憶なんて言葉初めて聞きましたけど」
真凛「ごめんなさい……宇宙から見れば苗字の価値なんて些細なモノだと思ってしまったばっかりに……」
西香「宇宙から見た苗字の価値なんて概念初めて聞きましたけど。っていうかあなたにも苗字ありましたよね?」
留音「そういうわけでさ……あたしたちはまだ苗字を名乗るわけにはいかないんだよ。最高に可愛くて読みづらい苗字があったはずだからさ……」
西香「はぁ……まぁ言われてみればちょっと記憶が曖昧ですわね」
衣玖「だから今日は苗字の日をするべきでなかったのよ。せっかく世界海賊口調日なんて面白おかしい記念日があるんだからそっちを採用すべきだったと思うわ」
西香「でもわたくし、なんとなく覚えてますわよ?苗字」
真凛「ほ、ホントですかっ?わたしもなんとなくは……語呂は良かったですよねっ?」
西香「語呂は良かったですわね。発音の感覚はサクッとしていたかと。わたくしは漢字三文字の貴族的な苗字でした」
衣玖「西園寺、みたいな?」
西香「それだと西に行き過ぎてしまいますので違ったと思いますが、たしかそんな感じでしたわね」
留音「西に行き過ぎるってなんだよ……でもまぁ、今の所苗字無くても不便してないし、とりあえず今はこれでいいんじゃないか?あんまり突っ込むとハードル上がって、後でもしも"加藤"とか"田中"とか出てきてもアレだし、そっとしておくべきだと思うんだ」
衣玖「残念ながらもうかなり高い所まで上がってるわよ。一生出せないんじゃない?」
真凛「その辺は大丈夫です!消してしまったお詫びも兼ねて、もし苗字が出るときが来ても誰にもいじられないようにしれっと出るようにします!」
西香「ですって、みなさん。良かったですわね。これもわたくしが果敢に苗字の日を攻めたおかげですわ。はぁー、わたくしったら、たまに日めくりをするとこうしてストーリーラインを進行させるキー会話をねじ込んでしまいますわね~」
留音「……そろそろ日めくり2ヶ月目かぁ……」
衣玖「正直苗字は今更よね」
真凛「もはや存在したって事実すら不要かなって思いましたけど……」