2019年9月11日 警察相談の日
2019年9月11日
西香「あの……もしもし」
西香は受話器を取り、シャープ9110にコールした。
「はい、こちら警察本部総合相談室になります。何かお困りごとですか?」
相手は警察官の、相談室を務める女性事務員のようだ。これは警察本部に設置された部署の一つで、事件かなと思ったことについての相談などを受けてくれる回線である。
西香「実はさっき……妙な方から電話で変なお話をされまして……」
「(迷惑電話の相談かな?)はい、どのような電話でしたか?」
西香「多分、最近有名になってきてる可愛い可愛い詐欺だと思うんですの。でも正しい知識がなかったので不安になってしまって……」
「は、はぁ。可愛い可愛い詐欺……?」
西香「相手の方がこう言ったんですの。『すみません、私は名もないモブの一人ですが、先程宇宙線を浴びてしまってさっきから可愛さがどんどん増して行っているのです。このままだとあなたの可愛さを越えて、全宇宙の中で最強の可愛さを持った美少女になってしまいそうで……でもそんなの私は望んでいないのです。美少女化変異を止めるために手術を受けたいのですが、その治療費を持ち合わせていません。そこで手術代となるお金を立て替えていただきたいのですが……』と……数百万円ほどの金額を提示されたのですが……」
「はぁ、ちょっと意味がわかりませんが、まさかお支払いしたわけではありませんよね?」
西香「え、えぇ……一応思いとどまりまして……それで相談したんですの。あの、これって普通の可愛い可愛い詐欺ですわよね……?わたくしがお金を払わなくても、全宇宙一の可愛さを持ったモブなんて登場しませんわよね……?」
「あ、え、はい……?」
西香「わたくし不安でしたの……もしもこれが本当の事で、それをたった数百万円程度で止められるなら安いものだって……でも騙し取られるのもしゃくですし……それで相談させていただいたのですが……」
「あ、はい。そんな詐欺ありませんから、大丈夫ですよ。心配しないで、同じような電話が来ても無視してもらって大丈夫ですからね」
西香「よかったぁ……じゃあ、全宇宙で一番可愛いのはわたくしのまま、しっかり継続されるということですわよね?」
「それについてはちょっとわかりませんが……とにかく、宇宙線を浴びて可愛くなる人はいませんから、安心してくださいね」
西香「はぁっ、安心しました。公的機関の人間もたまには役に立ちますわね。(ガチャ)」
「切っちゃった……なんだったんだろう……今日は警察相談の日だからかな……いつもより件数が多いような気がする」
そしてまたその後、新しいコールを受けた。
留音「あの、すみません……実はさっき変な電話があって……」
「(また迷惑電話かしら)はい、どんな電話でしたか?」
留音「多分詐欺だと思うんですけど……宇宙線を浴びて筋肉が異常発達し始めたからその治療費が欲しいって。治療しなきゃなんの努力もしないで最強のバルクが生まれてしまうって言われて……これって筋肉筋肉詐欺ですよね……っ?全世界のナイスバルク達を冒涜するような事は起こりませんよねっ?」
「あ……はい、大丈夫ですよ、ナイスバルクはちゃんと努力しないと生まれませんから」
留音「よかったぁ……宇宙線って言うからもしかしたら突然変異みたいなのがあるのかもしれないって思って……安心しました、警察の相談員の方って宇宙線の驚異にまで知識があるんですね」
「い、いやー……なんと言えば良いのか……(宇宙線ってなんなの?)」
留音「正直こんなに頼りになるとは思って無くて……電話してよかったです。友達が宇宙出身で宇宙線はあるっていうから怖くなっちゃって」
「はぁ……宇宙……(もしかしてこれ迷惑電話?)」
今日は警察相談の日。でも相談を受ける警察相談の相談員は誰に相談するんでしょう。