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2019年9月3日 ぐっすりの日 まりんちゃんのASMR台本

2019年9月3日


 まどろみ。適度な高さと柔らかい枕の上に頭を乗せて、優しい手が頭をなでているのがわかる。身を捩らせ、その心地よさに身を預ける。だが頭の片側が壁というか、柔らかい感触に埋もれて、何があるのかと目をゆっくりと開いた。


「……あ、目、醒めちゃいました?」


 それはとても温かな声で、自分の頭上から聞こえる。目前にあったのは……お腹?


 声からして、どうやら真凛(まりん)の腹部に顔を擦り付けていたらしい。改めて自分の状況を確認すると、どうやら真凛(まりん)の膝上で眠っていたようなのだ。それを認識して目線を上げると少し赤面した真凛(まりん)が自分の顔を覗き込んでいた。


「まだ眠っていてもいいんですよぉ?」


 それよりもどうして膝枕をされているのかと、真凛(まりん)に問いかける。


「いえ、その……お昼寝をされていたようだったので……この方がよく眠れるかなぁーって」


 ニッコリと笑ってそういった彼女はやめずに頭を撫でてくれている。


「……あなたはいつも頑張ってますもんね。だからぁ、わたしはあなたがゆっくり眠れたらいいなぁって思って……それに今日はぐっすりの日、なんですよぉ?」


 そう言って、頭を撫でていた手でこちらの目を優しく覆ってきた。


「大丈夫、安心してください。怖いことも不安なことも何もありません。わたしがあなたを困らせる事の全部から守ってあげますから、あなたはぐっすりと眠ってくださいね」


 真凛(まりん)は鼻歌で子守唄を歌い、自分はすっかり目を閉じて、彼女の膝枕で再びのまどろみに落ちていく。


 視覚を閉じると聴覚と嗅覚がより感覚を強く受け取って、真凛(まりん)の甘くて良い香りが鼻孔に囁くようだった。それに子守唄も単調なメロディが程よく脳を刺激する。


 最近は疲れることばかりで、ろくに眠れていなかった気がする。でもなんだか今ならよく眠ることが出来るかもしれない。おもむろに、自分の手を真凛(まりん)に伸ばす。少し甘えたい気分になってしまったらしい。


「ん?ふふ……はい、いいですよぉ。いいこいいこ」


 真凛(まりん)は片方の手は頭を撫でたまま、もう片方の手でこちらの手を取って握ってくれた。


「大丈夫ですからね。あなたが眠るまでこうしていてあげますから、今日はぐっすり眠ってください。いつもお疲れ様……いつでも甘えていいんですからね」


 その手のぬくもりはこの身を包むかのように広がっていき、得難い安心感を享受させてくれる。


「おやすみなさい。今日もお疲れ様でした」


 彼女の膝から伝わる温もり、呼吸に揺れる体、ほのかな甘い香り。頭が撫でられる度に、感じていた不安が拭われていくようだった。

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