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2019年8月30日 ハッピーサンシャインデーの悩み

2019年8月30日


 今日もみんなでテーブルについて、何やら少し難しい表情をしながらの留音(るね)がいつものように日めくり会議を始めた。


留音(るね)「今日の記念日、ハッピーサンシャインデーには二つの説がある。一つは"太陽のような明るい笑顔で過ごせばハッピーな気分になれる日"だ」


真凛(まりん)「わーっ、素敵ですね~☆」


衣玖(いく)「もう一つはなんなの?」


留音(るね)「もう一つは……"太陽のような明るい笑顔の人のための日"……"ための"日だ」


 留音(るね)はそう言って少しだけ視線を下げた。言いたくないが、というような心情を感じさせる。


西香(さいか)「はぁ。つまりどういうことなんですの?」


 その留音(るね)の空気に反応した衣玖(いく)が小さく頷く。


衣玖(いく)「なるほどね、要は太陽のような明るい笑顔の人じゃなきゃ、この記念日を享受出来ないということね?」


留音(るね)「そうなるな。名前はこんなに可愛いのに、随分と選民思想を感じる」


西香(さいか)「また随分と繊細な事をおっしゃいますわね」


 呆れる西香(さいか)も含めその場にいる彼女たちの表情はハッピーサンシャインとは程遠い。真凛(まりん)を除いては、であるが。


真凛(まりん)「いいじゃないですかぁ、一つ目の説ってことでみんなで明るく笑顔で過ごせば♪」


 その朗らかな言葉に衣玖(いく)が冷静に、肘をテーブルに付きながら真剣に返す。


衣玖(いく)「それは理想だけど、実際には難しい人だっているはずよ。私達は日めくり大使として、より多くの人に記念日の知識を与え、今日という日の過ごし方に色彩を与えたいの」


西香(さいか)「それで、仮に今日が二つ目の説限定の記念日だったとして、記念日を享受出来ると何かあるんですの?ための、という事は何か特別な事があるんですよね?」


留音(るね)「それはわからない。多分受け手の気持ち的なヤツだと思う」


衣玖(いく)「正直に言っちゃえば何の記念日なのかもさっぱりわからないわね……でも取り上げるわ。それが日めくり大使の使命だから」


真凛(まりん)「皆さん~、もっとニコニコお話しましょうよぅ。せっかくのハッピーサンシャインデーなんですからぁ」


 真凛(まりん)が軽く机を叩きながら言うのだが、やはり留音(るね)も真剣な表情と声音で返す。


留音(るね)「そうは言うが真凛(まりん)、もしも今、笑顔になれない人がいたらどうだ?ハッピーサンシャインデーにかまけてみんなが笑顔でいるのに、そうなれない人がいるかもしれない。あたしは……それはすごく悲しい事だと思う」


衣玖(いく)「そうね。今日という日に一人で取り残されてしまう、そんな感覚を味わうかも知れないわね……」


 真凛(まりん)は体を前後左右にゆらゆらさせながら気だるそうに言った。


真凛(まりん)「だったら周りのみんなで笑わせてあげましょうよぉ」


西香(さいか)「でも真凛(まりん)さん、仮にFXでの投資に失敗して3億溶けた後だったらどうですか?」


留音(るね)「うわ!そんなの絶対に笑顔になれない!今日がハッピーサンシャインデーなのにも関わらず!!」


衣玖(いく)「そこに来て"今日は明るい笑顔の人のための日"なんて言われたらたまらないわね……自分には今日を送る権利は無いんだって思ってしまうかも……」


 なんの話をしているのだ。と、真凛(まりん)の中で何かが触れたようだ。ムスッとした表情を作った真凛(まりん)はそのまま机をバーンと叩いてから声を可愛らしく荒げた。


真凛(まりん)「もー!だったらわたし達ががんばればいいじゃないですかぁー!どうせ知ってる人なんて超少ないマイナーな記念日なんですから、ここ読んでくれた人だけが笑顔になってくれればそれで実質完全ハッピーサンシャインですよぉ!」


西香(さいか)「お、大きく出ましたわね……記念日を多少ディスりながら……」


真凛(まりん)「だってこんなフワフワした設定の記念日を取り上げるほうが悪いじゃないですかぁ!なんですか説二つって!!それに補足も読んでください!!」


 ペシペシ!とタブレットで表示された「記念日:ハッピーサンシャインデー」のページを指し示す真凛(まりん)


留音(るね)「あ、え、えっと……この日に生まれた人は笑顔の素敵な人が多いことから生まれた記念日……?」


衣玖(いく)「なにこれ!!めちゃくちゃフワフワしてるわ!!どんな統計のとり方してるの?!」


真凛(まりん)「笑顔は!!!(どん!)基本的に!!(どん!)誰だって!!(どん!)素敵です!!(どんどん!)」


留音(るね)「(あ……なんかハッピーサンシャイン……感じた……)」


衣玖(いく)「(すごいハッピ―サンシャイン感出てる……)」


西香(さいか)「(この人ホントに頭がハッピーサンシャインですわね。真に素敵なのはわたくしだけだと言うのに)」


真凛(まりん)「それに笑顔になれないなんて事ありますか!みんなが大好きで全ての愛の化身であるあの子を見てください!!」


あの子「Σ(*'0'*)?!」


西香(さいか)「(*´∇`*)」


留音(るね)「(*´∇`*)」


衣玖(いく)「(*´∇`*)」


真凛(まりん)「(*´∇`*)」


衣玖(いく)「……でもこの子が見えない人もいるわよ?多分読者の人全員」


真凛(まりん)「それはただただ可哀想ですぅ……」


留音(るね)「でもあたしたちにはもうハッピーサンシャインデーだな!」


西香(さいか)「そうですわね、わたくしが幸せかどうか、それが一番重要ですわ」


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